2016年11月28日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 47.佐敷ヌル

マチルギから妹のマカマドゥのお嫁入りを考えた方がいいと言われたサハチ(尚巴志)はマカマドゥに会いに行きます。
東曲輪に向かったサハチは気が変わって、佐敷ヌルを訪ねます。
佐敷ヌルは一人で剣術の稽古をしていました。
佐敷ヌルは今、師範代を務めて娘たちに剣術を教えていました。
サハチは佐敷ヌルと馬天ヌルの話などをして、ふと、お嫁に行きたいと思った事はないかと聞きます。
お嫁に行きたいと思った事はないけど、サハチ夫婦と一緒に旅をしたいと思った事はあると佐敷ヌルは言います。
サハチは来年の旅に佐敷ヌルを連れて行こうと決めます。
マカマドゥの事を聞くと、マカマドゥは姉のマナミーのようにどこかの若按司に嫁ぎたいと思っているようだと佐敷ヌルは言います。
マカマドゥに会いに行くと、マカマドゥは笛を吹いていました。
翌日、サハチはクマヌに会って、マカマドゥの婚礼の相談をします。
知念の若按司がいいとクマヌは言って、さっそく知念に向かいます。
断られるかもしれないと心配しましたが、知念ヌルのお陰ですんなりと決まりました。
旅に出た馬天ヌルは知念ヌルと会って、古いウタキ(御嶽)を巡りました。
知念ヌルは馬天ヌルと一緒にセーファウタキでお祈りをした時、神様のお告げがあって、佐敷から嫁入りの話がある事を知ったようです。

サハチは馬天ヌルが旅に出た本当の意味がわかりました。
各地のウタキを巡るにはその土地のヌルと会わなければなりません。
ヌルとしての霊力の強い馬天ヌルと会った各地のヌルたちは、馬天ヌルを尊敬するに違いありません。
各地のヌルが馬天ヌルを慕うようになれば、その力は計り知れないものとなるのです。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。


尚巴志伝

2016年11月21日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 46.夢の島

2月にマチルギがサハチ(尚巴志)の四男、チューマチを産みます。
3月になると中山王武寧の三男と玉グスク按司の娘の婚礼が決まります。
今帰仁合戦に加わらなかった南部東方の按司たちを婚礼という形で従わせようと武寧は考えたのでした。
4月の初め、サイムンタルーがヤマトゥから積んで来た米と武器を運ぶために、慶良間の島に向かいます。
初めて慶良間の島に来たサイムンタルーはその美しさに感動します。
慶良間の島で若い者たちを鍛えているサグルー(尚巴志の父)に歓迎されて、サイムンタルーたちはのんびりと過ごしてからヤマトゥに帰って行きました。

梅雨に入り、サハチは雨を眺めながら横笛を吹いています。
ウミチルの横笛を聴いてから、自分でも吹きたくなって時々吹いていました。
初めの頃はマチルギにうるさいと文句を言われていましたが、最近は何とか聴かせられる程度の腕になっていました。
チューマチが生まれたばかりなので、今年の旅は中止となりました。
5月の4日に豊見グスク按司のシタルーが国場川で『ハーリー』という舟の競争を行なって大盛況だったとウニタキが知らせました。
明国に留学していたシタルーが明国の行事を真似たのでした。
来年の旅はハーリーを見に行こうとサハチは決めました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・チューマチ(千代松)
尚巴志の四男。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・サイムンタルー
早田左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいたが、兄が戦死し、父が隠居して、早田家のお屋形様になる。

・クルシ
早田左衛門太郎の重臣。

・マウー
伊是名のナビーの五男。サグルーの甥。慶良間の島の師範代。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サスカサ
先代の島添大里ヌル。
島添大里グスクが落城後、久高島に逃げ、ずっとフボーヌムイに籠もっている。
フボーヌムイから出て来て、サグルーと一緒に慶良間の島に行く。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(東行法師)の娘、ウミチルを産む。
ヤグルーの妻になったウミチルの伯母。
フカマヌルを娘のウミチルに譲って、慶良間の島に行き、娘たちに剣術を教える。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。
慶良間の島で若い者たちを鍛える武術師範。。



尚巴志伝

2016年11月14日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 45.馬天ヌル

察度の葬儀は山南王の汪英紫も山北王の攀安知も参列して盛大に行なわれました。
サハチ(尚巴志)は改めて察度の勢力の大きさを知り、跡を継いだ武寧が佐敷を攻めて来るのではないかと恐れます。
山南王が武寧を説得したお陰で、攻めて来る事はなく助かります。

