2017年02月06日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 57.シタルーの非情

大グスクを攻め落としたサハチ(尚巴志)は半月振りに島添大里グスクに戻って来ます。
ファイチが考えて作った高い櫓がいくつもありました。
誰かが大グスクに偵察に来て、真似をしたようです。
島添大里グスクを包囲してから一月が経って、お互いに攻撃する事もなく、ただ見張っているだけでした。
兵たちは皆、疲れ切っていて、サハチが復帰した事によって、交替で兵を休ませる事になりました。

サハチは櫓に登って、島添大里グスクの中を見ます。
グスクの中は石垣によって四つに分けられ、一の曲輪には二階建ての立派な屋敷が建っていました。
大勢の避難民たちもいて、皆、疲れ果てているようです。
グスク内にこれだけ大勢の人がいれば、兵糧もまもなく尽きてしまうのではないかとサハチは心配します。
慶良間の兵たちの移動が済むまでは、兵糧が尽きない事をサハチは祈ります。

サハチが島添大里グスクに戻ってから半月後、慶良間の兵600人の移動が完了します。
その夜の明け方近く、八重瀬グスクの城下に火災が起こり、グスク内にいた避難民が騒ぎ出し、グスクの門が開いて避難民が飛び出して来ます。
開いた門に包囲していた兵が突入して、八重瀬グスクは落城します。
ウニタキが八重瀬グスク内に潜入して、門を開いたのでした。
その日の正午近く、人質を手に入れたシタルーはタブチと交渉します。
人質を殺されたくなかったら、島尻大里グスクを明け渡せと言います。
シタルーはタブチの側室を殺してしまいます。
ついにタブチは降参して、シタルーに島尻大里グスクを明け渡して、八重瀬グスクに引き上げます。

翌日、タブチの使者が来て、シタルーの兵がが攻めて来るので撤収しろと伝えます。
あともう少しで落城するのにと悔しがりながら、東方の按司たちは引き上げて行きます。
サハチも兵を引きつれて、大グスクに帰ります。


◇島尻大里合戦

1401年 11月22日、汪英紫、死す。
          タブチ、その日のうちに島尻大里グスクを制圧する。
      11月23日、タブチ、父の葬儀を行なう。
      11月24日、シタルー、タブチに父の遺言を告げるが撥ねつけられる。
      11月25日、シタルー、島尻大里グスクを攻める。
      11月29日、タブチに付いた米須按司たち、シタルーの兵を蹴散らす。
          東方の按司たち、島添大里グスクを攻める。
      12月8日、シタルーを助けるため中山王が中部の按司たちを率いて包囲陣に加わる。
      12月9日、知念按司が大グスクを攻める。
      12月14日、シタルー方の中グスク按司と越来按司が八重瀬グスクを攻める。
      12月15日、タブチ方の米須按司たち、豊見グスクを攻める。
      12月20日、知念按司、夜襲にやられて大グスクから引き上げて来る。
          尚巴志、大グスクを攻める。
1402年 正月2日、ファイチ、大グスクの抜け穴を発見する。
      正月3日、尚巴志、大グスクを攻め落とす。
      正月4日、尚巴志の父とヒューガ、慶良間の島に帰り、兵の移動を始める。
      正月7日、尚巴志、島添大里グスクの攻撃に戻る。
      正月22日、慶良間の兵600人の移動が完了する。
      正月23日、早朝、八重瀬グスクが落城し、タブチの家族が人質となる。
      正月26日、シタルー、人質の命と引き替えに島尻大里グスクを手に入れる。
      正月27日、タブチからの撤収命令が島添大里グスクの包囲陣に来る。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・玉グスク按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・糸数按司
南部東方の按司。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・垣花按司
南部東方の按司。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。
佐敷按司の重臣。

・ファイチ(懐機)
明国から逃げて来た道士。
家族を佐敷に連れて来て、尚巴志のために活躍する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。

