2016年08月01日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 27.豊見グスク

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚礼の翌日、大グスク按司のシタルーがサハチを訪ねて来ます。
シタルーは新しく築いている豊見グスクに移り、大グスクには弟のヤフスか入ると言います。
サハチはヤフスの事をクマヌに聞きますが、クマヌも詳しい事は知りませんでした。
サハチは奥間鍛冶屋のヤキチを訪ねます。ヤキチはヤフスの事を知っていました。
ヤフスの事を詳しく聞き、各地にいる奥間大親の事も聞きます。
四月になるとシタルーは豊見グスクに移り、ヤフスが大グスクに入って大グスク按司を名乗りました。
五月になるとマチルギが去年の旅を思い出して、今年も旅に出たいと言い出します。
サハチも旅に出たい心境だったので、父に相談します。
だめだと言われると思っていたのに、父は許してくれました。
翌日の朝、サハチとマチルギがヒューガの屋敷を訪ねると、何と叔母の馬天ヌルがいて、一緒に旅に出ると言います。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、祖父はサミガー大主。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。

・シタルー
大グスク按司から豊見グスク按司になる。
島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。

・ヤフス
具志頭の若按司から大グスク按司になる。
島添大里按司の三男。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年07月28日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 26.高麗の対馬奇襲

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚礼が行なわれていた頃、高麗の軍船が対馬の土寄浦を攻撃していました。
高麗ではクーデターが起こって、李成桂(イソンゲ)が政権を握り、倭寇の本拠地である対馬攻撃を決定したのでした。
大砲を積んだ高麗の軍船百隻は対馬の浅海湾を目指してやって来ました。
去年の夏に生まれたサハチの娘、ユキに乳を飲ませていたイトは、突然、雷が落ちたような音を聞いて驚きます。
高麗軍が大砲を撃ち込んでいたのです。
男たちは武器を持って村を守り、女たちは山の中に逃げ込みました。
高麗の兵は上陸して来ましたが、男たちによって追い返されました。しかし、敵の大砲によって、家々は焼かれ、船も沈んでしまいます。
その時、サンルーザとサイムンタルーは家臣たちを引き連れて高麗を攻めていました。
その留守を狙われて、土寄浦周辺は壊滅状態になってしまったのです。


登場人物

・イト
イスケの娘。サハチの娘、ユキを産む。

・イスケ
イトの父親。

・マユ
土寄浦の娘。

・サワ
土寄浦の後家。

・トミ
土寄浦の娘。

・早田丹後守
サイムンタルーの叔父。

・中尾潮漸
サイムンタルーの妻の祖父。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・李成桂(イソンゲ)
高麗の武将。朝鮮王朝の初代王となる。

・朴葳(パクウィ)
倭寇討伐で活躍した高麗の武将。
対馬を攻撃した高麗軍の総大将。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年07月23日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 25.お輿入れ

サハチ(尚巴志)とマチルギの新居となる佐敷グスクの東曲輪(あがりくるわ)が完成し、12月の末には東曲輪の庭で娘たちの剣術の試合が行なわれました。
試合の翌日、マチルギとサムは伊波に帰って行きました。
次にマチルギが佐敷に来るのは2月の婚礼の日です。
大晦日の前日、サハチが東曲輪でマチルギの事を思っていると、勝連のウニタキが訪ねて来ます。
ウニタキはすでに中山王の察度の孫娘を妻に迎えていました。
浮島(那覇)で、倭寇がさらって来た高麗人が売り買いされているとウニタキはサハチに言います。
その事を妻の父親である武寧に話すと、武寧は怒って、連れ去られて来た高麗人たちを本国に送り返してやると言います。
ウニタキの母親も武寧の母親も高麗人だったのです。
翌年の夏、察度は高麗に使者を送って、倭寇によって連れ去られて来た高麗人を高麗に連れ返します。
ウニタキの一言によって、琉球と高麗との交易が始まるのです。

年が明けて、洪武22年(1389年)となり、サハチの妹のマシューが佐敷ヌルになります。
2月にはマチルギが伊波から嫁いできました。
花嫁のマチルギは佐敷の人たちから大歓迎されます。
佐敷グスクはマチルギを祝福する人たちで埋め尽くされます。
サハチとマチルギの婚礼の儀式は大勢の人たちに見守られて無事に終わり、二人はめでたく夫婦になりました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、祖父はサミガー大主。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
マチルギが佐敷に嫁いだあと、一年間、佐敷に残る事になる。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルー
クマヌの娘。マチルギから剣術を習っている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・馬天ヌル
尚巴志の叔母。マチルギから剣術を習っている。

・佐敷ヌル
尚巴志の妹、マシュー。マチルギから剣術を習っている。

・苗代大親
尚巴志の叔父。苗代之子から苗代大親に昇格する。

・平敷大親
伊波按司の重臣。

・チルー
美里之子の娘。尚巴志の叔母。
東曲輪の侍女の頭になる。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年07月18日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 24.山田按司

名護から道なき道を通って、サハチ(尚巴志)たちは伊波グスクに向かいます。
マチルギとサムが今帰仁に行って来たと言うと伊波按司は驚きます。
次の日、サハチたちはマチルギの叔父、山田按司を訪ねます。
山田按司は山伏の格好をしていて、目に見えない凄い力を持っている不気味な男でした。
サハチとマチルギは山田按司に祝福されます。
山田グスクを去った一行は宇座按司(泰期)を訪ねますが、宇座按司は浦添に行っていて留守でした。


その頃、国場川と饒波川の合流地点の山の中で、島添大里按司とその次男のシタルーが新しいグスクを築く相談をしていました。
豊見グスクです。
島添大里按司は浮島の近くに新しい拠点を築いて、明国との交易に力を入れようと考えていたのです。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。

・トゥク
山田若按司。マチルギの兄。

・ナミー
宇座按司の若い奥さん。ウミンチュの娘。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。

・シタルー
大グスク按司。島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。



尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年07月11日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 23.名護の夜

勝連グスクから帰ったサハチ(尚巴志)が、マチルギにグスクの様子を話すと、マチルギは今帰仁グスクを見てみたいと言います。
お嫁に来てしまえば、そんな我がままはできないので、今のうちに見たいと言います。
今、浮島(那覇)にはサイムンタルーの船がいます。
それに乗っていけば今帰仁まで行く事ができます。
サハチはマチルギに敵である山北王のグスクを見せる事に決め、父の許しを得ると、ヒューガ、マチルギ、サムと一緒に浮島に向かいます。
浮島は相変わらず賑わっていて、初めて来たマチルギとサムは驚きます。
サイムンタルーの船は明から帰って来る進貢船を待っていました。
サハチたちが浮島に来た三日後、進貢船は帰って来ました。
それから十日後、サイムンタルーの船は船出し、その日のうちに今帰仁に着きます。
今帰仁グスクを見たマチルギとサムは、改めて敵討ちの決心を固めます。
ミヌキチの家に顔を出すと、ミヌキチは驚いた顔で、サハチたちを迎えますが、危険だと言います。
マチルギとサムの素性がばれたら殺されるとミヌキチは言いました。
ミヌキチの家に一晩お世話になったサハチたちは名護に向かいます。
名護に向かう山中で何者かに襲われます。簡単に敵を倒す事はできましたが、首謀者らしいサムレーに逃げられます。
ところが、逃げたサムレーは急に倒れます。調べると石つぶてにやられて死んでいます。
山の中から男たちが現れ、奥間の鍛冶屋だと名乗り、そのサムレーが今帰仁に帰ってサハチたちの事を告げると面倒な事になるので殺したと言います。
その鍛冶屋は最近、佐敷に来たヤキチという名の男でサハチは顔を覚えていました。
ヤキチは奥間の長老に命じられて、サハチの身を守っていると言いました。
どうしてかと聞くと奥間ヌルのお告げがあったと言います。
サハチはヤキチにお礼を言い、一緒に旅をします。
名護ではヤキチの紹介で、木地屋の親方の屋敷にお世話になります。
木地屋の屋敷でサハチは、マチルギがツキシルの石が光ったのを見たと聞いて驚きます。