年末に旅をしていた祖父が帰ってきて、慶良間の無人島に行って来たと言います。
サハチは羨ましそうに祖父の話を聞いていました。
船を手に入れて海賊となったヒューガが活躍しているようでした。
父も慶良間の島から帰ってきて、久高島は完全に引き払ったと言いました。

年が明けると祖父も父も旅立ちました。
その日、娘たちの剣術の稽古が始まり、馬天ヌルの姿がない事に気づいたサハチは馬天ヌルを訪ねます。
馬天ヌルは、父が志喜屋ヌルからもらった勾玉を見せて、この勾玉が旅に出ろと言うと言います。
『ツキシルの石』が光るのを見て、旅に出る決心を固めたと言いました。
馬天ヌルは各地の神様の声を聞くために旅に出て行きました。
この時、サハチは馬天ヌルの旅の本当の目的を知りませんでした。
神様のお告げなら仕方がないと思って見送ったのです。
後に、馬天ヌルの旅は大きな成果となって現れます。

正月の下旬には三年振りにサイムンタルーがやって来ます。
サイムンタルーから、高麗の国が滅んで、朝鮮という国ができたとサハチは教えられます。
そして、サイムンタルーの兄が戦死し、サンルーザが隠居して、サイムンタルーが跡を継いだ事を知ります。


登場人物

・中山王
フニムイ、武寧。妻は汪英紫の娘。攀安知の義父。
察度の跡を継いで、中山王になる。

・山南王
汪英紫。武寧の義父。
島尻大里グスクを奪い取って、島添大里按司から山南王になる。

・山北王
ハーン、攀安知。妻は武寧の娘、マアサ。

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・マガーチ
苗代大親の長男。祖父と一緒に旅に出る。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅する。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。

・マウシ
尚巴志の叔母。鮫皮職人の妻。
馬天ヌルの娘、ササを預かる。

・ユミー
馬天ヌルと一緒に旅をする。マチルギの弟子。

・クルー
馬天ヌルと一緒に旅をする。マチルギの弟子。

・サイムンタルー
早田左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいたが、兄が戦死し、父が隠居して、早田家のお屋形様になる。

・イスケ
イトの父親。

・カンスケ
イトの弟。


尚巴志伝

2016年11月07日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 44.察度の死

久高島から帰ったサハチ(尚巴志)はヤキチから山北王の死と奥間の長老の死を知らされます。
山北王のミンは病死で、跡を継いだ若按司のハーンはまだ20歳でした。
奥間の長老の跡は息子のヤザイムが継ぎました。
佐敷グスクに帰ると東曲輪から笛の音が聞こえてきました。
笛を吹いていたのはウミチルで、サハチは妹たちに笛を教えてくれと頼みます。

6月になってウニタキが帰って来ました。
どこに行っていたと聞くと、慶良間の島に行っていたと言います。
慶良間の無人島ではサハチの父によって新しい村造りが始まっていました。

7月には明国に留学していた豊見グスク按司のシタルーが帰って来ました。
父が山南王になったと聞いて、一年早く帰って来たとシタルーは言います。
サハチはシタルーから明国の話を聞いて驚き、いつの日か、明国に行ってみたいと思います。

9月に台風がやって来て、10月に中山王の察度が亡くなりました。
サハチはウニタキと察度の話をしながら、一つの時代が終わったように気がしていました。


察度の略歴


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・キク
ヤキチの娘。マサンルーの妻。

・尚巴志の母、ミチ
先代の美里之子の長女。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。

・マチルー
尚巴志の妹。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・マチ
ウニタキの配下。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。のちの山南王、汪応祖。
山南王の官生として明国に留学する。


・山北王
今帰仁按司ミン。帕尼芝(はにじ)の次男。

・ハーン
山北王の長男。武寧の娘、マアサを妻に迎える。
父ミンの跡を継いで山北王になる。攀安知。

・ヤザイム
奥間の長老の息子。奥間鍛冶屋の親方。
奥間の長老を継ぐ。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛える。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になる。



尚巴志伝

2016年11月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 43.玉グスクのお姫様

11月にサハチ(尚巴志)の三男のイハチが生まれます。
年末には旅に出ていた祖父とヤグルーが帰って来ます。
ヤグルーに、お前のお嫁さんが玉グスクのお姫様に決まったと告げると、ヤグルーは驚き、信じられないと言って、夢でも見ているかのような顔付きになります。
祖父は大グスクの遺児が小禄の近くで細々と暮らしていたとサハチに言います。
サハチは何とかしてやりたいと思いますが、今の状況では助ける事はできませんでした。
五日後には父も久高島から帰って来ました。
父は久高島に二百人の若者たちが集まったが、やがては慶良間の無人島に移すと言います。
男だけでなく、娘たちも集めて、無人島に新しい村を作るといって張り切っています。
サハチは父に玉グスクから使者が来た事を告げます。