・イブキ
ヤマトゥの山伏。ウニタキの師匠。
ウニタキの配下になり、島添大里の「よろずや」の主人となる。

・ムトゥ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。
島添大里の「よろずや」の売り子。

・ハンルク
奥間の研ぎ師。ウニタキの配下。
八重瀬城下に住み、研ぎ師としてタブチに信頼されている。

・シタルー
豊見グスク按司。
汪英紫の次男。
山南王の官生として明国に留学する。
のちの山南王、汪応祖。

・タブチ
八重瀬按司
汪英紫の長男、シタルーの兄。

・武寧
中山王。浦添按司。
フニムイ。察度の長男。
妻は汪英紫の娘で、タブチとシタルーの義兄。
山北王、攀安知の義父。
シタルーの味方をする。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2017年01月30日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 56.作戦開始

サハチ(尚巴志)が大グスクを攻め落としたあと、大グスクの城下に住んでいた者たちが集まって来て喜びますが、その中に、死んだと思っていた大グスクヌルのマナビーがいました。
サハチはマナビーとの再会を喜び、小禄の近くに隠れ住んでいる若按司に、大グスクを返すと約束します。

大グスクを攻め取ったサハチは次に島添大里グスクを奪い取らなければなりません。
サハチの父は、隠居したあと、慶良間の島で兵を育てて来た事を重臣たちに打ち明けます。
九百人の兵が慶良間の島にいると聞いて、重臣たちは驚きました。
佐敷の兵をたせば一千人になります。
一千人の兵力があれば、島添大里グスクを落とすのも夢ではありません。
兵力は充分なのですが、東方(あがりかた)の按司たちと一緒に島添大里グスクを攻めていたら落とす事はできません。
どうしたら東方の按司たちを島添大里グスク攻めから引き上げさせる事ができるか、サハチたちは考えます。

豊見グスク按司のシタルーが戦に勝てば、シタルーの兵が島添大里グスクに攻めて来て、東方の按司たちは本拠地を守るために引き上げるだろうと結論が出ます。
シタルーを勝たせるためには、中山王の兵が今、攻めている八重瀬グスクを落とさなければなりません。
八重瀬グスク内には、ウニタキの配下の研ぎ師がいますが、たった一人では難しいので、ウニタキが配下を率いて八重瀬グスクに潜入する事に決まります。
グスク内に潜入して、中から門を開いて、中山王の兵を突入させるのです。

サハチの父はヒューガを連れて、慶良間の兵たちを移動させるために大グスクから去って行きます。
ウニタキは八重瀬グスクに向かい、サハチは再び、島添大里グスク攻めに加わります。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・大グスクヌル(大城ノロ)
マナビー。サハチの幼馴染み。

・屋比久大親
佐敷按司の重臣。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・當山之子
佐敷按司の家臣。美里之子の弟。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。
佐敷按司の重臣。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。

・ファイチ(懐機)
明国から逃げて来た道士。
家族を佐敷に連れて来て、尚巴志のために活躍する。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になり、慶良間の島の修行者たちの食糧を調達する。

・マサンルー
尚巴志の弟。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2017年01月23日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 55.大グスク攻め

17年振りに大グスクに来たサハチ(尚巴志)は昔の事を思い出していました。
子供の頃、一緒に遊んだ大グスクヌルになったマナビーの事を思い出していました。
亡くなった山南王(汪英紫)に攻められて、大グスク按司は戦死し、マナビーも亡くなりました。

城下の者たちは誰もいませんでした。
サハチはグスクの近くにある屋敷を本陣にして、兵を配置して、重臣たちと作戦を練ります。
敵が夜襲を仕掛けてくるに違いないと見込んで、罠を仕掛けて、敵の出方を待ちました。

三日目の早朝、敵は攻めて来ました。
見事に罠に掛かって、敵は全滅しました。
その日、ファイチ、ヒューガ、サムの三人が作っていた高さが6メートルもある櫓が完成しました。
サハチが櫓に登って、グスクの中を見下ろすと、避難民の姿はどこにもありませんでした。
城下の者たちはグスク内に逃げるのを嫌って、山を下りたようでした。
サハチが櫓から下りると、義兄のサムが敵を倒してやると言って、弓矢を持って櫓の上に登りました。

