2016年10月24日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 41.傾城

洪武27年(1394年)、正月の10日、サハチ(尚巴志)の弟、マサンルーがヤキチの娘のキクと婚礼を挙げます。
3月にはウニタキがサハチの叔母のチルーと婚礼を挙げます。
ウニタキはサハチのために裏の組織『三星党』を作り、配下の者たちも二十人集まりました。
ウニタキとチルーの婚礼が佐敷で行なわれていた頃、浦添と今帰仁では大々的な婚礼が行なわれていました。
浦添按司(武寧)の娘が今帰仁の若按司(攀安知)に嫁ぎ、今帰仁按司(山北王a)の娘が浦添按司の次男に嫁ぎました。
中山王と山北王は同盟を結び、浦添も今帰仁もお祭り気分に浸っていました。
お祭り気分の浦添グスクで事件が起きました。
婚礼に招待されていた山南王が、武寧の側室を奪って逃げたのです。
その側室は高麗の国から贈られた絶世の美女でした。
めでたい席だったので、武寧は騒がず、翌日になって、義父の島添大里按司に相談しました。
中山王が山南王を攻めるかと思われましたが、一月が過ぎても何も起こりませんでした。
武寧は山南王を攻めたかったのですが、側室の出産、進貢船の帰国と続いて、梅雨に入ってしまい、梅雨が明けたら攻めるだろうとウニタキはサハチに報告します。
梅雨が明けて、島添大里按司と武寧は山南王を攻めます。
島添大里按司は島尻大里グスクを奪い取りますが、山南王も盗まれた側室もどこにもいません。
結局、山南王を捕まえる事はできず、島添大里按司は山南王になります。
のちにわかった事ですが、山南王は側室を連れて高麗の国まで逃げ、その地で病没しました。
島添大里按司の山南王攻めのどさくさに紛れて、ウニタキとヒューガは山南王の船を奪い取りました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・キク
ヤキチの娘。マサンルーの妻になる。

・ヤザイム
奥間の長老の息子。奥間鍛冶屋の親方。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
サハチの叔母。佐敷グスクの侍女。ウニタキの妻になる。

・武寧
中山王察度の長男フニムイ。浦添按司。
妻は汪英紫の娘、ウシ。

・ンマムイ
武寧の次男。山北王の娘、マハニを妻に迎える。
のちに兼グスク按司になる。

・高麗の美女。
琉球に来た高麗の使者から贈られた絶世の美女。

・山北王
今帰仁按司ミン。帕尼芝(はにじ)の次男。

・ハーン
山北王の長男。武寧の娘、マアサを妻に迎える。
のちの攀安知。

・山南王
島添大里按司の甥の息子。母親は察度の娘。
武寧の側室を盗んで高麗に逃げる。

・島添大里按司
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。
島尻大里グスクを奪い取って、山南王になる。

・八重瀬按司
汪英紫の長男、タブチ。

・豊見グスク按司
汪英紫の次男、シタルー。明国に留学中。

・米須按司
武寧の弟。

・瀬長按司
武寧の弟。

・小禄按司
武寧の従兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチのために山賊になる。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年10月17日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 40.山南王