年が明けて2月、サハチの妹のマナミーが玉グスクの若按司に嫁ぎ、ヤグルーが玉グスク按司の娘、ウミチルをお嫁に迎えます。
婚礼が済むと、父は久高島に行き、祖父は苗代大親の長男、マガーチを連れて旅に出ました。

ウミチルは世間知らずのお姫様でした。
玉グスクにいた時は侍女が何でもしてくれたのに、ここではそうはいきません。
初めのうちは戸惑っていたウミチルも一人で好きな所に行けるのが楽しくなり、ヤグルーと二人だけで浜辺を歩くのもウキウキしていました。
ウミチルたちの新居のある東曲輪では夕方になると娘たちが集まって来て、剣術の稽古をしていました。
不思議な光景でしたが、自分には縁のないものと思っていました。
しかし、剣術を教えているのが長兄の妻で、次兄の妻も稽古に励んでいると聞いて、自分も仲間に入ってもいいのかしらと思います。
ヤグルーに相談したら、やってみろと言われ、ウミチルも剣術を習い始めます。
梅雨が明けると、ウミチルとヤグルーはサハチ夫婦と一緒に旅に出ます。
供も連れずに、旅に出るなんてとウミチルは驚きます。
どこに行きたいと聞かれて、ウミチルは久高島と答え、一行は久高島に行きます。
ウミチルは久高島に着くと海に入りたいと言います。
海に入って遊んでから、フカマヌルを訪ねると、びしょ濡れのウミチルを見て、フカマヌルは驚きます。
サハチはフカマヌルから、父が若者たちを連れて慶良間の無人島に移った事を知らされます。
フボーヌムイに籠もっていたサスカサも一緒に慶良間に行ったと聞いて驚きます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・イハチ
尚巴志の三男。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・マナミー
尚巴志の妹。玉グスクの若按司に嫁ぐ。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・マガーチ
苗代大親の長男。祖父と一緒に旅に出る。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(東行法師)の娘、ウミチルを産む。
ヤグルーの妻になったウミチルの伯母。

・ウミチル
フカマヌルの娘、フカマ若ヌル。父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。



尚巴志伝

2016年10月31日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 42.予想外の使者

山南王となった汪英紫(おーえーじ)は島添大里グスクから島尻大里グスクに移って行きました。
島添大里グスクには大グスク按司だった汪英紫の三男、ヤフスが入って島添大里按司になりました。
島尻大里の騒ぎも治まった六月の半ば、サハチ(尚巴志)はマチルギと一緒に恒例の旅に出ます。
一緒に行ったのは弟夫婦のマサンルーとキクでした。
首里天閣を見た時、マサンルーが宇座の御隠居(泰期)の話をして、それを聞いたマチルギは宇座に行きましょうと言います。
一行は宇座に行って、御隠居に歓迎されます。

九月になって玉グスクから使者がやって来ました。
使者はサハチの妹を若按司の嫁に迎えたいと信じられない事を言いました。
玉グスクヌルに神様のお告げがあったと言います。
サハチは重臣たちと相談し、玉グスク按司の申し出を受ける事に決めます。
そして、サハチの弟のヤグルーの嫁に玉グスク按司の娘を迎えたらどうかと与那嶺大親が提案します。
サハチは妹のマナミーと会って相談し、馬天ヌルにも相談します。
馬天ヌルの娘のササは四歳になって、ヒューガが作ったおもちゃで遊んでいました。
馬天ヌルはサハチの話を聞いて、いい縁談だと賛成します。
使者として玉グスクに行ったクマヌは、マナミーとヤグルーの二つの縁談をまとめて帰って来ました。


その年の十月、中山王と同盟した山北王は、中山王の進貢船に使者を乗せて、明国との進貢を再会します。
山南王となった汪英紫は山南王叔という肩書きのまま進貢船を送りました。
察度は朝鮮に使者を送って、朝鮮に逃げた孫、前山南王の帰還を要請しました。



登場人物

・山南王
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。
島尻大里グスクを奪い取って、島添大里按司から山南王になる。

・島添大里按司
汪英紫の三男、ヤフス。

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・キク
ヤキチの娘。マサンルーの妻になる。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。宇座按司を次男に譲って隠居する。