大グスクに来て六日目、サハチは櫓から大グスクを眺めながら考えていました。
今帰仁合戦の時、大グスクは糸数按司に奪われましたが、シタルーはたったの一日で大グスクを取り戻していました。
シタルーはどうやって、このグスクを攻め落としたのだろうか。
ウニタキがやって来て、島尻大里の戦況をサハチに知らせました。
ウニタキの顔を見て、サハチはある事に気づきました。
ウニタキは山賊に襲撃された時、まだ完成していない抜け穴に逃げて、命が助かったと言っていました。
シタルーもきっと抜け穴を掘ったに違いないと考えます。
抜け穴からグスクに潜入すれば一日でグスクを落とす事も可能です。
サハチは本陣の屋敷に戻ると重臣たちに抜け穴の事を話し、みんなで抜け穴を探します。

五日が過ぎましたが、抜け穴は見つかりませんでした。
年が明けて、馬天ヌルと佐敷ヌルがやって来て、新年の儀式を行ないました。
次の日、ファイチが抜け穴を見つけました。
抜け穴の入り口は大グスクの裏の崖にある風葬地になっている洞窟でした。
ファイチはすでに抜け穴を調べて、グスク内のウタキに通じていると言いました。

次の日、総攻撃が始まります。
苗代大親が兵を率いて抜け穴を通ってグスクに潜入して門を開け、クマヌと當山之子が率いる兵が門が開くと同時に攻め込みます。
作戦はうまくいって、大グスクは落城します。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。

・ファイチ(懐機)
明国から逃げて来た道士。
家族を佐敷に連れて来て、尚巴志のために活躍する。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になり、慶良間の島の修行者たちの食糧を調達する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。
佐敷按司の重臣。

・當山之子
佐敷按司の家臣。美里之子の弟。

・屋比久大親
佐敷按司の重臣。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・ユミー
馬天ヌルと一緒に旅をした後、ヌルになる。

・クルー
馬天ヌルと一緒に旅をした後、ヌルになる。

・内原之子
島添大里按司の家臣。大グスクの守将。



尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2017年01月16日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 54.家督争い

八重瀬按司のタブチの行動は素早く、父親の汪英紫が亡くなったその日の夕方には島尻大里グスクを占拠しました。
タブチは重臣たちを集め、山南王になる事を宣言しますが、反対する重臣はいませんでした。
亡くなった汪英紫が、次男のシタルーを山南王にする事を願っていたのを知っていた重臣たちも、長男を差し置いて次男に家督を継がせる事に抵抗を感じていました。
タブチは今帰仁合戦でも活躍しているし、最近は思慮深くもなっているので、先代の願いだけで、タブチを排除するのは難しいと思っていました。
重臣たちは先代から預かっていた遺言を書いた書状をタブチに渡し、タブチはその書状を燃やしてしまいます。
次の日、タブチは父親の葬儀を行ないますが、弟のシタルーもヤフスも来ませんでした。

翌日、豊見グスク按司のシタルーが兵を率いて島尻大里グスクにやって来ます。
重臣たちの見守る中、タブチとシタルーは話し合いをします。
シタルーは父親の遺言状を見せて、自分が跡を継ぐ事を主張しますが、重臣たちは従いません。
父が生きていた頃、シタルーを支持していた重臣たちは皆、裏切ってしまいました。
シタルーは自分の思い通りにならない事に怒り狂って陣地に帰りました。
その日はにらみ合っているだけで、戦にはなりませんでしたが、城下の者たちは大騒ぎをしています。
シタルーの兵は逃げようとしている城下の者たちをグスクの中に追い込みました。
グスクの中に城下の者を多く入れれば、その分、兵糧が早くなくなるからです。
次の日からシタルーの攻撃が始まりますが、兵力が足りませんでした。

島尻大里の様子を探っていたサハチ(尚巴志)は、やがて、中山王が出て来てシタルーの味方をするだろう。タブチとシタルーが中山王を交えて戦を始めたら、その隙に島添大里グスクを奪い取ろうと作戦を立てます。
ところが、タブチから出陣要請が来て、東方(あがりかた)の按司たち全員で島添大里グスクを攻めてくれと言って来ました。
東方の按司たち全員で攻めたら、島添大里グスクを落とすわけにはいきません。もし、落城してしまったら、島添大里グスクは一番手柄を立てた者のものとなってしまいます。
誰が手柄を立てるにせよ、東方の按司のものとなってしまえば、攻め取る事はできなくなってしまいます。
島添大里グスク内にいるウニタキの配下のトゥミに活躍してもらうつもりでしたが、東方の按司たちが攻めている間は動くなとウニタキは知らせに走りました。