ヒューガが佐敷を去ってから二か月が過ぎ、南部の各地に山賊が出没して食糧が奪われたという噂が流れてきます。
島尻大里の城下にある『よろずや』も商品が増え、貧しい人たちに重宝がられています。
マチルギは教え子の娘たちから十二人を選んで、女子(いなぐ)サムレーを結成してグスク内の屋敷を守らせました。
やがては百人の女子サムレーを育てて、戦でも活躍させるとマチルギは張り切っています。
マチルギの教え子のトゥミとムトゥはウニタキの配下になって『三星党』に入りました。
ウニタキに呼ばれて、サハチ(尚巴志)が研ぎ師のハンルクの家に行くと、ウニタキは山南王が亡くなった事を告げます。
二か月後、サハチはウニタキに呼ばれて、ハンルクの家に行き、跡を継いだ山南王はどうしようもない奴で、やがては島添大里按司に滅ぼされるだろうとウニタキから言われます。
そして、中山王と山北王が和解して、武寧の娘が今帰仁の若按司に嫁ぎ、山北王の娘が武寧の次男に嫁ぐ事に決まったと告げられます。
東行法師に扮して旅をしていた祖父のサミガー大主は年末に帰って来て、若い者たちを百人、久高島に送ったと言います。
その翌日、父が久高島から帰って来て、若者たちも集まり、ヒューガから食糧も届いて順調に行っていると言います。
父は若者が増えたら、久高島から慶良間の無人島に移ろうと考えているが、移動するには船がいる。何とか船を手に入れたいと言います。
サハチは船は何とかしますと父に答えます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチのために山賊になる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・トゥミ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・ムトゥ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・ハンルク
奥間の研ぎ師。ウニタキの配下。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・山南王
島添大里按司の甥の息子。母親は察度の娘。

・島添大里按司
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。

・山北王
今帰仁按司ミン。帕尼芝(はにじ)の次男。

・武寧
中山王察度の長男フニムイ。浦添按司。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年10月10日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 39.運玉森

山賊になる決心をしたヒューガはサハチたちに別れを告げ、ヤマトゥに帰る振りをして、浮島にいるサイムンタルーの船に乗り込みます。
ヒューガを見送りに来たサハチとクマヌは、島尻大里の城下に行って「よろずや」という小さな店に行きます。
「よろずや」は山賊になったヒューガが奪い取った品々を久高島に送る拠点となる店です。
「よろずや」の店主は、サミガー大主のもとで働いていたキラマでした。

後に、「よろずや」はウニタキの「三星党」の拠点として各地に店を開きますが、その最初の店は島尻大里の城下にできた小さな店でした。

密かにサイムンタルーの船を降りたヒューガは、浮島の宿屋の主人のハリマを訪ね、山賊の事を聞きます。
与那原の運玉森(うんたまむい)に山賊がいるらしいと聞いて、ヒューガは運玉森に向かいます。
佐敷に近すぎるなと思いながら山を登ると山の中に立派な屋敷が建っているのを見て驚きます。
ヒューガがその屋敷に近づこうとすると、弓を構えた男が現れ、「その屋敷はマジムン(化け物)屋敷だから近づくな」と言います。
ヒューガは構わず進み、飛んできた弓をかわし、斬りつけてきた男を簡単に捕まえてしまいます。
男を捕まえたまま屋敷に入ると、山賊たちが隠れていました。
ヒューガは山賊の頭と戦いますが、頭は降参してしまいます。
ヒューガが山賊たちから話を聞くと、彼らは島添大里按司に倒された、先代の島添大里按司の残党と大グスク按司の残党で、島添大里按司を倒すことを夢見て細々と暮らしていると言います。
ヒューガは彼らの頭となり、山賊となって暴れ回る事になります。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチのために山賊になる。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・キラマ
馬天浜のウミンチュ。カマンタ(エイ)捕りの名人。
島尻大里の「よろずや」の主人になる。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・シマブク
運玉森の山賊の頭。島添大里の残党。

・サチョー
運玉森の山賊。島添大里の残党。

・ウムン
運玉森の山賊。島添大里の残党。

・グルータ
運玉森の山賊。島添大里の残党。

・タムン
運玉森の山賊。大グスクの残党。

・ウーマ
運玉森の山賊。大グスクの残党。

・シルー
運玉森の山賊。大グスクの残党。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年10月03日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 38.久高島