・クグルー
泰期の三男。母は後妻のナミー。

・百名大親
玉グスク按司の使者。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・屋比久大親
佐敷按司の重臣。

・兼久大親
佐敷按司の重臣。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。
佐敷按司の重臣。

・美里之子(んざとぅぬしぃ)
尚巴志の叔父。武術師範。
佐敷按司の重臣。

・ミチ
尚巴志の母。先代の美里之子の娘。

・マナミー
尚巴志の妹。マチルギから剣術を習っている。
玉グスクの若按司に嫁ぐ。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。

・尚巴志の祖母、マシュー
大グスク按司の娘で、サミガー大主の妻。

・中山王、察度
浦添按司を息子の武寧に譲り、首里天閣に隠居する。。

・山北王
今帰仁按司ミン。帕尼芝(はにじ)の次男。



尚巴志伝

2016年10月24日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 41.傾城

洪武27年(1394年)、正月の10日、サハチ(尚巴志)の弟、マサンルーがヤキチの娘のキクと婚礼を挙げます。
3月にはウニタキがサハチの叔母のチルーと婚礼を挙げます。
ウニタキはサハチのために裏の組織『三星党』を作り、配下の者たちも二十人集まりました。
ウニタキとチルーの婚礼が佐敷で行なわれていた頃、浦添と今帰仁では大々的な婚礼が行なわれていました。
浦添按司(武寧)の娘が今帰仁の若按司(攀安知)に嫁ぎ、今帰仁按司(山北王a)の娘が浦添按司の次男に嫁ぎました。
中山王と山北王は同盟を結び、浦添も今帰仁もお祭り気分に浸っていました。
お祭り気分の浦添グスクで事件が起きました。
婚礼に招待されていた山南王が、武寧の側室を奪って逃げたのです。
その側室は高麗の国から贈られた絶世の美女でした。
めでたい席だったので、武寧は騒がず、翌日になって、義父の島添大里按司に相談しました。
中山王が山南王を攻めるかと思われましたが、一月が過ぎても何も起こりませんでした。
武寧は山南王を攻めたかったのですが、側室の出産、進貢船の帰国と続いて、梅雨に入ってしまい、梅雨が明けたら攻めるだろうとウニタキはサハチに報告します。
梅雨が明けて、島添大里按司と武寧は山南王を攻めます。
島添大里按司は島尻大里グスクを奪い取りますが、山南王も盗まれた側室もどこにもいません。
結局、山南王を捕まえる事はできず、島添大里按司は山南王になります。
のちにわかった事ですが、山南王は側室を連れて高麗の国まで逃げ、その地で病没しました。
島添大里按司の山南王攻めのどさくさに紛れて、ウニタキとヒューガは山南王の船を奪い取りました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・キク
ヤキチの娘。マサンルーの妻になる。

・ヤザイム
奥間の長老の息子。奥間鍛冶屋の親方。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
サハチの叔母。佐敷グスクの侍女。ウニタキの妻になる。

・武寧
中山王察度の長男フニムイ。浦添按司。
妻は汪英紫の娘、ウシ。

・ンマムイ
武寧の次男。山北王の娘、マハニを妻に迎える。
のちに兼グスク按司になる。

・高麗の美女。
琉球に来た高麗の使者から贈られた絶世の美女。

・山北王
今帰仁按司ミン。帕尼芝(はにじ)の次男。

・ハーン
山北王の長男。武寧の娘、マアサを妻に迎える。
のちの攀安知。

・山南王
島添大里按司の甥の息子。母親は察度の娘。
武寧の側室を盗んで高麗に逃げる。

・島添大里按司
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。
島尻大里グスクを奪い取って、山南王になる。