その頃、中山王の武寧はタブチとシタルーを秤に掛けていました。
タブチは戦に介入するなと言い、シタルーは援軍を頼むと言ってきています。
武寧は義父の汪英紫から、シタルーを頼むと書いてある遺言状も預かっています。
義父は恐ろしい男で、武寧も逆らえませんでしたが、亡くなってしまえば、山南をどうするかは、武寧が決めると思っています。
どっちを山南王にするかと武寧は悩みます。

サハチは兵を率いて出陣し、東方の按司たちと一緒に島添大里グスクを攻めます。
総攻撃を掛けますが、高い石垣に囲まれている島添大里グスクを落とす事はできません。
12月に入ると急に寒くなって、戦をするよりも、焚き火のための薪集めが日課になっていきました。
今年は台風が来て作物がやられ、グスク内にも大して兵糧もないだろう。食う物がなくなって、やがて降参するだろうと糸数按司は言います。
ウニタキがやって来て、中山王が中部の按司たちを連れて、シタルーの味方をしたと知らせます。
中山王の兵が加わって、シタルーは島尻大里グスクを完全に包囲します。

武寧がシタルーを助ける事に決めたのは、首里に新しいグスクを築くにはシタルーの力が必要だと考えたからでした。
シタルーは自ら指揮して豊見グスクを築いているし、明国に留学もしているので、明国の宮殿の事にも詳しい。明国の宮殿のような立派なグスクを築こうと思っている武寧にとって、シタルーの存在は不可欠だったのです。

戦は膠着状態に入り、知念按司は大グスクを攻めると言って出て行きました。もし落とせたら、大グスクをもらえるという了解も得て、勇んで出掛けました。
中山王と共に出陣してきた越来按司と中グスク按司はタブチの本拠地、八重瀬グスクを攻め始めました。
タブチ側の米須按司はシタルーの本拠地の豊見グスクを攻め始めます。
大グスクを攻めていた知念按司が、大グスクを落とすのは無理だと言って引き上げてきました。
糸数按司に言われて、サハチは大グスクを攻める事になります。


登場人物

・タブチ
八重瀬按司
汪英紫の長男、シタルーの兄。

・シタルー
豊見グスク按司。
汪英紫の次男。
山南王の官生として明国に留学する。
のちの山南王、汪応祖。

・ヤフス
島添大里按司。
汪英紫の三男。
シタルーの味方をする。

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。

・ファイチ(懐機)
明国から逃げて来た道士。
家族を佐敷に連れて来て、尚巴志のために活躍する。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になり、慶良間の島の修行者たちの食糧を調達する。

・武寧
中山王。浦添按司。
フニムイ。察度の長男。
妻は汪英紫の娘で、タブチとシタルーの義兄。
山北王、攀安知の義父。
シタルーの味方をする。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・玉グスク按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・糸数按司
南部東方の按司。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・垣花按司
南部東方の按司。
タブチの味方をして島添大里グスクを攻める。

・米須按司
武寧の弟。察度の次男。
タブチの味方をして、中山王、豊見グスク按司と戦う。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2017年01月09日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 53.汪英紫、死す

ファイチ(懐機)は家族を連れて佐敷に移って来てから、琉球を知るために旅に出ました。
八重瀬按司のタブチは垣花按司の娘を次男の嫁に迎え、娘を玉グスク按司の三男に嫁がせて、着実と東方(あがりかた)の按司たちとの関係を強化しました。
マチルギのお腹が大きくなって、今年の恒例の旅は中止となりました。
佐敷ヌルはがっかりしましたが、馬天ヌルと一緒にウタキ巡りの旅に出ました。