サハチ(尚巴志)の妻のマチルギは三人目の子供を産みます。
三人目はようやく女の子で、祖母の名前をもらってミチと名付けられます。
マチルギはミチを抱きながら、「あなたは本当は次女みたいよ」と言います。
マチルギは対馬のイトがサハチの娘を産んだ事を知っていたのでした。
サイムンタルーとクルシの口はふさげても、船乗りたちの口はふさげず、マチルギの耳にも入ったのでした。
マチルギは鬼のような顔をして木剣を振り回し、サハチは逃げ出します。
佐敷グスクの裏山に、裏の組織を作っているウニタキの拠点となる小屋かあります。
サハチはそこに逃げ込み、ウニタキと会います。
旅に出る前、東行法師(サハチの父)はウニタキと会って話をし、仲間に加わってもらいました。
ウニタキは仲間に女を加えたいと言い、サハチは佐敷グスクで侍女をしているチルーを紹介します。
その事はマチルギから頼まれていました。
チルーがウニタキの事を好きらしいので何とかしてやりたいとマチルギは言ったのです。
ウニタキと別れてグスクに帰り、サハチはマチルギに謝ります。
マチルギはイトの事は許そうと思ったが、サハチにはひとこと言わないと気が済まないので怒ったと言います。

4月になると島添大里按司は進貢船を明国に送ります。
山南王から強引に船を借りて使者を送ったのでした。
その頃、サイムンタルーの船も馬天浜を船出して、久高島に向かいます。
その船には倭寇に扮したヒューガが乗ってました。
サイムンタルーは久高島で東行法師と会います。
東行法師は久高島に集まって来た若者たちを鍛えていました。
東行法師と今後の作戦を練っていると、ヒューガが山賊になって若者たちの食糧を手に入れると言い出します。
東行法師はヒューガに頼みます。

久高島で密談が行なわれていた時、馬天浜ではウニタキがチルーと会って、「三星党」に入れる娘の事を相談していました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
サハチの叔母。佐敷グスクの侍女。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(佐敷按司)の娘、ウミチルを産む。

・ウミチル
フカマヌルの娘、フカマ若ヌル。父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。



尚巴志伝
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2016年09月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 37.旅の収穫

東行法師となった父と弟のマサンルーが旅から帰って来たのは12月の半ばでした。
サハチ(尚巴志)は奥間にサハチの子がいたと聞いて驚きます。
サハチの子はサタルーと名付けられ、神様のお告げがあって、奥間の長老が育てているといいます。
東行法師は勝連で、勝連按司の三男が山賊に襲われて殺されたという噂を聞いていました。
サハチはウニタキが生きていて、今、裏の組織を作っている事を父に話します。
サハチが望月党の事も説明すると佐敷にも裏の組織は必要だと父は言い、様子を見て十年の計の事をウニタキに話すと言います。
今帰仁にも行って来た父は、焼け落ちた城下を再建している最中で、今帰仁グスクも拡張していると言いました。

年が明けると父は一人で久高島に行き、東行法師に扮した祖父が弟のヤグルーを連れて旅に出て行きました。
正月の半ばには、ヤマトゥからサイムンタルーがやって来ました。
五年振りの再会でした。
サイムンタルーから、四年前に対馬が高麗の襲撃に遭って、土寄浦一帯が全滅したと聞いてサハチは驚きます。
ようやく村の再建も終わって、琉球に来たのだという。
そして、イトがサハチの娘を産んだと聞いて、サハチはさらに驚きます。
娘はユキと名付けられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と一緒に旅に出る。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・クルシ
早田三郎左衛門の重臣。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年09月19日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 36.浜川大親