・八重瀬按司
汪英紫の長男、タブチ。

・豊見グスク按司
汪英紫の次男、シタルー。明国に留学中。

・米須按司
武寧の弟。

・瀬長按司
武寧の弟。

・小禄按司
武寧の従兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチのために山賊になる。


尚巴志伝

2016年10月17日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 40.山南王

ヒューガが佐敷を去ってから二か月が過ぎ、南部の各地に山賊が出没して食糧が奪われたという噂が流れてきます。
島尻大里の城下にある『よろずや』も商品が増え、貧しい人たちに重宝がられています。
マチルギは教え子の娘たちから十二人を選んで、女子(いなぐ)サムレーを結成してグスク内の屋敷を守らせました。
やがては百人の女子サムレーを育てて、戦でも活躍させるとマチルギは張り切っています。
マチルギの教え子のトゥミとムトゥはウニタキの配下になって『三星党』に入りました。
ウニタキに呼ばれて、サハチ(尚巴志)が研ぎ師のハンルクの家に行くと、ウニタキは山南王が亡くなった事を告げます。
二か月後、サハチはウニタキに呼ばれて、ハンルクの家に行き、跡を継いだ山南王はどうしようもない奴で、やがては島添大里按司に滅ぼされるだろうとウニタキから言われます。
そして、中山王と山北王が和解して、武寧の娘が今帰仁の若按司に嫁ぎ、山北王の娘が武寧の次男に嫁ぐ事に決まったと告げられます。
東行法師に扮して旅をしていた祖父のサミガー大主は年末に帰って来て、若い者たちを百人、久高島に送ったと言います。
その翌日、父が久高島から帰って来て、若者たちも集まり、ヒューガから食糧も届いて順調に行っていると言います。
父は若者が増えたら、久高島から慶良間の無人島に移ろうと考えているが、移動するには船がいる。何とか船を手に入れたいと言います。
サハチは船は何とかしますと父に答えます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチのために山賊になる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・トゥミ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・ムトゥ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・ハンルク
奥間の研ぎ師。ウニタキの配下。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・山南王
島添大里按司の甥の息子。母親は察度の娘。

・島添大里按司
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。

・山北王
今帰仁按司ミン。帕尼芝(はにじ)の次男。

・武寧
中山王察度の長男フニムイ。浦添按司。


尚巴志伝

2016年10月10日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 39.運玉森

山賊になる決心をしたヒューガはサハチたちに別れを告げ、ヤマトゥに帰る振りをして、浮島にいるサイムンタルーの船に乗り込みます。
ヒューガを見送りに来たサハチとクマヌは、島尻大里の城下に行って「よろずや」という小さな店に行きます。
「よろずや」は山賊になったヒューガが奪い取った品々を久高島に送る拠点となる店です。
「よろずや」の店主は、サミガー大主のもとで働いていたキラマでした。

後に、「よろずや」はウニタキの「三星党」の拠点として各地に店を開きますが、その最初の店は島尻大里の城下にできた小さな店でした。

密かにサイムンタルーの船を降りたヒューガは、浮島の宿屋の主人のハリマを訪ね、山賊の事を聞きます。
与那原の運玉森(うんたまむい)に山賊がいるらしいと聞いて、ヒューガは運玉森に向かいます。
佐敷に近すぎるなと思いながら山を登ると山の中に立派な屋敷が建っているのを見て驚きます。
ヒューガがその屋敷に近づこうとすると、弓を構えた男が現れ、「その屋敷はマジムン(化け物)屋敷だから近づくな」と言います。
ヒューガは構わず進み、飛んできた弓をかわし、斬りつけてきた男を簡単に捕まえてしまいます。
男を捕まえたまま屋敷に入ると、山賊たちが隠れていました。
ヒューガは山賊の頭と戦いますが、頭は降参してしまいます。
ヒューガが山賊たちから話を聞くと、彼らは島添大里按司に倒された、先代の島添大里按司の残党と大グスク按司の残党で、島添大里按司を倒すことを夢見て細々と暮らしていると言います。
ヒューガは彼らの頭となり、山賊となって暴れ回る事になります。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチのために山賊になる。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・キラマ
馬天浜のウミンチュ。カマンタ(エイ)捕りの名人。
島尻大里の「よろずや」の主人になる。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・シマブク
運玉森の山賊の頭。島添大里の残党。

・サチョー
運玉森の山賊。島添大里の残党。

・ウムン
運玉森の山賊。島添大里の残党。

・グルータ
運玉森の山賊。島添大里の残党。

・タムン
運玉森の山賊。大グスクの残党。

・ウーマ
運玉森の山賊。大グスクの残党。

・シルー
運玉森の山賊。大グスクの残党。


尚巴志伝

2016年10月03日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 38.久高島

サハチ(尚巴志)の妻のマチルギは三人目の子供を産みます。
三人目はようやく女の子で、祖母の名前をもらってミチと名付けられます。
マチルギはミチを抱きながら、「あなたは本当は次女みたいよ」と言います。
マチルギは対馬のイトがサハチの娘を産んだ事を知っていたのでした。
サイムンタルーとクルシの口はふさげても、船乗りたちの口はふさげず、マチルギの耳にも入ったのでした。
マチルギは鬼のような顔をして木剣を振り回し、サハチは逃げ出します。
佐敷グスクの裏山に、裏の組織を作っているウニタキの拠点となる小屋かあります。
サハチはそこに逃げ込み、ウニタキと会います。
旅に出る前、東行法師(サハチの父)はウニタキと会って話をし、仲間に加わってもらいました。
ウニタキは仲間に女を加えたいと言い、サハチは佐敷グスクで侍女をしているチルーを紹介します。
その事はマチルギから頼まれていました。
チルーがウニタキの事を好きらしいので何とかしてやりたいとマチルギは言ったのです。
ウニタキと別れてグスクに帰り、サハチはマチルギに謝ります。
マチルギはイトの事は許そうと思ったが、サハチにはひとこと言わないと気が済まないので怒ったと言います。