ファイチが旅から帰って来たのは7月の半ばでした。
各地を見て来たファイチは、山北王は益々栄え、中山王は十年以内に転び、山南王は一年以内に亡くなるだろうとサハチ(尚巴志)に話します。
ファイチの言った事をウニタキに話そうと、サハチがウニタキの屋敷に行くと、ウニタキは見た事もない楽器を鳴らしていて、子供たちが笑っていました。
サハチが聞くと、三弦(サンシェン)という明国の楽器で、浮島で唐人が弾いているのを見て感動し、面白そうだと手に入れたが、うまく弾けないと言いました。
サハチはウニタキが三弦を弾きながら歌を歌うと聞いて大笑いします。
中山王の武寧が、倒れたままだった首里天閣を片付けて、その地に新たなグスクを築くようだとウニタキは言います。
首里天閣は先代の中山王、察度が浦添按司を武寧に譲ったあとに暮らしていましたが、察度が亡くなったあと、台風で倒れて、そのまま放置されていました。
察度は高台の上にある首里に都を移そうと考えていましたが、栄えている浦添から都を移すのは難しいと諦めました。
父親の察度があまりにも偉大だったため、何をやっても父親と比べられる武寧は、父親が果たせなかった夢を実現させて、皆を見返してやろうと考えたのでした。

8月にマチルギは男の子を産みます。サハチの六男はウリーと名付けられました。
8月下旬に大きな台風がやって来て、明国から来ていた密貿易船がかなりの被害を受けました。
佐敷も被害を受けて、復旧には三か月も掛かりました。

復旧も終わって一安心したサハチが、久し振りに横笛を吹いているとウニタキがやって来て、山南王が亡くなった事を知らせました。
1401年11月、サハチの宿敵だった、山南王の汪英紫は六十四歳の生涯を閉じたのでした。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ファイチ(懐機)
明国から逃げて来た道士。
家族を佐敷に連れて来て、旅に出る。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。
ファイチの家族を預かる。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・八重瀬按司
汪英紫の長男、タブチ。

・山南王
汪英紫。武寧の義父。
島尻大里グスクを奪い取って、島添大里按司から山南王になる。



尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2017年01月02日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 52.不思議な唐人

梅雨が明けて、恒例の旅に出たサハチ(尚巴志)たちは久米村で不思議な唐人と出会います。
三人のならず者たちを手も出さずに倒してしまう不思議な術を使う唐人でした。
旅から帰ってクマヌに聞くと、その男は道士に違いないと言いました。
山伏のように山に籠もって厳しい修行を積んで、自然と一体化して、雨を降らしたり、風を呼んだりする事ができるようになるとの事です。
サハチはその唐人に興味を持ちますが、言葉が通じないのではしょうがないと諦めます。

年末に祖父のサミガー大主が帰ってきて、旅も終わったと言います。
あと一年あるはずですが、ヒューガが心配して、来年はヒューガの配下が東行法師に扮して旅に出るとの事でした。
祖父も七十歳を過ぎ、旅の途中で倒れたりしないかと父も心配したようでした。
馬天ヌルも北の果てまで行って来たので、旅は終わったと言いました。
馬天ヌルは奥間に行って、サハチの息子のサタルーに会っていました。
父もキラマの島から帰ってきて、「いよいよ、あと一年だ。準備を完了させて、絶好の時を待つ」と言いました。

年が明けて、三月、マサンルーの平田グスクも完成し、サハチはクマヌと一緒に平田グスクの裏山の須久名森(すくなむい)に登ります。
須久名森に一千の兵が隠せる事を確認して、佐敷に戻ると馬天ヌルが娘のササと一緒に待っていました。
馬天浜に唐人がいて、その唐人はサハチのためになる人だとササは言います。
サハチは馬天ヌル母子と一緒に馬天浜に行って、唐人と会います。
砂浜に座って海を見ていた唐人は去年の五月に久米村で会った不思議な唐人でした。
唐人は島言葉をしゃべり、「久米村はよくない。ここはいい所です」と言います。
サハチは自己紹介して、唐人をお客様として迎える事にします。
唐人の名はファイチ(懐機)といい、サハチの生涯の友として、サハチを助ける事になります。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マカミー
マタルーの妻。八重瀬按司、タブチの娘。

・サミガー大主
サハチの祖父。
鮫皮造りを隠居し、東行法師に扮して旅に出て、若者たちを慶良間の島に送り込む。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。

・ファイチ(懐機)
明国から逃げて来た道士。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年12月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 51.シンゴとの再会