琉球の中部地方で高麗人の山賊が暴れているという噂が、サハチ(尚巴志)の耳に入ってきます。
奥間鍛冶屋のヤキチに聞くと、高麗では王様が代わって大騒ぎになり、落ち武者となった者が琉球に逃げて来て山賊になったようだと言います。
中グスクにも高麗の山賊が現れたとの噂が飛び交っていた頃、勝連のウニタキがサハチを訪ねて来ます。
ウニタキと会うのは久し振りで、今晩は一緒に酒を飲みながら、ウニタキの活躍話でも聞いてやろうとサハチは楽しみにします。
ところが、門番に連れられて現れたウニタキは髪は乱れ、着物も破れた悲惨な姿でした。
サハチは呆然して、何があったのかを聞きます。
ウニタキは怒りに満ちた目で、兄貴たちに家族を殺されたと言います。
今帰仁合戦で活躍したウニタキは浜川大親となり、ヤマトゥとの交易を取り仕切っていました、
中山王の孫娘を妻に迎えたウニタキを妬む二人の兄は、ウニタキが失敗して恥をかくように、今帰仁合戦の時、水軍の大将に任命します。
しかし、ウニタキは大活躍して、中山王から褒美の太刀を与えられます。
交易を任せたのも、倭寇たちを相手に失敗するに違いないと思ったからでした。
ウニタキは見事にやり遂げ、勝連と言えば、ウニタキの名が思い浮かぶほどに有名になります。
このままでは按司の座もウニタキに奪われると思った兄たちは、ウニタキの殺害を謀ったのでした。
勝連には古くから「望月党」という裏の組織があって、ウニタキは「望月党」の襲撃を受けたのでした。
「望月党」はウニタキを殺すために高麗の山賊に扮して、各地を荒らし回り、ウニタキもその山賊にやられたという事にしたのでした。
ウニタキの妻も娘も殺され、ウニタキは何とか助かりましたが、噂では死んだ事になっていました。
サハチはとにかく休めと言いますが、ウニタキはしばらく馬天浜の離れにお世話になると言って出て行きます。
妻子を失ったウニタキの心の傷は癒えず、一月が経っても、毎日、海を眺めながら呆然としていました。
そんな頃、豊見グスク按司のシタルーが訪ねて来ます。
シタルーは来月に明国に行くと言い出し、サハチは驚きます。
山南王の留学生として、三年間、明国で勉強すると言います。
シタルーが帰ったあと、馬天浜に行くとウニタキはいつものように浜辺に座り込んで海を見ていました。
サハチは黙ったままウニタキの隣りに座って海を眺めます。
ウニタキは望月党を潰すと決心を固め、そのためには望月党に対抗できる組織を作らなければならないと言います。
そして、自分はもう死んでいるので、サハチのために裏の組織を作ると言い、サハチもウニタキにお願いします。
裏の組織の名は「三星党」だと言って、ウニタキは頭を丸め、仲間を集めるために奥間村へと旅立ちます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。

・ウニョン
ウニタキの妻。武寧の長女。
望月党に殺される。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。のちの山南王、汪応祖。
山南王の官生として明国に留学する。

・勝連按司
先代勝連按司の長男。ウニタキの兄。

・江州按司
先代勝連按司の次男。ウニタキの兄。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年09月12日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 35.首里天閣

2月の初め、東行法師が志喜屋ヌルからもらった勾玉(まがたま)を持って佐敷に帰って来ました。
東行法師は久高島に渡り、フカマヌルと二十年振りの再会をし、娘のウミチルとも会いました。
久高島に籠もっていたサスカサヌルに言われて、東行法師は勾玉を馬天ヌルに渡すために帰って来たのでした。
馬天ヌルに勾玉を渡した東行法師は家族たちと会って、改めて旅立ちました。

5月になって、中山王の察度が浦添按司を息子の武寧に譲り、隠居して首里に建てた高楼に移ったとの噂が流れます。
サハチ(尚巴志)はクマヌに調べさせます。
噂は本当で、察度は三階建ての『首里天閣』と呼ばれる楼閣に移り、見物人たちが大勢押しかけて、華麗な楼閣を見上げているとの事です。
マチルギに話すと、梅雨が明けたら行きましょうと嬉しそうに言い、今年の旅は首里天閣と決まります。
その頃、東行法師は宇座の御隠居(泰期)のお世話になっていました。
梅雨が明けると東行法師は宇座の御隠居と一緒に首里天閣に行って、察度と会います。
サハチとマチルギはサムとマチルー夫婦、ヒューガと一緒に首里天閣に行きます。
首里天閣は明国の楼閣を真似した華麗で豪華な建物でした。
「凄いなあ」と見物人たちと一緒にサハチたちも見上げましたが、その時、首里天閣の三階では察度と泰期と東行法師がお茶を飲みながら昔話に花を咲かせていたのでした。
東行法師の様子を探らせていた島添大里按司は、東行法師が首里天閣にいると聞いて、「あいつは何者なんじゃ」と苦虫をかみ殺したような顔をして言いました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と共に旅に出る。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(佐敷按司)の娘、ウミチルを産む。