4月になると島添大里按司は進貢船を明国に送ります。
山南王から強引に船を借りて使者を送ったのでした。
その頃、サイムンタルーの船も馬天浜を船出して、久高島に向かいます。
その船には倭寇に扮したヒューガが乗ってました。
サイムンタルーは久高島で東行法師と会います。
東行法師は久高島に集まって来た若者たちを鍛えていました。
東行法師と今後の作戦を練っていると、ヒューガが山賊になって若者たちの食糧を手に入れると言い出します。
東行法師はヒューガに頼みます。

久高島で密談が行なわれていた時、馬天浜ではウニタキがチルーと会って、「三星党」に入れる娘の事を相談していました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
サハチの叔母。佐敷グスクの侍女。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(佐敷按司)の娘、ウミチルを産む。

・ウミチル
フカマヌルの娘、フカマ若ヌル。父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。



尚巴志伝

2016年09月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 37.旅の収穫

東行法師となった父と弟のマサンルーが旅から帰って来たのは12月の半ばでした。
サハチ(尚巴志)は奥間にサハチの子がいたと聞いて驚きます。
サハチの子はサタルーと名付けられ、神様のお告げがあって、奥間の長老が育てているといいます。
東行法師は勝連で、勝連按司の三男が山賊に襲われて殺されたという噂を聞いていました。
サハチはウニタキが生きていて、今、裏の組織を作っている事を父に話します。
サハチが望月党の事も説明すると佐敷にも裏の組織は必要だと父は言い、様子を見て十年の計の事をウニタキに話すと言います。
今帰仁にも行って来た父は、焼け落ちた城下を再建している最中で、今帰仁グスクも拡張していると言いました。

年が明けると父は一人で久高島に行き、東行法師に扮した祖父が弟のヤグルーを連れて旅に出て行きました。
正月の半ばには、ヤマトゥからサイムンタルーがやって来ました。
五年振りの再会でした。
サイムンタルーから、四年前に対馬が高麗の襲撃に遭って、土寄浦一帯が全滅したと聞いてサハチは驚きます。
ようやく村の再建も終わって、琉球に来たのだという。
そして、イトがサハチの娘を産んだと聞いて、サハチはさらに驚きます。
娘はユキと名付けられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と一緒に旅に出る。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・クルシ
早田三郎左衛門の重臣。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。


尚巴志伝

2016年09月19日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 36.浜川大親

琉球の中部地方で高麗人の山賊が暴れているという噂が、サハチ(尚巴志)の耳に入ってきます。
奥間鍛冶屋のヤキチに聞くと、高麗では王様が代わって大騒ぎになり、落ち武者となった者が琉球に逃げて来て山賊になったようだと言います。
中グスクにも高麗の山賊が現れたとの噂が飛び交っていた頃、勝連のウニタキがサハチを訪ねて来ます。
ウニタキと会うのは久し振りで、今晩は一緒に酒を飲みながら、ウニタキの活躍話でも聞いてやろうとサハチは楽しみにします。
ところが、門番に連れられて現れたウニタキは髪は乱れ、着物も破れた悲惨な姿でした。
サハチは呆然して、何があったのかを聞きます。
ウニタキは怒りに満ちた目で、兄貴たちに家族を殺されたと言います。
今帰仁合戦で活躍したウニタキは浜川大親となり、ヤマトゥとの交易を取り仕切っていました、
中山王の孫娘を妻に迎えたウニタキを妬む二人の兄は、ウニタキが失敗して恥をかくように、今帰仁合戦の時、水軍の大将に任命します。
しかし、ウニタキは大活躍して、中山王から褒美の太刀を与えられます。
交易を任せたのも、倭寇たちを相手に失敗するに違いないと思ったからでした。
ウニタキは見事にやり遂げ、勝連と言えば、ウニタキの名が思い浮かぶほどに有名になります。
このままでは按司の座もウニタキに奪われると思った兄たちは、ウニタキの殺害を謀ったのでした。
勝連には古くから「望月党」という裏の組織があって、ウニタキは「望月党」の襲撃を受けたのでした。
「望月党」はウニタキを殺すために高麗の山賊に扮して、各地を荒らし回り、ウニタキもその山賊にやられたという事にしたのでした。
ウニタキの妻も娘も殺され、ウニタキは何とか助かりましたが、噂では死んだ事になっていました。
サハチはとにかく休めと言いますが、ウニタキはしばらく馬天浜の離れにお世話になると言って出て行きます。
妻子を失ったウニタキの心の傷は癒えず、一月が経っても、毎日、海を眺めながら呆然としていました。
そんな頃、豊見グスク按司のシタルーが訪ねて来ます。
シタルーは来月に明国に行くと言い出し、サハチは驚きます。
山南王の留学生として、三年間、明国で勉強すると言います。
シタルーが帰ったあと、馬天浜に行くとウニタキはいつものように浜辺に座り込んで海を見ていました。
サハチは黙ったままウニタキの隣りに座って海を眺めます。
ウニタキは望月党を潰すと決心を固め、そのためには望月党に対抗できる組織を作らなければならないと言います。
そして、自分はもう死んでいるので、サハチのために裏の組織を作ると言い、サハチもウニタキにお願いします。
裏の組織の名は「三星党」だと言って、ウニタキは頭を丸め、仲間を集めるために奥間村へと旅立ちます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。