サハチ(尚巴志)の弟、マタルーが八重瀬按司の娘を嫁に迎える事に決まり、サハチはマサンルーのために平田にグスクを築き始めました。
年末になって、祖父のサミガー大主と一緒に旅をしていたマタルーが帰って来ます。
マタルーに話すと、特に好きな娘もいないので、それで構わないと言いますが、敵である八重瀬按司の娘とどう接したらいいのか心配のようでした。
旅から帰って来た馬天ヌルに、マタルーの嫁の事を話すと、大丈夫よと言います。
馬天ヌルはマタルーと一緒になる事に決まった娘を知っていて、武芸好きな娘だから、マチルギと気が合うだろうと言いました。
旅から帰って来た父も、馬天ヌルの了解済みなら、嫁にもらおうと賛成します。

年が明けて、八重瀬からマタルーの花嫁が嫁いできます。
マサンルーは平田グスクに移りました。
婚礼が終わると、父も祖父も馬天ヌルも旅に出ていきます。
サミガー大主はマタルーに代わって、苗代大親の次男、サンダーを連れて旅に出ていきました。

正月の末、ヤマトゥから船が来ましたが、サイムンタルーではなく、シンゴが大将としてやって来ました。
十二年振りの再会でした。
シンゴから、サイムンタルーが朝鮮に投降したと聞いてサハチは驚きます。
投降したといっても捕虜になったわけではなく、宣略将軍という地位を与えられて、倭寇の取り締まりをやっていると言います。
サイムンタルーだけでなく、主立った倭寇の首領たちはほとんどの者が朝鮮に投降したとシンゴは言いました。
サハチの娘のユキは十三歳になって、母親のイトから剣術を習っているようです。
サハチはシンゴを連れて、各地を案内して、シンゴも琉球はいい所だと感動します。


◇朝鮮の倭寇懐柔策
高麗王国を倒した李成桂は国名を朝鮮と改め、倭寇対策に乗り出しますが、寝返る事を潔しとしなかった多くの重臣たちを殺してしまったため、倭寇退治をする武将もいなくなってしまいました。
苦肉の策として考えたのが倭寇懐柔策で、倭寇の首領を配下の者たちと一緒にそっくり召し抱えて、倭寇退治をさせようと考えたのです。
投降した倭寇に官職を与え、屋敷や食糧なども与えて優遇します。
早田左衛門太郎も朝鮮の武将に説得されて、投降する事を決心し、宣略将軍という地位を与えられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・兼久大親
佐敷按司の重臣。平田グスクの普請奉行。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マカミー
マタルーの妻。八重瀬按司、タブチの娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サミガー大主
サハチの祖父。
鮫皮造りを隠居し、東行法師に扮して旅に出て、若者たちを慶良間の島に送り込む。

・サンダー
苗代大親の次男。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。

・シンゴ
早田新五郎。サイムンタルーの弟。
兄のサイムンタルーが朝鮮に投降したため、お屋形様の代理を務める。

・サイムンタルー
早田左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいたが、兄が戦死し、父が隠居して、早田家のお屋形様になる。
朝鮮に投降して、宣略将軍の地位を与えられ、倭寇の取り締まりをする。

・イト
対馬の娘。サハチの娘、ユキを産む。



尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年12月19日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 50.マジムン屋敷の美女

明国の洪武帝が亡くなって、朝貢ができなくなってしまいましたが、密貿易船が続々と琉球にやって来ました。
毎年恒例の旅でサハチ(尚巴志)夫婦は、佐敷ヌルと弟のヤグルー夫婦を連れて浮島に行き、その賑わいに驚きます。
浮島のハリマの宿屋もお客がいっぱいで泊まる事ができず、サハチたちは松尾山で野宿をしました。
旅から帰ったサハチは、浮島に拠点を作ってくれとウニタキに頼み、ウニタキは『よろずや』を浮島に出そうと言いました。

7月の半ば、サハチはウニタキに呼ばれて、ウニタキの屋敷に行くとクマヌがいました。
ウニタキは配下の女、トゥミを島添大里グスクに側室として潜入させる事に成功したと言います。
5年掛かって、ようやく、島添大里按司のヤフスがトゥミと出会い、側室に迎え入れたとの事です。
島添大里城下には、ウニタキの配下がいる『よろずや』があり、よろずやの店員のムトゥが島添大里グスクに出入りしていて、トゥミと連絡が取れるとウニタキは言いました。
これで島添大里グスクを落とせるとサハチはウニタキに感謝します。