この年に帰って来た山南王の進貢船には島添大里按司が使者として乗っていました。
明の国を見てきた島添大里按司は考えを変えていきます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ミヌキチ
今帰仁城下に住む刀の研ぎ師。
妻は先代の今帰仁按司の妹。娘は伊波の若按司の妻。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ユシチ
木地屋の親方。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年07月07日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 22.ウニタキ

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚約が決まり、佐敷グスクでは拡張工事を始めていました。
そんな頃、勝連按司の三男のウニタキがサハチを訪ねて来ます。
勝連按司が亡くなり、ウニタキは急遽、中山王、察度の孫娘を嫁にもらう事に決まったと言います。
ウニタキは鮫皮作りが見たいと言い、サハチはウニタキを連れて、祖父、サミガー大主の作業場に連れて行きます。
勝連に来るヤマトゥンチュも鮫皮を欲しがるので、勝連でも鮫皮を作りたいとウニタキは言います。
作業場を見学したあと、浜辺で話し込んでいるうちに夕方になってしまい、サミガー大主の離れに顔を出すと、ヤマトゥンチュの船乗りたちが酒盛りを始めていました。
サハチとウニタキも加わって、夜遅くまで騒いでいました。
翌日、ウニタキは鮫皮の作業場を見せてもらったお返しに勝連グスクを見せてやると言います。
サハチはウニタキと一緒に勝連に行き、グスクの中に入りました。
勝連グスクは素晴らしく、一の曲輪からは四方が見渡せました。
サハチは景色を眺めながら、島添大里グスクを奪い取りたいと思っていました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ソウゲン(宗玄)
元の国で修行を積んだ禅僧。佐敷按司の家臣となり、サハチたちの読み書きの師になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギの父。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘を妻に迎える。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしている。

・イブキ
ヤマトゥの山伏。ウニタキの師匠。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年07月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 21.再会

ウニタキとの試合で引き分けたマチルギは佐敷に戻って厳しい修行を続けていました。
約束の二か月後、ウニタキは現れませんでした。ウニタキの父親の勝連按司が急に亡くなってしまったためでした。
マチルギが佐敷に来て五か月が過ぎ、娘たちが武術の教えを請うようになっていました。
武術は男がやるものと思い込んでいた娘たちが、マチルギを見て、女も武術をしてもいいんだと思うようになり、マチルギに憧れます。
佐敷按司の許しが出て、マチルギが娘たちに剣術を教える事になります。
マチルギは自分の修行も途中なのに、人に教える事なんてできないと断りますが、苗代之子は人に教えるのも修行になる。毎日、夕方の二時間だけだからやってくれと頼みます。
マチルギは仕方なく、引き受けます。
初めの頃は面倒くさいと思っていたマチルギも、だんだんと娘たちに教えるのが楽しくなっていきます。
今まで、同年代の娘たちと一緒に遊んだ事もなかったマチルギは、稽古のあとに娘たちから色々な話を聞くのも楽しいと思うようになります。
マチルギの教え子の中には馬天ヌルと佐敷ヌルもいました。馬天ヌルはマチルギよりもかなり年上なのに、マチルギをお師匠と呼んで、真剣に稽古をしていました。
いつものように山の中で修行していたら、サハチ(尚巴志)が帰って来たと教え子の娘が知らせてくれました。
マチルギは馬天浜に向かいます。馬天ヌルと佐敷ヌルも来ていて、三人でサハチを迎えます。
マチルギはサハチを見つめ、知らずに涙がこぼれてきます。
マチルギとサハチは砂浜を歩きながら積もる話を語り合います。
その晩、帰国祝いの宴が開かれ、その宴にはマチルギも呼ばれていました。マチルギが家族たちに歓迎されている事を知ってサハチは喜びます。
次の日の夕方、サハチはマチルギと約束の試合をして、引き分けます。試合を見ていた娘たちが二人に喝采を送っていると、ウニタキがマチルギを訪ねて来ます。
ウニタキはマチルギに幸せになって下さいと言って去って行きます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・サム
伊波按司の四男。後に尚巴志の家臣になる。

・苗代之子(なーしるぬしぃ)
尚巴志の叔父、佐敷按司の弟。剣術の名人。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・クマヌの奥さん
島添大里の武将の妻だったが、夫は戦死し、娘と一緒に城下の焼け跡をさまよっていて、クマヌに助けられる。

・マチルー
クマヌの娘。

・美里之子(んざとぅぬしぃ)
佐敷按司の義弟。武術師範。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・馬天ヌル
尚巴志の叔母。

・マシュー
尚巴志の妹。馬天ヌルのもとでヌルの修行中。佐敷ヌル。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・クルシ
早田三郎左衛門の重臣。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・サミガー大主
尚巴志の祖父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・ウミンター
尚巴志の叔父。鮫皮作りを継ぐ事になっている。

・ウニタキ
勝連按司の三男。勝連に来たマチルギを見初めて嫁に請う。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年06月27日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 20.兵法

対馬の和田浦に移ったサハチ(尚巴志)とヒューガは、イトとサワと一緒に楽しく暮らしていました。
イトとサワもヒューガから剣術を習い、サハチはマチルギに勝つために山に籠もって修行に励みます。
ヒューガから読み書きを習い、兵法書も読んでいました。
10月の半ば、イトの母親が倒れてしまい、イトは土寄浦に帰ります。それでも、五の付く日には必ずサハチに会いにやって来ました。
12月の半ば、サハチは初めて雪を見て感激します。
12月の暮れには明国に行っていたサンルーザたちが無事に帰って来ました。
サハチたちは土寄浦に戻り、サンルーザに再会して明国の話を聞きます。
年が明けて、いよいよ、帰国の日が来ました。
サハチはイトに一緒に来ないかと誘いますが、イトは断ります。
母親が心配だし、言葉も通じないし、お城の中で暮らすなんて耐えられないとイトは言いました。
サハチは必ずまた来るとイトに約束して、別れを告げます。
船出の前、サハチはサンルーザから土産をもらいます。前から欲しいと思っていた刃渡りが三尺近くもある太刀でした。
それと、「三つ巴」の旗と「八幡大菩薩」と書かれた旗ももらいました。

「三つ巴」は八幡様の神紋で、サハチはそれを家紋にする事に決めます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・イト
イスケの娘。娘たちの姉御的な存在。
サハチの事を父から聞いて、いつか会えるとサハチとの出会いを待っていた。

・サワ
ヒューガが琉球に行く前、対馬に滞在して仲よくなった後家。
夫は高麗で戦死、9歳の息子と7歳の娘がいる。
サハチとヒューガの食事の面倒を見てくれる。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・シンゴ
早田新五郎。サンルーザの五男。

・マツ
松太郎。サンルーザの配下の息子。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年06月24日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 19.マチルギ

サハチ(尚巴志)が対馬でイトと仲よくやっていた頃、マチルギは勝連按司の息子からお嫁にほしいと言われます。
敵討ちの事しか考えていないマチルギは断りましたが、いい縁談だと父親に説得されます。
マチルギは仕方なく、もし相手が自分よりも強かったらお嫁に行くと言います。
断ってくるだろうと思っていたのに、相手は伊波にやって来ます。
勝連按司の三男でウニタキと名乗った相手とマチルギは試合をしますが負けてしまいます。
マチルギは二か月後にもう一度試合をしたいと頼み、ウニタキは承諾してくれました。
ウニタキに勝つには今まで通りの稽古をしていても駄目だとマチルギは思い、佐敷に行こうと決心します。
佐敷には武術道場があって、サハチよりも強い人がいるとサハチから聞いていました。
兄たちと一緒に佐敷に行ったマチルギは、山伏のクマヌを頼ります。
クマヌのお陰で、マチルギは武術道場に入って剣術の修行に励みます。
すぐ上の兄のサムがマチルギと一緒に佐敷に残りました。
マチルギの事はすぐに噂になります。
十五歳の娘なのに滅法強い。クマヌがサハチのお嫁さんを探していた事を知っている者たちは、あの娘はサハチのお嫁さんに違いないと噂をします。
その噂はサハチの父親、佐敷按司の耳にも入って、クマヌとマチルギを呼んで、わけを聴きます。
今度負けたら勝連按司の息子の嫁になると聞いた佐敷按司は思わず、「勝ってくれ」と言い、弟の苗代之子(なーしるぬしぃ)にマチルギの指導を任せます。
二か月後、マチルギはウニタキと試合をして、引き分けます。今度はウニタキが二か月後にもう一度試合をしたいと頼み、マチルギはうなづきます。