・ウミチル
フカマヌルの娘、父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。

・サスカサ
先代の島添大里ヌル。
島添大里グスクが落城後、久高島に逃げ、ずっとフボーヌムイに籠もっている。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・中山王、察度
浦添按司を息子の武寧に譲り、首里天閣に隠居する。。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。宇座按司を次男に譲って隠居する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・マチルー
サムの妻。クマヌの娘。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。
隠居した佐敷按司を疑い、見張りを付ける。

・奥間大親
島添大里按司の家臣。東行法師を見張る。



尚巴志伝
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2016年09月05日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 34.東行法師

年が明けた1392年の正月、佐敷按司は隠居して、頭を丸め東行法師となって旅に出ます。
サハチ(尚巴志)の弟のマサンルーが父の供として従いました。
佐敷按司が隠居した事を知ると島添大里按司は、何か裏がありそうだと疑い、家臣の奥間大親に見張れと命じます。
サハチ夫婦は佐敷グスクの一の曲輪の屋敷に移り、母と弟たちは東曲輪の屋敷に移りました。
娘たちの剣術の稽古が始まった五日の日、伊波のサムが妻のマチルーを連れて、サハチを訪ねて来ます。
サムは伊波を飛び出して来たので、佐敷に置いてくれと言います。
サハチはクマヌと相談して、サム夫婦を預かる事にします。

旅に出た東行法師とマサンルーは玉グスクの城下を見て、知念を目指します。
途中、志喜屋を通った時、東行法師はサハチの誕生を祝福してくれた志喜屋の大主を思い出します。
すでに亡くなっているとは思うが、急ぐ旅でもないので挨拶でもして行こうと大主の屋敷を訪ねます。
大主の娘の志喜屋ヌルが現れて、東行法師が佐敷から来たと言うと、目の色を変えて東行法師を見つめました。
亡くなった大主は、十年後に佐敷から誰かが訪ねて来るだろうと予言したと言います。
東行法師は驚き、志喜屋ヌルから翡翠の勾玉を贈られます。
その勾玉は代々、浦添のヌルに伝わっていた古い勾玉でした。


西行法師は西にあるという極楽を目指して西行と号しますが、琉球ではニライカナイは東にあるので、佐敷按司は東行と号しました。


登場人物

・佐敷按司
尚巴志の父、サグルー。
隠居して東行法師を名乗って旅に出る。

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ミチ
尚巴志の母。先代の美里之子(んざとぅぬしぃ)の娘。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と共に旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・マナミー
尚巴志の妹。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マチルー
尚巴志の妹。

・クルー
尚巴志の弟。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
マチルギから剣術を習っている。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
隠居した佐敷按司を疑い、見張りを付ける。

・奥間大親
島添大里按司の家臣。東行法師を見張る。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・マチルー
サムの妻。クマヌの娘。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・志喜屋ヌル(志喜屋ノロ)
志喜屋大主の娘。
父から頼まれていた勾玉を東行法師に渡す。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年09月03日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 33.十年の計

サハチ(尚巴志)は祖父のサミガー大主に呼ばれて、祖父の隠居屋敷に行きます。
祖父の屋敷には父の佐敷按司も来ていて、一緒に酒を飲もうと言います。
隣りに住んでいる馬天ヌルがお酒を持ってきて、酒盛りが始まります。
父が突然、隠居すると言い出し、祖父とサハチは驚きます。
ヤマトゥの放浪の歌人、西行を真似して、東行と名乗り、頭を丸めて気ままな旅に出ると言います。
サハチも祖父も、父の頭がいかれたのかと思いますが、これからが本題じゃと隠居する本当の理由を話します。
サハチが以前に言った「琉球を統一する」という言葉をずっと考えていた父はようやく答えを見つけたのでした。
琉球統一の第一歩として、十年後に島添大里グスクを攻め落とすと父は言い、十年間で一千の兵を育てると言います。
旅をして若い者を集め、久高島で若い者たちを鍛えると言います。
祖父も父の意見に賛成し、若者たちはわしが集めると言います。
サハチは佐敷グスクの留守番を頼まれ、十年後まで潰されずに残ってくれと言われます。
三人が改めて乾杯していると馬天ヌルがお酒を持って入って来ます。
馬天ヌルも旅をしようと思っていたのと言い出します。
馬天ヌルの話から、琉球を統一するにはヌルたちも統一しなければならない事に父は気づき、ヌルの事を馬天ヌルに頼みます。