8月に八重瀬按司のタブチから、娘をサハチの弟のマタルーの嫁に迎えてくれと使者がやって来ます。
サハチは驚き、東方の按司たちと相談して、敵である八重瀬按司の娘を嫁に迎える事に決めます。

11月、マチルギは念願の女の子を産み、サハチの次女はマチルーと名付けられます。


1398年閏5月に洪武帝が亡くなると、明国では内乱が始まり、進貢船は泉州まで行っても、応天府(南京)まで行く事ができず、進貢はできませんでした。
中山王が1398年の4月に進貢したのが最後で、その後、永楽帝が即位した翌年の1403年まで5年間は進貢できませんでした。
1403年に中山王、山北王、山南王は進貢船を送って、永楽帝を祝福します。
永楽帝も琉球に返礼の使者を送り、翌年には、琉球に初めて冊封使が来る事になります。



登場人物


・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
ウニタキの妻。尚巴志の叔母。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・島添大里按司
汪英紫の三男、ヤフス。

・トゥミ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・ムトゥ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・カマ
佐敷グスクの侍女をしていたが引退し、トゥミの母親役を務める。

・八重瀬按司
汪英紫の長男、タブチ。

・玉グスク按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・糸数按司
南部東方の按司。

・垣花按司
南部東方の按司。

・マチルー
尚巴志の次女。



尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年12月12日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 49.宇座の御隠居

年が明けて、1398年となり、サハチ(尚巴志)は27歳になりました。
父が隠居して佐敷按司となって、7年目が始まりました。
周りの状況も7年前とは随分と変わりました。
島添大里按司だった汪英紫が山南王になり、察度が亡くなって武寧が中山王になり、今帰仁ではマチルギの敵だった帕尼芝が亡くなり、孫の攀安知が山北王になっています。
三人の王は親子関係にあって、山南王の娘が中山王の妻となり、中山王の娘が山北王の妻になっています。
そして今、長年敵対関係にあった八重瀬按司のタブチと糸数按司が結ぼうとしています。

新年の行事が済むと、父は若い者たちを鍛えるために慶良間の島に帰り、祖父は若い者たちを集めるために、弟のマタルーを連れて旅に出ます。
馬天ヌルも各地のウタキを巡る旅に出ます。
馬天ヌルは各地のヌルたちと仲よくなって尊敬もされ、数々の奇跡も起こしていました。

二月の初め、糸数按司の娘が八重瀬の若按司に嫁いで行きました。
婚礼から帰ると、ウニタキが待っていて、宇座の御隠居(泰期)が亡くなった事を知らせます。
サハチは驚き、亡くなる前に会いたかったと悔やみます。
葬儀に行けないサハチはマチルギ、クマヌ、ウニタキと一緒に、宇座の御隠居の冥福を祈ります。

宇座の御隠居の葬儀から一月ほどして、御隠居の後妻だったナミーが息子のクグルーを連れて佐敷グスクに来ました。
もし、クグルーがサムレーになりたいと言ったら、佐敷に連れて行けと御隠居に言われたとナミーは言います。
サハチは不思議に思って、どうして、浦添や小禄ではなく、佐敷につれて来たのかとナミーに聞きます。
御隠居はサハチ夫婦が訪ねて来るのを楽しみにしていて、御隠居が心を許して話ができたのはサハチ夫婦だけだったとナミーは言います。
サハチは感動します。そして、御隠居が楽しみにしていたのなら、毎年、会いに行けばよかったと後悔します。
サハチはクグルー母子を引き取ります。

梅雨は明けたましたが、マチルギのお腹が大きくなっていたので、今年の旅は中止になります。
弟のマサンルー夫婦が母と妹たちを連れて「ハーリー」を見に行きました。

七月に大きな台風が来て、首里天閣が倒壊しました。
台風の三日後、マチルギは六番目の子供を無事に産み、生まれた男の子はマグルーと名付けられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サミガー大主
サハチの祖父。
鮫皮造りを隠居し、東行法師に扮して旅に出て、若者たちを慶良間の島に送り込む。

・マタルー
尚巴志の弟。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。

・ナミー
宇座按司の御隠居の後妻。ウミンチュの娘。

・クグルー
泰期の三男。母は後妻のナミー。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年12月05日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 48.ハーリー