ウニタキは架空の人物です。マチルギをめぐってのサハチの恋敵として登場させたのですが、このあとの話の展開によって、重要な人物となっていきます。


登場人物

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。

・サム
伊波按司の四男。後に尚巴志の家臣になる。

・ウニタキ
勝連按司の三男。勝連に来たマチルギを見初めて嫁に請う。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルー
クマヌの娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・苗代之子(なーしるぬしぃ)
尚巴志の叔父、佐敷按司の弟。剣術の名人。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年06月23日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 18.富山浦

サハチ(尚巴志)とイトが仲よくなった事を快く思わない男たちがいました。
その男はサハチに決闘を申し込みますがサハチに負け、諦めるかと思われましたが諦めずに、さらに決闘を申し込んできます。
サハチは決闘の事は誰にも言いませんでしたが、サイムンタルーに知られ、サイムンタルーはサハチとヒューガを朝鮮に連れて行きます。
朝鮮の富山浦(プサンポ)にはサイムンタルーの伯父の早田五郎左衛門がいました。
五郎左衛門は高麗人の娘を妻に迎え、「津島屋」という店を出している商人でした。
サハチは五郎左衛門から高麗の話を聞きます。
サハチの祖父、サミガー大主の作業場には高麗の人たちも働いていましたが、サハチは高麗に興味を持った事はありませんでした。
突然、高麗に連れて来られたサハチは高麗と対馬の関係などを学びます。
サイムンタルーは対馬に帰り、言葉も通じない高麗に置いていかれ、イトにも会えずサハチはがっかりしますが、サイムンタルーがまたやって来て、対馬に帰る事になりました。
土寄浦ではなく、浅海湾の奥にある和田浦という所に連れて行かれました。
和田浦は早田氏の第二の拠点で、サイムンタルーの叔父の兵衛左衛門が守っていましたが、兵衛左衛門はサンルーザと一緒に明国に行っていて留守でした。
サハチとヒューガはサイムンタルーに案内されて、これから暮らす事になる空き家に行きますが、そこには何と、イトとサワが待っていました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・イト
イスケの娘。娘たちの姉御的な存在。
サハチの事を父から聞いて、いつか会えるとサハチとの出会いを待っていた。

・サワ
ヒューガが琉球に行く前、対馬に滞在して仲よくなった後家。
夫は高麗で戦死、9歳の息子と7歳の娘がいる。
サハチとヒューガの食事の面倒を見てくれる。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・早田五郎左衛門
サンルーザの弟。
高麗の富山浦に住む商人。妻は高麗人。

・早田次郎左衛門
サイムンタルーの兄。
高麗の富山浦に住む。妻は高麗の商人の娘。
サンルーザと一緒に明国に行っている。

・早田兵衛左衛門
サンルーザの弟。和田浦に住む。
サンルーザと一緒に明国に行っている。


◯高麗の略年表

918年、王建、高麗を建国する。
935年、高麗、新羅を征服する。
960年、中国で宋が建国。
1115年、女真、按出虎水の河畔で、金を建国。
1125年、金、遼(契丹)を滅ぼす。
1127年、金は宋都開封を陥落させて北宋王朝陥落。
1138年、金、南宋の臨安(杭州)紹興、明州(寧波)を陥落させる。
1157年、金、会寧から燕京へ遷都。
1206年、テムジンがモンゴルを統一。
1218年、高麗、モンゴル帝国と同盟する。
1227年、西夏、蒙古に滅ぼされる。
1231年、蒙古(後の元)の侵入が始まる。
1232年、崔氏は国王を連れて都を開城から江華島に移し抵抗する。
1233年、蒙古 金の首都開封を攻略。
1241年、高宗、モンゴルとの講和を請い、貢賦を納めることに同意する。
1258年、武臣の金俊ら 親蒙古を掲げ、崔氏政権を倒し、蒙古へ降伏する。
1271年、蒙古、国号を「大元」と改める。
1274年、高麗軍、元軍と共に日本を攻める。元寇。
1279年、元、南宋を滅ぼす。
1281年、第二次元寇。
1356年、元と断交し、蒙古侵入以前の高麗の領域を回復し独立する。
1358年、倭寇、高麗の角山戊を襲い船300余艘を焼く。
      倭寇のため財政が困窮し、百官の俸禄が支給できなくなる。
1360年、倭寇、高麗の江華島を襲撃する。
1361年、李成桂・鄭世雲が黄州で、紅巾軍に大勝する。
1364年、倭寇、200余艭が高麗を襲撃する。
1368年、明が中国に興り、元を北に追いやる。
1370年、高麗は明へ朝貢して冊封を受けたが、国内では親明派と親元派の抗争が起こる。
1371年、倭寇350艘、礼成江を襲い、兵船40艘を焼く。
1374年、恭愍王、親元派に殺される。
      倭寇350艭が高麗を襲撃。
1375年、済州島で反乱が起こる。倭寇200余艘が済州島を攻める。
1377年、倭寇200余艭が高麗を襲撃する。
1378年、倭寇、京城を攻めるが、李成桂、崔瑩、これを破る。
1379年、倭寇騎馬700、歩兵2000余で高麗の普州を襲撃する。
1380年、倭寇500艘、高麗の鎮浦口に入り、州都に散入する。
1381年、倭寇、高麗の寧海府を焼く。
1382年、賤民が倭寇の名をかたり諸所を荒らす。
1383年、倭寇120艭が高麗を襲撃するが撃退する。
1385年、倭寇150艭が高麗を襲撃するが、李成桂に撃退される。
1388年、明は高麗に対し、元代の旧領を返還するように要求する。
     威化島回軍。李成桂が実権を握る。
1389年、高麗軍、対馬を攻める。
1392年 高麗が滅び、朝鮮となる。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年06月20日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 17.対馬島

博多をあとにしたサハチ(尚巴志)とヒューガはサンルーザの故郷、対馬の土寄浦に着きます。
サンルーザの五男のシンゴと仲よくなったサハチは、イトという娘と出会います。
イトの父親は船乗りで、琉球に何度も行っていて、サハチの事をイトに話していました。
サハチはイトと仲よくなります。
サハチが対馬に来て半月が過ぎた頃、サンルーザは五十隻もの船を率いて明国へと出掛けて行きます。生きていくために、倭寇として略奪をしに行くのです。
サハチは皆の無事を祈って見送ります。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・早田丹後守
サンルーザの弟。

・サワ
ヒューガが琉球に行く前、対馬に滞在して仲よくなった後家。
夫は高麗で戦死、9歳の息子と7歳の娘がいる。
サハチとヒューガの食事の面倒を見てくれる。

・シンゴ
早田新五郎。サンルーザの五男。

・トラ
寅次郎。サンルーザの配下の息子。

・マツ
松太郎。サンルーザの配下の息子。

・ヤス
安次郎。サンルーザの配下の息子。

・イト
イスケの娘。娘たちの姉御的な存在。
サハチの事を父から聞いて、いつか会えるとサハチとの出会いを待っていた。

・イスケ
水夫として何度も琉球に行く。
サハチが誕生した時も琉球にいて、誕生を祝福する。
琉球から帰るとイトが生まれていて、同い年のサハチの成長を琉球から戻る度にイトに話して聞かせる。

・ツタ
土寄浦の娘。シンゴといい仲。

・マユ
土寄浦の娘。トラといい仲。

・シノ
土寄浦の娘。マツといい仲。

・トミ
土寄浦の娘。ヤスといい仲。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年06月13日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 16.博多

志佐壱岐守(しさいきのかみ)の船に乗って、サハチ(尚巴志)とヒューガは博多に着きました。
サンルーザの船は九州探題の今川了俊に睨まれていて、博多には入れなかったのです。
博多に滞在したサハチは何を見ても驚いていました。
色々な物を売っている市場に驚き、大きなお寺の建物に驚き、出陣して行く兵士たちの立派な鎧や武器に驚き、男装した女たちの華麗な舞にも驚きます。
夜更けに一文字屋の屋敷に盗賊が攻めて来て、サハチとヒューガは盗賊たちと戦います。サハチは初めて人を斬ります。そのあとはもう無我夢中で襲って来る敵と戦い続けます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・志佐壱岐守
壱岐島の倭寇の頭領。松浦党。