佐敷按司は尚巴志が21歳の時に隠居します。
そして、14年後、尚巴志が武寧を倒した後、中山王思紹として再登場します。
14年間、一体、何をしていたのか、まったく謎に包まれています。
そして、尚巴志はどうやって島添大里按司を倒し、中山王の武寧を倒したのか、詳しい事は何もわかりません。
隠居した佐敷按司は密かに兵を育てていたに違いないと私は思いました。
それと、佐敷按司となった尚巴志が、なぜ、島添大里按司に潰されずに十年間、持ちこたえたのか。
私なりに解釈して、小説にしてみました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
久高島から帰って来てからヒューガの屋敷に出入りするようになり妊娠する。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年08月29日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 32.次男誕生

水軍の総大将として鳥島を奪還し、中山王の察度から褒美の太刀を賜り、機嫌良く帰って来た島添大里按司は、城下が焼かれ、大グスクが奪われた事を知ると烈火のごとく怒ります。
島添大里按司は糸数グスクに総攻撃を掛け、豊見グスク按司のシタルーの活躍によって大グスクも見事に取り返します。
6月になって、サハチ(尚巴志)はマチルギと一緒にヒューガを連れて伊波に行き、伊波按司から今帰仁合戦の様子を詳しく聞きます。
叔父の山田按司が戦死したと聞いて悲しみますが、山田按司が今帰仁按司を殺したと聞いて驚きます。
山田按司は今帰仁グスクに潜入して、今帰仁按司と若按司を殺し、見事に敵討ちを果たしたのでした。
サハチたちは山田グスクに行き、山田按司を継いだトゥク兄さんと会います。
山田按司が戦死した頃、次男が生まれ、その次男はきっと山田按司の生まれ変わりに違いないとトゥク兄さんは言いました。
その次男はマウシと名付けられました。のちの護佐丸です。
サハチたちは宇座によって、隠居した泰期と会ってから佐敷に帰ります。
伊波から帰ってからマチルギのお腹が大きくなってきました。
マチルギのお腹が大きくなるのと同じように、馬天ヌルのお腹も大きくなっていました。
馬天ヌルは恥ずかしがる事もなく大きなお腹で城下を歩き、人から聞かれると「マレビト神の子よ」と言っていました。
人々はその答えに納得していますが、誰もがお腹の子の父親がヒューガだと知っていました。
9月にマチルギは次男のジルムイを産みます。
マチルギは女の子を願っていましたが二人目も男の子でした。ジルムイはのちの尚忠です。
馬天ヌルは娘のササを産みます。


登場人物

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
今帰仁合戦では水軍の総大将として、鳥島奪回に成功する。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。

・大グスク按司
島添大里按司の三男、ヤフス。

・マナビダル
ヤフスをだます美女。糸数按司の配下。

・糸数按司
妻は玉グスク按司の娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。
今帰仁グスクに夜襲を掛け、今帰仁按司と若按司を殺して戦死する。

・トゥク
マチルギの兄。義父が戦死し、山田按司を継ぐ。

・マウシ
トゥクの次男。のちの護佐丸。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。宇座按司を次男に譲って隠居する。

・クグルー
泰期の三男。母は後妻のナミー。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
久高島から帰って来てからヒューガの屋敷に出入りするようになり妊娠する。

・ジルムイ
サハチとマチルギの次男。のちの尚忠。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