3月に玉グスク按司の娘が中山王の三男に嫁ぎ、浦添グスクで盛大な婚礼が行なわれ、琉球中の按司たちが集まりました。
サハチ(尚巴志)も南部東方の按司たちと一緒に参列しましたが、肩身の狭い思いをします。

5月の恒例の旅で、サハチとマチルギは佐敷ヌル、弟のヤグルー夫婦を連れて、豊見グスク按司のシタルーが始めた「ハーリー」を見に行きます。
あまりにも多くの人がいて、佐敷ヌルとヤグルーの妻のウミチルは驚きます。
「ハーリー」を見てから、次にどこに行くと佐敷ヌルに聞くと、佐敷ヌルは久高島に行ってみたいと言います。
サハチたちは一旦、佐敷に戻ってから、次の日、久高島に行きます。
久高島にはフカマヌルもマニウシもいなくて、フカマヌルの娘がフカマヌルを継いでいて、マニウシの奥さんと末娘が留守番をしていました。
修行者たちと一緒にみんな、慶良間の島に行ってしまったと言います。
佐敷ヌルはフカマヌルに連れられて、フボーヌムイに三日間、籠もります。

旅から帰って来た佐敷ヌルは変わります。
子供の頃からヌルになるために育てられた佐敷ヌルは、ヌルとして自分を戒めながら生きて来ましたが、フボーヌムイに籠もってからは肩の力が抜けたように、娘たちとも接するようになり、佐敷ヌルの屋敷は娘たちの溜まり場のようになります。
そして、フボーヌムイで神様から延々と聞かされた琉球の歴史をサハチに話します。
ヤマトゥ系の中山王と山北王を倒して、天孫氏であるサハチが琉球を統一しなさいと神様はおっしゃったと佐敷ヌルは告げます。

佐敷ヌルは「ツキシルの石」が光るのを見ました。
神様が琉球の歴史を話した理由がわからなかった佐敷ヌルは「ツキシルの石」が光るの見て、何もかもがわかりました。
最初に「ツキシルの石」が光るのを見たのはサハチの父で、二度目に見たのは志喜屋の大主、三度目がマチルギで、四度目は馬天ヌル、五度目が佐敷ヌルでした。

6月になって、サハチはウニタキから八重瀬按司のタブチが糸数按司と結ぼうとしている事を知らされます。
敵同士であるタブチと糸数按司が結ぶなんて、信じられませんでしたが、タブチは先の事を考えて、東方の按司たちと結ぼうと考えているようです。
父の山南王が亡くなった時、弟のシタルーが山南王にならないように、準備を進めているようです。

糸数按司から使者が来て、サハチは糸数グスクに行きます。
糸数グスクには東方の按司たちが集まっていました。
サハチは島添大里按司とつながっていると東方の按司たちに疑われていました。
3月の婚礼の時、そんな素振りを見せなかったので、ようやく信用されて、東方の按司たちの集まりに呼ばれたのでした。
タブチと結ぶかどうかを皆で話し合い、結局、タブチと手を結ぶ事に決まりました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻。

・フカマヌル(外間ノロ)
久高島のフカマヌルの娘でフカマヌルを継ぐ。
父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。知念の若按司の妻になる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サミガー大主
サハチの祖父。
鮫皮造りを隠居し、東行法師に扮して旅に出て、若者たちを慶良間の島に送り込む。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になり、慶良間の島の修行者たちの食糧を調達する。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。

・玉グスク按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・糸数按司
南部東方の按司。

・垣花按司
南部東方の按司。

・中山王
フニムイ、武寧。妻は汪英紫の娘。攀安知の義父。
察度の跡を継いで、中山王になる。

・山南王
汪英紫。武寧の義父。
島尻大里グスクを奪い取って、島添大里按司から山南王になる。

・山北王
ハーン、攀安知。妻は武寧の娘、マアサ。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・山田按司
マチルギの兄、トゥク。

・豊見グスク按司。
汪英紫の次男、シタルー。のちの山南王、汪応祖。
山南王の官生として明国に留学する。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
ウニタキの妻。サハチの叔母。

・ミヨン
ウニタキの長女。

・八重瀬按司
汪英紫の長男、タブチ。



尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球