・一文字屋孫次郎
坊津の一文字屋次郎左衛門の長男。博多の一文字屋の主人。


◯博多の略年表
1274年、元寇により博多の町は消失する。
1293年、鎮西探題が設置され、大宰府に代わって九州統治の中心となる。
1333年、後醍醐天皇が挙兵すると、菊池武時が鎮西探題北条英時を襲い博多の町を焼き払う。
1336年、九州へ落ち延びた足利尊氏は少弐、島津、大友らと共に菊池氏を破る。
1359年、少弐頼尚が菊池武光に筑後川合戦で大敗する。
1561年、懐良親王、大宰府を征西府とする。
1368年、元国滅ぶ、明建国。家族を連れて博多に逃げてくる元の高官たちが何人もいた。
      陳宗敬、博多に亡命。
1370年、今川了俊が九州探題に任命される。
1371年、懐良親王、「日本国王良懐」の名で明の冊封を受ける。
      九州探題に任じられた今川了俊の弟仲秋の軍勢、呼子港に上陸する。
1372年、太宰府陥落、懐良親王、太宰府から良山に移る。
1374年、懐良親王、良山から肥後菊池に移る。
      懐良親王、遣明船を出す。
1375年、水島の合戦。今川了俊、少弐冬資を殺す。島津伊久、南朝に寝返る。
1376年、懐良親王、遣明船を出す。
1377年、肥前蜷打の戦い。北朝方の大勝に終わり、南朝方の有力武将を多数討ち取る。
      九州探題今川了俊、倭寇が捕えた被慮人を高麗に送還する。
1378年、高麗使が訪れ、今川了俊、捕虜の送還を行なう。
      今川了俊、兵を高麗に派遣して現地の倭寇討滅に協力する。
1379年、今川了俊、捕えた壱岐の海賊20人を甑に入れて明に贈る。
1380年、懐良親王、明の太祖暗殺の計画に同意し、兵を送るが陰謀は露顕し帰還する。
1381年、懐良親王、菊池城を攻め落とされ、金峰山に移る。
1383年3月27日、征西将軍懐良親王没。
      島津伊久、薩摩守護に復帰し、今川了俊に帰順する。
1385年、相良氏が島津と和睦して了俊に背き禰寝氏も南朝方に走る。
1387年、阿蘇山噴火。
      島津氏久が没すると肥後は今川義範・日向は今川貞満がほぼ制圧する。
      相良前頼、球磨から反撃を加えて征西府の危急を救う。
1388年、今川了俊、捕虜送還と引き換えに高麗に大蔵経を要求する。
1390年、今川了俊、良成親王と菊池武朝の宇土・河尻を落とす。
1391年、今川了俊、良成親王と菊池武朝の八代城を落とす。親王らは矢部に逼塞する。
1392年、南北朝の合一。
1395年、今川了俊、九州探題を罷免され、渋川満頼が任命される。


◯倭寇略年表
1274年、元寇。
1281年、元寇。
1350年4月、倭寇100余艘が高麗の順天府を襲い、穀物を奪う。
1351年8月、倭寇130艘が高麗を襲撃する。
1355年4月、倭寇230艘、高麗全羅道の漕船200余艘を略奪。
1357年、高麗の武将崔瑩が2万5600の大軍で済州島の反乱を制圧する。
1358年、この頃より中国大陸に倭寇が出現する。
1361年8月、懐良親王、少弐氏の太宰府を落とし、太宰府を征西府とする。
1363年4月、倭寇213艘が高麗を襲撃。首都開城を脅かす。
1364年3月、倭寇200余艘が高麗の河東、固城を襲撃する。
1364年5月、高麗軍、鎭海県で倭寇3000人を斬る。
1367年、高麗、使者を送り, 室町幕府に倭寇の禁圧を求める。
1368年、元国滅ぶ、明建国。
1371年6月、倭船200艘、明の海晏を襲う。
1371年11月、九州探題に任じられた今川了俊の軍勢、肥前呼子港に上陸する。
1372年5月、倭船200艘、明の温州府、永嘉、楽清の諸県を侵す。
1372年8月、太宰府落城。懐良親王、太宰府から良山に移る。
1374年4月、倭寇350艘が高麗を襲撃。高麗の水軍、大敗して死する者5000人。
1375年、済州島で反乱が起こる。倭寇200余艘が済州島を攻める。
1377年6月、倭寇200余艘が高麗を襲撃。
1377年11月、倭寇130艘が高麗を襲撃。
1377年、この年、高麗は54回の倭寇の襲撃を受ける。
1379年5月、倭寇騎馬700、歩兵2000余で高麗の普州を襲撃。
1380年5月、倭寇100余騎、高麗の結城共州を襲う。
1380年5月、高麗、火砲を搭載できる船を100隻、3000名の水軍部隊が創設する。
1380年8月、倭寇500艘、高麗の鎮浦口に入り、隊を分けて岸に登り州都を攻める。
1380年8月、高麗軍、崔茂宣が開発した大砲で倭船を焼く。
1380年9月、李成桂、雲峰にて倭寇の首領阿只抜都(アキバツ)を倒す。
1383年5月、倭寇120艘が高麗を襲撃するが撃退する。
1385年9月、倭寇150艘が高麗を襲撃するが李成桂、李豆藺に撃退される。
1388年5月、李成桂、軍事クーデターで高麗の実権を掌握。
1389年2月、高麗、対馬を攻撃する。
1392年7月、李成桂、恭譲王を廃位して、高麗王として即位する。
1393年、明の洪武帝の命令により、高麗から朝鮮に国名が変わる。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年06月09日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 15.壱岐島

坊津(ぼうのつ)で一文字屋と取り引きを済ませ、サハチ(尚巴志)たちは甑島(こしきじま)を通って五島列島の福江島に着きます。
福江島にはサンルーザの弟の早田備前守がいました。
福江島から島伝いに北上して、宇久島から壱岐島に向かいます。
壱岐島にはサンルーザの娘婿の早田藤五郎がいました。
サハチはヒューガと一緒に壱岐島を散策して、昔、察度の配下だったという老人と出会い、若い頃の察度と泰期の話を聞きます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・早田備前守
サンルーザの弟。五島の福江島の拠点を守っている。

・早田藤五郎
サンルーザの娘婿。壱岐島の拠点を守っている。
子供の頃、倭寇にさらわれて対馬に来た高麗人。
頭がよく、見所があったので、サンルーザに育てられる。
通訳として活躍し、戦でも活躍して、サンルーザの娘を妻にもらって早田藤五郎と名乗っている。

・壱岐島の老人
昔、察度の配下として活躍した倭寇。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年06月06日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 14.ヤマトゥ旅

◇尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 14.ヤマトゥ旅

サハチ(尚巴志)が乗ったサンルーザの船は伊平屋島を出帆して、永良部島(沖永良部島)、徳之島、奄美大島、トカラ列島の宝島、中之島、口の島、口之永良部島を通って、薩摩の坊津(ぼうのつ)に着きます。
ヤマトゥの国はサハチが思っていたよりもずっと遠くにありました。途中に島がまったく見えない事もあり、海の広さを改めて感じ、海が荒れた時は、このまま死んでしまうのではないかと恐ろしい思いをします。
坊津にはサンルーザの取り引き相手の『一文字屋』があり、サハチたちはお世話になります。

先代の一文字屋は備前の柄巻師(つかまきし)でしたが、刀の柄に巻く鮫皮が手に入らなくなってしまい、博多までやって来ます。
鮫皮はエイの皮で日本では捕る事ができず、海外から仕入れていました。南北朝の争いが続いて、海外の窓口だった博多も全焼してしまい、博多に住んでいた唐人たちも皆、引き上げてしまいます。
焼け野原の博多をさまよっていた一文字屋が出会ったのが、サンルーザの父親、早田次郎左衛門でした。次郎左衛門は一文字屋の話に乗り、琉球に行く事になります。
伊平屋島で鮫皮作りを始めたのはサンルーザの父親で、サハチの祖父のサミガー大主は鮫皮の作り方を身に付けて、馬天浜に行ったのでした。
琉球の鮫皮を手に入れる事に成功した一文字屋は柄巻師をやめて、鮫皮を扱う商人となり、さらに、明国の商品を扱う商人となって、やがては京都に進出して行きます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クルシ(黒瀬)
早田三郎左衛門の重臣。