・ウニョン
ウニタキの妻。武寧の長女。
望月党に殺される。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。のちの山南王、汪応祖。
山南王の官生として明国に留学する。

・勝連按司
先代勝連按司の長男。ウニタキの兄。

・江州按司
先代勝連按司の次男。ウニタキの兄。


尚巴志伝

2016年09月12日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 35.首里天閣

2月の初め、東行法師が志喜屋ヌルからもらった勾玉(まがたま)を持って佐敷に帰って来ました。
東行法師は久高島に渡り、フカマヌルと二十年振りの再会をし、娘のウミチルとも会いました。
久高島に籠もっていたサスカサヌルに言われて、東行法師は勾玉を馬天ヌルに渡すために帰って来たのでした。
馬天ヌルに勾玉を渡した東行法師は家族たちと会って、改めて旅立ちました。

5月になって、中山王の察度が浦添按司を息子の武寧に譲り、隠居して首里に建てた高楼に移ったとの噂が流れます。
サハチ(尚巴志)はクマヌに調べさせます。
噂は本当で、察度は三階建ての『首里天閣』と呼ばれる楼閣に移り、見物人たちが大勢押しかけて、華麗な楼閣を見上げているとの事です。
マチルギに話すと、梅雨が明けたら行きましょうと嬉しそうに言い、今年の旅は首里天閣と決まります。
その頃、東行法師は宇座の御隠居(泰期)のお世話になっていました。
梅雨が明けると東行法師は宇座の御隠居と一緒に首里天閣に行って、察度と会います。
サハチとマチルギはサムとマチルー夫婦、ヒューガと一緒に首里天閣に行きます。
首里天閣は明国の楼閣を真似した華麗で豪華な建物でした。
「凄いなあ」と見物人たちと一緒にサハチたちも見上げましたが、その時、首里天閣の三階では察度と泰期と東行法師がお茶を飲みながら昔話に花を咲かせていたのでした。
東行法師の様子を探らせていた島添大里按司は、東行法師が首里天閣にいると聞いて、「あいつは何者なんじゃ」と苦虫をかみ殺したような顔をして言いました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と共に旅に出る。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(佐敷按司)の娘、ウミチルを産む。

・ウミチル
フカマヌルの娘、父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。

・サスカサ
先代の島添大里ヌル。
島添大里グスクが落城後、久高島に逃げ、ずっとフボーヌムイに籠もっている。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・中山王、察度
浦添按司を息子の武寧に譲り、首里天閣に隠居する。。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。宇座按司を次男に譲って隠居する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・マチルー
サムの妻。クマヌの娘。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。
隠居した佐敷按司を疑い、見張りを付ける。