・一文字屋次郎左衛門
備前出身の坊津の商人。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年06月01日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 13.伊平屋島

サンルーザの船に乗ったサハチとヒューガは今帰仁に寄ってから、伊是名島、伊平屋島へと向かいます。
伊平屋島では大叔母の我喜屋ヌルから曾祖父(与座の若按司)と若き日の祖父(サミガー大主)の話を聞きます。

曾祖父の与座若按司は父親を伯父の島尻大里按司に殺され、伊平屋生まれの家臣に連れられて伊平屋島に逃げて来ます。
父の敵を討とうとしますが、家臣たちには裏切られるし、なかなか討つ事はできません。
やがて、先代の我喜屋ヌルと結ばれ、サミガー大主や我喜屋ヌルが生まれます。
子供たちのために、曾祖父は敵討ちは諦め、自分の素性も子供たちには伝えずに亡くなります。
先代の我喜屋ヌルは亡くなる前に、子供たちを呼んで、父親の素性を話します。しかし、すでに敵である島尻大里按司は亡くなっていました。
サハチは祖父や曾祖父の若い頃の話を聞いて、これから始まるヤマトゥ旅の経験を生かして、精一杯頑張らなくてはならないと思います。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ミヌキチ
刀の研ぎ師。先々代の今帰仁按司に呼ばれてヤマトゥから来る。
先代の今帰仁按司が羽地按司に攻め滅ぼされたあと、刀の研ぎ師を辞めるが、クマヌと出会い、先代の遺児(伊波按司と山田按司)が生きている事を知ると、刀の研ぎ師に復帰する。
妻は先代の今帰仁按司の妹。娘は伊波の若按司の妻。

・ナビーお婆
サハチの大叔母。サミガー大主の妹。伊是名島の仲田大主の妻。
伊是名島で鮫皮作りをしている。

・我喜屋(がんじゃ)ヌル
サハチの大叔母。サミガー大主の妹。

・与座の若按司
サハチの曾祖父。サミガー大主の父。
父親の与座按司が伯父の島尻大里按司に殺され、伊平屋島に逃げて来る。
童名はヤグルーで、ヤグルー大主と呼ばれる。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年05月30日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 12.恋の病

フジと別れて奥間をあとにしたサハチ(尚巴志)たちは、名護まで戻り、東海岸に出て南下します。
伊波グスクに寄って、マチルギと試合をして、サハチは紙一重の差でマチルギに勝ちました。
伊波から西海岸に出て、読谷山の宇座に行き、宇座按司(泰期)と会います。
宇座按司は広い牧場で馬を育てていて、サハチたちを歓迎してくれました。
宇座按司との出会いはサハチの生き方に大きな影響を与えます。

サハチたちが宇座按司の屋敷に滞在中、浦添から馬に乗って侍女が訪ねて来ます。まるで十数年後のマチルギのようだとサハチは感心しますが、この侍女はナーサです。18年後、サハチはナーサと出会い、この時の事を思い出します。

旅から帰ったサハチは、父親の佐敷按司に旅の話をして、人々を苦しめている戦をなくすには琉球を統一しなければならないと言いいます。
島添大里按司を倒し、山南王も倒し、中山王も、山北王も倒さなければならないと大きな事を言います。
とんでもない事を言い出したサハチに、父親は驚きますが、サハチが生まれた時の事を思い出します。志喜屋の大主は、「この子はただものではない」と言いました。そして、月代の石が光ったとも言いました。
父親はサハチの顔をじっと見つめ、サハチならやるかもしれないと思い始めます。

旅から帰って一月が経つと、サハチは父親に大口を叩いた事が恥ずかしくなります。現実問題として、琉球を統一するどころか、島添大里按司を倒す事も難しい事でした。そんな夢のような話よりも、サハチはマチルギに会いたくなります。
サハチは父親の許しを得て、クマヌと一緒に伊波に向かいます。伊波にはヒューガがいて、マチルギの指導をしていました。
サハチはマチルギと試合をして負けます。試合に勝って、マチルギを嫁に迎えようと考えていたサハチはしょんぼりとして雨を眺めています。そんなサハチにマチルギが声を掛けてきます。サハチは一月後に試合をしようとマチルギと約束します。

今度こそはマチルギに勝とうと剣術の修行に励んでいたサハチは、父親からヤマトゥの国に行って来いと言われます。父親も十六歳の時にヤマトゥに行って来たと言います。
サハチはヤマトゥ旅に出る前に、伊波に行ってマチルギと会い、ヤマトゥ旅から帰って来るまで、試合を延期してくれと頼みます。マチルギは、待っていると言いました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・宇座按司
泰期。察度の義弟。中山王の使者を引退し、宇座の牧場で馬を育てている。

・ナーサ
島添大里按司が八重瀬グスクを攻め落とす時に、八重瀬按司に贈った絶世の美女。
今は浦添の若按司に嫁いだ島添大里按司の長女の侍女として浦添グスクにいる。
後に尚巴志にとって重要な人物となる。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹(ししょう)。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年05月27日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 11.奥間

サハチ(尚巴志)たちは今帰仁グスクから羽地に戻り、北上して奥間という村に着きます。
奥間村の長老に歓迎されたサハチたちは半月余りを奥間で暮らします。

奥間村はヤマトゥから渡ってきた鍛冶屋集団が住み着いた村で、琉球中の鍛冶屋を仕切っていました。
鍛冶屋だけでなく、炭焼き、木地屋、猟師、杣人、研ぎ師などの職人たちも奥間とつながっていました。
クマヌのお陰で、奥間村とつながりを持ったサハチは、奥間村の力を借りて、琉球統一への道を進んで行きます。

奥間村には、遠い所から村を訪ねて来た男に、一夜妻を与えて歓迎する習慣があり、サハチたちも一夜妻の歓迎を受けます。
サハチの一夜妻になったのは、サハチと同い年の研ぎ師の娘のフジでした。フジは可愛い娘で、サハチは夢中になってしまいます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・奥間の長老
奥間大主。1375年、奥間に来たクマヌを歓迎する。

・奥間ヌル
長老の姉。

・ヤザイム
鍛冶屋の親方。長老の長男。

・アサ
クマヌの一夜妻。

・シホ
ヒューガの一夜妻。のちに、ヒューガの娘、ユリを産む。

・チヨ
サイムンタルーの一夜妻。

・フジ
サハチの一夜妻。研ぎ師の娘。のちに、サハチの息子、サタルーを産む。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年05月19日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 10.今帰仁グスク

伊波グスクをあとにしたサハチ(尚巴志)たちは西側の海岸を北上して名護に行き、運天港に行き、今帰仁へ行きます。
高い石垣に囲まれた今帰仁グスクを見たサハチは驚きます。
今帰仁では研ぎ師のミヌキチの家にお世話になります。

今帰仁グスクは山北王の帕尼芝(はにじ)の居城。
先々代の今帰仁按司の娘婿の羽地按司は、先々代が亡くなったあと、義兄の今帰仁按司を攻め滅ぼして、今帰仁按司となり、1383年、明国に朝貢して、帕尼芝の名で山北王に封じられる。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・ミヌキチ
刀の研ぎ師。先々代の今帰仁按司に呼ばれてヤマトゥから来る。
先代の今帰仁按司が羽地按司に攻め滅ぼされたあと、刀の研ぎ師を辞めるが、クマヌと出会い、先代の遺児(伊波按司と山田按司)が生きている事を知ると、刀の研ぎ師に復帰する。
妻は先代の今帰仁按司の妹。娘は伊波の若按司の妻。


◯硫黄に関する略年表。

900年頃、唐で火薬が発明される。
960年、日宋貿易で硫黄が輸出される。
1085年、宋から硫黄を大量に求める商人が太宰府に来る。
1145年、温州に漂流した船に硫黄が積んであった。
1271年、元が建国。
1274年、蒙古襲来。蒙古軍、火薬を使用する。
1281年、蒙古襲来。蒙古軍、火薬を使用する。
1351年、大陸で紅巾の乱が起こる。
1368年、明が建国。
1372年、察度、明と朝貢貿易を始め、硫黄を献上する。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年05月16日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 9.出会い

年が明けて16歳になったサハチ(尚巴志)は、浮島(那覇)から浦添グスク、中グスク、越来グスク、勝連グスクと見て、伊波グスクに行きます。
伊波グスクで、剣術に夢中になっている娘、マチルギと出会います。

浦添グスクは中山王、察度の居城です。
サハチはクマヌから、察度が慶良間の島で密かに兵を育て、その兵を使って浦添グスクを攻め落とした事を知ります。

浦添グスクの略年表

1187年、ヤマトゥの武将の息子といわれる舜天が浦添按司になる。
1237年、舜天没。息子の舜馬が浦添按司になる。
1248年、舜馬没。息子の義本が浦添按司になる。
1259年、義本を倒して、英祖が浦添按司になる。
1299年、英祖没。英祖の長男、大成が浦添按司になる。
1308年、大成没。大成の次男、英慈が浦添按司になる。
1313年、英慈没。英慈の四男、玉城が浦添按司になる。
1336年、玉城没。玉城の長男、西威が浦添按司になる。
1349年、西威を滅ぼして、察度が浦添按司になる。
1372年、察度、明国との朝貢を始め、琉球中山王に封じられる。
1395年、察度没。息子の武寧が中山王を継ぐ。


中グスクは中グスク按司の居城で、中グスク按司の妻は察度の娘。

越来グスクは越来按司の居城で、越来按司は察度の三男。

勝連グスクは勝連按司の居城で、勝連按司は察度の甥。

伊波グスクは伊波按司の居城で、伊波按司は帕尼芝(はにじ)に滅ぼされた今帰仁按司の次男。
伊波按司の子供たちは祖父の敵を討つために武術修行に励んでいる。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・チューマチ
伊波按司の長男、若按司。

・トゥク
伊波按司の次男。叔父の山田按司の養子になっている。山田若按司。
護佐丸の父親。、

・マイチ
伊波按司の三男。後に安慶名按司になる。

・サム
伊波按司の四男。後に尚巴志の家臣になる。

・ムタ
伊波按司の五男、後にクマヌの養子になる。

・伊波ヌル
伊波按司の長女。

・ウトゥ
伊波按司の三女。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年05月12日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 8.浮島

サハチ(尚巴志)はクマヌ、サイムンタルー、ヒューガと一緒に旅に出ます。
佐敷から玉グスク、糸数グスク、八重瀬グスク、島尻大里グスク、小禄グスクを見て、浮島に渡ります。
初めて佐敷から出たサハチは何を見ても驚いてばかりいます。

玉グスク按司、垣花按司、知念按司、糸数按司は婚姻で結ばれていて、島添大里按司と対抗しています。中心になっているのが玉グスク按司です。
中山王となった察度に滅ぼされた浦添按司の西威は玉グスクの出身で、かつての玉グスク按司は中部から南部一帯を支配していましたが、浦添グスクを察度に奪われ、島添大里グスクと大グスクを島添大里按司に奪われて、支配が及ぶのは南部の東側だけになってしまいました。

島尻大里按司は察度と手を結び、明国との朝貢を始めて、山南王になります。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。早田三郎左衛門の次男、妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・ハリマ
浮島の若狭町に住むヤマトゥの山伏。
後に宿屋を営む。

・白菊
若狭町の遊女屋「松風楼」の遊女。


◎浮島(那覇)の略年表

1349年 察度、浦添按司になる。
1350年 この頃より浮島に外来人たちが住み着くようになる。
     元の商船、日本の商船、東南アジアの商船が出入りする。
1351年 倭寇が連れて来た俘虜人の女たちを使って、浮島に遊女屋ができる。
1357年 元国から日本に向かう商船が浮島に寄港する。
1358年 日本から元国に向かう商船が浮島に寄港。
1368年 波之上権現の別当寺、護国寺が創建される。開山は真言僧の頼重。
     明国に向かう日本船、浮島に寄港。
     明使、日本への行き帰りに浮島に寄港。
1369年 明使楊載、日本への行き帰りに浮島に寄港。
1370年 明使楊載、日本と高麗に行く途中浮島に寄港。
1371年 明使楊載、日本からの帰りに浮島に寄港。
1372年 明国から琉球に使者が来る。
     察度、明国との進貢貿易を始め、中山王に封じられる。
     泰期、使者として明国に行く。
1374年 泰期、使者として明に進貢。明の使者、馬と硫黄を積んで帰る。
1375年 明国の使者、李浩、琉球に来る。泰期、帰国。
1376年 明国の使者李浩、馬40頭、硫黄5000斤を購入して帰国。
     泰期、帰国する李浩に従い進貢。元旦を賀し、馬16頭、硫黄1000斤を進貢。
1377年 中山進貢。
1378年 中山進貢。
1380年 中山進貢。
     島尻大里按司の承察度、初めて明国に進貢し、山南王に封じられる。
1382年 中山進貢。
1383年 明国の使者梁a、馬983匹を貨幣で買う。
     中山進貢。亜蘭匏の乗った進貢船が風に流され、宮古に漂着する。
     山南進貢。今帰仁按司、帕尼芝も初めて進貢、山北王に封じられる。
1384年 中山、山南、山北進貢。
1385年 中山進貢。
     中山、山南、山北進貢。
1386年 中山と山南、明国から進貢船を賜わる。
     自前の船で中山進貢。
1387年 尚巴志、クマヌたちと一緒に初めて浮島に来る。
     自前の船で中山進貢、自前の船で山南進貢。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年05月09日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 7.ヤマトゥ酒

大(うふ)グスク按司が島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)に滅ぼされたあと、大グスク按司になったのは島添大里按司の次男、シタルーでした。
佐敷按司は島添大里按司が攻めて来ると守りを固めていましたが、島添大里按司が攻めて来る事はなく、大グスク按司になったシタルーが度々、佐敷グスクにやって来ました。
島添大里按司は有能な者は殺さないとシタルーは言い、同盟したいと言いますが佐敷按司はきっぱりと断ります。
断っても断っても懲りずにやって来るシタルーに根負けした佐敷按司は、馬天浜を大グスク按司と共有するという条件を飲んで休戦しました。

大グスク落城の二年後の年末、ヤマトゥから早田(そうだ)三郎左衛門の船が馬天浜にやって来ました。
15歳になったサハチ(尚巴志)も歓迎の宴に呼ばれて、三郎左衛門の息子、左衛門太郎と武芸者の三好日向(みよしひゅうが)を紹介されます。
調子に乗って酒を飲み過ぎたサハチは酔い潰れてしまいます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹(ししょう)。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・ウミンター
佐敷按司の弟。鮫皮作りを継ぐ事になっている。

・シタルー
大グスク按司。島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖(おうおうそ)。

・島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。
自らの力でのし上がって来たため、有能な者は殺さずに利用しようと考えている。佐敷按司は鮫皮を作ってヤマトゥと交易しているので、何とかして、味方に引き入れようと考え、佐敷を攻める事はしない。
後に王叔汪英紫(おうしゅくおーえーじ)として、明国に朝貢する。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・クルシ(黒瀬)
早田三郎左衛門の重臣。

・ウサキ(尾崎)
早田三郎左衛門の重臣。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。早田三郎左衛門の次男、妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年05月06日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 6.大グスク炎上

1385年2月、14歳になったサハチ(尚巴志)は大事件を経験する。
島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)と大(うふ)グスク按司が合戦を始め、信じられない事に、大グスク按司が敗れてしまったのだった。
佐敷グスクで留守を守っていたサハチは、出陣して行ったた父が無事に帰って来たので喜んだが、大グスクは焼け落ち、多くの者たちが戦死してしまった。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・尚巴志の叔父、苗代之子(なーしるぬしぃ)
サグルーの弟。剣術の名人。

・馬天ヌル
尚巴志の叔母。

・マシュー
尚巴志の妹。後の佐敷ヌル。

・キラマ
馬天浜のウミンチュ。カマンタ(エイ)捕りの名人。

・大グスク按司
佐敷按司の従兄。

・美里之子(んざとぅぬしぃ)
尚巴志の祖父。大グスク按司の武術師範。

・外間之子(ふかまぬしぃ)
大グスク按司の武将。大グスク按司の妻と若按司を救出する。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・屋比久大親(やびくうふや)
佐敷按司の重臣。

・島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。
後に王叔汪英紫(おうしゅくおーえーじ)として、明国に朝貢する。

・内原之子(うちばるぬしぃ)
島添大里按司の武将。五年前に糸数按司を倒している。

・シタルー
島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖(おうおうそ)。

・タブチ
島添大里按司の長男。八重瀬按司(えーじあじ)。

・ナーサ
島添大里按司が八重瀬グスクを攻め落とす時に、八重瀬按司に贈った絶世の美女。
今は浦添の若按司に嫁いだ島添大里按司の長女の侍女として浦添グスクにいる。
後に尚巴志にとって重要な人物となる。


関連年表

1380年 3月 島添大里グスク、八重瀬按司に攻め滅ぼされる。
        八重瀬按司は島添大里按司を名乗る。
1383年 4月  大グスク按司、死す。長男の若按司が跡を継ぐ。
1383年 7月 島添大里按司の娘、ウミカナが大グスク按司の側室となる。
1384年 4月 大グスク按司の妹が島添大里按司に側室として贈られる。
        大グスク按司の妹、タブチの側室になり、八重瀬グスクに送られる。
1384年 11月  大グスクの大将,當山大親死す。死を隠すが島添大里按司に知られる。
1385年 1月  島添大里按司、馬天浜を半分よこせと言って来る。大グスク按司は断る。
1385年 2月 島添大里按司、大グスクを攻めるために出陣。
        大グスク按司も出陣する。
        大グスク按司、玉グスク按司と知念按司と糸数按司に新グスクを見張らせる。
        佐敷按司と垣花按司は搦め手から島添大里グスクを攻めるために出陣。
        内原之子と苗代之子の対決で始まり、苗代之子が勝つ。
        勝ちの乗じて攻める大グスク勢、撤退する島添大里勢。
        炎上する大グスク。
        撤退する大グスク軍。伏兵が現れ挟み撃ちにされる。
        大グスク按司、討ち死に。美里之子、ビング戦死。
        佐敷按司と垣花按司、撤退する。
        島添大里按司、大グスクに登る。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年05月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 5.佐敷グスク

12歳になったサハチ(尚巴志)はヤシルーを師として弓矢の稽古に励んでいます。
島添大里(しましいうふざとぅ)グスクが八重瀬按司(えーじあじ)に奪われたあと、父の苗代大親(なーしるうふや)は大グスク按司に命じられて、佐敷にグスクを築いて、佐敷按司になりました。
大グスク按司に仕えていた、兼久大親(かにくうふや)、屋比久大親(やびくうふや)、与那嶺大親(ゆなんみうふや)の三人が重臣として佐敷按司に仕える事になり、祖父のサミガー大主の離れに居候していた山伏のクマヌ、ヤマトゥのサムレーのビングとヤシルー、禅僧のソウゲンも佐敷按司の家臣になりました。
サハチはみんなから若按司と呼ばれるようになります。
島添大里グスクを奪い取った八重瀬按司は、島添大里按司を名乗ってグスクを強化し、焼け落ちた城下も再建します。
大グスク按司は島添大里グスクを取り戻そうと何度も攻めますが、敵の守りは堅く、攻め落とす事はできず、無念のうちに亡くなってしまいます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。
鮫皮をヤマトゥの商人と取り引きをして得た財力を、息子のサグルーが按司になるために使う。

・ヤシルー
ヤマトゥから来た弓矢の名人。佐敷按司の家臣となり、尚巴志の弓矢の師となる。

・島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。後に王叔汪英紫(おうしゅくおーえーじ)として、明国に朝貢する。
1369年、八重瀬グスクを攻め取り、八重瀬按司(えーじあじ)になる。
1380年、島添大里グスクを攻め落として、島添大里按司になる。
長女は察度の長男、フニムイ(武寧)の妻になる。
長男は八重瀬按司のタブチ(達勃期)。
次男はシタルー。後の山南王、汪応祖(おうおうそ)。
三男はヤフス。具志頭按司(ぐしちゃんあじ)の娘婿になり、具志頭若按司になっている。

・ウミカナ
島添大里按司の三女。側室として大グスク按司に贈られる。

・中山王、察度(さとぅ)
浦添按司(うらしいあじ)。
1372年、明国から使者が来て、朝貢を始め、琉球中山王に封じられる。

・山南王、承察度(うふざとぅ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)。
1380年、明国に進貢し、山南王(さんなんおう)に封じられる。

・山北王、帕尼芝(はにじ)
今帰仁按司(なきじんあじ)。
1383年、明国に進貢し、山北王(さんほくおう)に封じられる。

・泰期(たち)
察度の義弟。察度の妹を妻に迎える。
察度が浦添按司になったあと、小禄にグスクを築いて小禄按司(うるくあじ)を名乗る。
察度が中山王になったあとは、使者として明国に何度も行く。
明国に送る馬を育てるために宇座に牧場を作り、使者を引退したあとは、宇座按司(うーじゃあじ)を名乗って、馬の飼育に専念する。

・亜蘭匏(アランポー)
久米村の唐人。
1383年、泰期に代わって正使となり、明国に行く。

尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年05月02日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 4.島添大里グスク

9歳になったサハチ(尚巴志)は友達と海に潜って遊んでいます。
馬天浜の西にある島添大里(しましいうふざとぅ)グスクで家督争いの戦が始まり、サハチは母と一緒に祖父のサミガー大主の屋敷に避難します。
祖父の屋敷には浜の者たちが全員、避難して来て、ウミンチュたちは武器を持って守りを固めます。
四日後、ようやく戦も終わり、避難していた人たちも解放されます。サハチは友達と一緒に海に行きますが、そこで、無残な姿で死んでいるサムレーの死体を見て唖然なります。

島添大里グスクは馬天浜を見下ろす山の上にあり、古くからヤマトゥとの交易をしていて栄えていました。
島添とは島々を治めるという意味で、浦々を治めるという意味の浦添(うらしい)よりも古いと思われます。
伝説では琉球に来た源為朝(みなもとのためとも)と島添大里按司の娘との間に舜天(しゅんてぃん)が生まれたと言われています。舜天は浦添にグスクを築いて、浦添按司になります。

家督争いが起きる百年ほど前、島添大里按司に対抗していた玉グスク按司は、良港に恵まれた島添大里グスクを奪い取ろうと考え、糸数(いちかじ)グスクと大(うふ)グスクを築いて、息子たちに守らせます。しかし、難攻不落の島添大里グスクを落とす事はできませんでした。
七十年ほど前に浦添按司(英慈)が亡くなり、家督争いの末、玉グスクに婿養子に入っていた玉城(たまぐすく)が浦添按司になります。浦添が手に入ったからには島添大里按司と争う必要もなくなり、玉グスク按司は島添大里按司と同盟を結びます。
三十年前、玉城の息子の西威(せいい)が浦添按司の時、察度(さとぅ)によって滅ぼされます。察度は島添大里グスクも玉グスクも攻めます。共にグスクを奪われる事はなかったが、島添大里按司は戦死してしまいます。島添大里按司には跡継ぎがなく、玉グスク按司の次男を婿に迎えて跡を継がせます。
その島添大里按司が亡くなったのが先月の事で、家督を巡って、子供たちが争いを始めたのでした。

島添大里按司の正妻が産んだ次男と側室が産んだ長男との争いでした。正妻は戦死した島添大里按司の娘で、側室は糸数按司の娘でした。
その家督争いに、島添大里グスクを奪い取ろうと虎視眈々と狙っていた八重瀬按司(えーじあじ)が介入してきて、島添大里グスクを奪い取ってしまったのでした。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は苗代大親(サグルー)。

・サンラー
ウミンチュの倅。後に意外な場所で、サハチと再会します。

・ヤタルー
鮫皮職人の倅。

・マシュー
サハチの妹。後に佐敷ヌルになる。

・尚巴志の母、ミチ
美里之子(んざとぅぬしぃ)の長女。
サハチを産んだあと、妹のマシュー、弟のマサンルー、弟のヤグルー、妹のマナミーを産んでいる。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
サハチの叔母、マカマドゥ。サグルーの妹。

・キラマ
鮫皮になるエイを捕る名人。慶良間島出身なので、キラマと呼ばれている。

・ヤシルー
ヤマトゥから来た弓矢の名人。

・尚巴志の父、サグルー
サミガー大主の長男。後の中山王、思紹。


・八重瀬按司(えーじあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。後に王叔汪英紫(おうしゅくおーえーじ)として、明国に朝貢する。
十年前に八重瀬グスクを攻め取り、八重瀬按司になる。その時の活躍が察度の耳に入り、察度の跡継ぎ、フニムイ(武寧)の嫁に八重瀬按司の娘を所望される。


尚巴志伝
ラベル:琉球 尚巴志伝

2016年04月30日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 3.察度と泰期

首里(すい)の高台に立って浮島(那覇)を眺めながら過去を振り返る中山王(ちゅうざんおう)の察度(さとぅ)。そこに明国への使者として行っていた義弟の泰期(たち)が来る。察度はいつの日か、首里にグスクを築こうと泰期に相談する。

当時、那覇は浮島と呼ばれる島でした。琉球にやって来た中国人や日本人が交易の拠点として住み始め、日本人が住む村を若狭町(わかさまち)と呼び、中国人が住む村を久米村(くみむら)と呼んでいました。
若狭町は波之上権現の門前町として発達した町で、久米村は土塁に囲まれた城塞都市でした。


登場人物

・察度(さとぅ)
中山王。浦添按司(うらしいあじ)。父親は奥間大親。妻は勝連按司の娘。
浦添按司の西威(せいい)を倒して、浦添按司になる。浦添按司になる前は、安里大親(あさとぅうふや)と名乗る。
1372年、明国から使者が来て、朝貢を始め、琉球中山王に封じられる。

・奥間之子(うくまぬしぃ)
察度の祖父。浦添按司、英慈(えいじ)の若按司に仕える武将。北部の奥間村出身。

・奥間大親(うくまうふや)
察度の父。英慈の若按司の娘を妻に迎えて、察度が生まれる。

・察度の母
浦添按司の英慈の長男、若按司の娘。
察度が10歳の時に亡くなってしまったため、察度は母親の素性を知らなかった。
ヤマトゥ旅から帰って来た察度は、父親から母親の素性を知り、母親の父親である若按司の敵を討つため、浦添按司の西威を攻め滅ぼして、浦添按司になった。
祖父の浦添若按司を殺したのは西威の父親、玉城(たまぐすく)だった。玉城は英慈の四男で、上の三人の兄を倒して浦添按司になったのだった。
玉城は玉グスク按司の娘婿になっていたが、玉グスク按司の後援によって、兄たちを倒して浦添按司になった。浦添按司の家督争いは各地の按司たちを戦乱に巻き込み、以後、戦乱の世になったと言われている。
察度も母親の素性を公表しなかったたため、いつしか、天女だという伝説になっていった。

・船思(ふにむい)
察度の長男。後の中山王、武寧(ぶねい)。

・泰期(たち)
察度の義弟。察度の妹を妻に迎える。
察度が浦添按司になったあと、小禄にグスクを築いて小禄按司(うるくあじ)を名乗る。
察度が中山王になったあとは、使者として明国に何度も行く。
明国に送る馬を育てるために宇座に牧場を作り、使者を引退したあとは、宇座按司(うーじゃあじ)を名乗って、馬の飼育に専念する。


尚巴志伝

ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年04月29日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 2.馬天浜

6歳になったサハチ(尚巴志)は母と妹のマシューと一緒にサミガー大主(うふぬし)の屋敷に遊びに行きます。
サミガー大主の屋敷の離れには各地から集まって来た居候が暮らしています。サハチは旅から帰って来たクマヌというヤマトゥ(日本)の山伏から旅の話を聞きます。

この離れはサミガー大主がヤマトゥから来る船乗りたちのために建てたものです。ヤマトゥの商人は冬の北風に乗って琉球に来て、夏の南風に乗ってヤマトゥに帰ります。半年間は琉球で暮らすので、彼らのために建てたのです。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は苗代大親(サグルー)。

・マシュー
サハチの妹。後に佐敷ヌルになる。

・尚巴志の父、サグルー
サミガー大主の長男。後の中山王、思紹(ししょう)。
久高島の修行で強くなったサグルーは美里之子に認められ、苗代大親(なーしるうふや)と名乗り、美里之子の武術道場で師範代として若い者たちを鍛えている。

・尚巴志の母、ミチ
美里之子(んざとぅぬしぃ)の長女。
サハチを産んだあと、妹のマシューと弟のマサンルーを産んでいる。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。
鮫皮は鮫の皮ではなく、エイの皮で、日本刀の柄に巻かれるが、日本では捕る事ができなかった。当時の日本は南北朝の戦が絶えず、刀は大量に生産されていた。その刀の柄に巻く鮫皮は必需品で、鮫皮を求めて日本から琉球に商人がやって来ていた。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野の山伏なのでクマヌと呼ばれている。
サハチが2歳の時にヤマトゥから来て、琉球が気に入り、島内を旅して歩いている。
後に、サハチにとって重要な人物となる。

・ビング
ヤマトゥのサムレー(武士)。備後出身なのでビングと呼ばれている。槍の名人。
戦に敗れて主家を失い、家族も失って、博多に流れ着き、しばらく倭寇(わこう)として活躍したが、新天地を求めて琉球に来る。
ウミンチュ(海人)たちに槍を教えている。

・ソウゲン(宗玄)
日本から元の国に渡って、禅の修行を積むが、内乱の末に元が滅んで明となって日本に帰れなくなる。何とか進貢船に乗り込む事ができ、琉球に来る。ここにいれば、いつでも日本に帰れる事を知り、しばらく琉球に滞在しているうちに琉球が気に入って長居する事になる。

・ヨウケイ(楊渓)
琉球の状況を探るために明から遣わされた文官。

・八重瀬按司(えーじあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。島添大里(しましいうふざとぅ)グスクを奪い取ろうと狙っている。

・中山王察度
浦添按司(うらしいあじ)。サハチが生まれた年、琉球に来た明国の使者と会い、明国との朝貢を始め、明国の皇帝、洪武帝から中山王に封じられる。



尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2016年04月27日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 1.誕生

尚巴志の誕生と尚巴志の父、サグルーの久高島での剣術修行の話です。
尚巴志の誕生の時に光ったツキシルの石は、その後も何度か光ります。
尚巴志は琉球を統一した英雄で、1372年に生まれました。日本は南北朝の時代で、将軍は足利義満でした。中国では明国が始まったばかりの頃です。
尚巴志の名はサハチで、サハチが明国との交易を始めた時、サハチに「尚巴志」という漢字を当てました。尚巴志以後、尚を名字として扱うようになります。


登場人物

・志喜屋の大主(シチャヌウフヌシ)
尚巴志の出産を祝福するトキ(霊能者)。

・尚巴志の母、ミチ
美里之子の長女。

・尚巴志の祖母、マチ
ミチの母親、大グスクの武将、當山大親(トウヤマウフヤ)の娘。

・尚巴志の祖父、美里之子(ンザトゥヌシイ)
ミチの父親。大グスク按司の武術師範。

・尚巴志の父、サグルー
サミガー大主の長男。後の中山王、思紹。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・尚巴志の祖母、マシュー
サグルーの母。大グスク按司の娘で、サミガー大主の妻。

・シラタル親方
久高島に住む武術の達人。

・シラタル親方の妻、ウミチル
浦添按司、西威の妹。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。

・マニウシ
シラタル親方の長男。

・ウミタル
シラタル親方の次女。後に玉グスク按司の妻となる。


尚巴志伝

ラベル:尚巴志伝 琉球