・奥間大親
島添大里按司の家臣。東行法師を見張る。



尚巴志伝

2016年09月05日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 34.東行法師

年が明けた1392年の正月、佐敷按司は隠居して、頭を丸め東行法師となって旅に出ます。
サハチ(尚巴志)の弟のマサンルーが父の供として従いました。
佐敷按司が隠居した事を知ると島添大里按司は、何か裏がありそうだと疑い、家臣の奥間大親に見張れと命じます。
サハチ夫婦は佐敷グスクの一の曲輪の屋敷に移り、母と弟たちは東曲輪の屋敷に移りました。
娘たちの剣術の稽古が始まった五日の日、伊波のサムが妻のマチルーを連れて、サハチを訪ねて来ます。
サムは伊波を飛び出して来たので、佐敷に置いてくれと言います。
サハチはクマヌと相談して、サム夫婦を預かる事にします。

旅に出た東行法師とマサンルーは玉グスクの城下を見て、知念を目指します。
途中、志喜屋を通った時、東行法師はサハチの誕生を祝福してくれた志喜屋の大主を思い出します。
すでに亡くなっているとは思うが、急ぐ旅でもないので挨拶でもして行こうと大主の屋敷を訪ねます。
大主の娘の志喜屋ヌルが現れて、東行法師が佐敷から来たと言うと、目の色を変えて東行法師を見つめました。
亡くなった大主は、十年後に佐敷から誰かが訪ねて来るだろうと予言したと言います。
東行法師は驚き、志喜屋ヌルから翡翠の勾玉を贈られます。
その勾玉は代々、浦添のヌルに伝わっていた古い勾玉でした。


西行法師は西にあるという極楽を目指して西行と号しますが、琉球ではニライカナイは東にあるので、佐敷按司は東行と号しました。


登場人物

・佐敷按司
尚巴志の父、サグルー。
隠居して東行法師を名乗って旅に出る。

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ミチ
尚巴志の母。先代の美里之子(んざとぅぬしぃ)の娘。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と共に旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・マナミー
尚巴志の妹。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マチルー
尚巴志の妹。

・クルー
尚巴志の弟。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
マチルギから剣術を習っている。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
隠居した佐敷按司を疑い、見張りを付ける。

・奥間大親
島添大里按司の家臣。東行法師を見張る。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・マチルー
サムの妻。クマヌの娘。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・志喜屋ヌル(志喜屋ノロ)
志喜屋大主の娘。
父から頼まれていた勾玉を東行法師に渡す。


尚巴志伝

2016年09月03日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 33.十年の計

サハチ(尚巴志)は祖父のサミガー大主に呼ばれて、祖父の隠居屋敷に行きます。
祖父の屋敷には父の佐敷按司も来ていて、一緒に酒を飲もうと言います。
隣りに住んでいる馬天ヌルがお酒を持ってきて、酒盛りが始まります。
父が突然、隠居すると言い出し、祖父とサハチは驚きます。
ヤマトゥの放浪の歌人、西行を真似して、東行と名乗り、頭を丸めて気ままな旅に出ると言います。
サハチも祖父も、父の頭がいかれたのかと思いますが、これからが本題じゃと隠居する本当の理由を話します。
サハチが以前に言った「琉球を統一する」という言葉をずっと考えていた父はようやく答えを見つけたのでした。
琉球統一の第一歩として、十年後に島添大里グスクを攻め落とすと父は言い、十年間で一千の兵を育てると言います。
旅をして若い者を集め、久高島で若い者たちを鍛えると言います。
祖父も父の意見に賛成し、若者たちはわしが集めると言います。
サハチは佐敷グスクの留守番を頼まれ、十年後まで潰されずに残ってくれと言われます。
三人が改めて乾杯していると馬天ヌルがお酒を持って入って来ます。
馬天ヌルも旅をしようと思っていたのと言い出します。
馬天ヌルの話から、琉球を統一するにはヌルたちも統一しなければならない事に父は気づき、ヌルの事を馬天ヌルに頼みます。


佐敷按司は尚巴志が21歳の時に隠居します。
そして、14年後、尚巴志が武寧を倒した後、中山王思紹として再登場します。
14年間、一体、何をしていたのか、まったく謎に包まれています。
そして、尚巴志はどうやって島添大里按司を倒し、中山王の武寧を倒したのか、詳しい事は何もわかりません。
隠居した佐敷按司は密かに兵を育てていたに違いないと私は思いました。
それと、佐敷按司となった尚巴志が、なぜ、島添大里按司に潰されずに十年間、持ちこたえたのか。
私なりに解釈して、小説にしてみました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
久高島から帰って来てからヒューガの屋敷に出入りするようになり妊娠する。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。


尚巴志伝

2016年08月29日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 32.次男誕生

水軍の総大将として鳥島を奪還し、中山王の察度から褒美の太刀を賜り、機嫌良く帰って来た島添大里按司は、城下が焼かれ、大グスクが奪われた事を知ると烈火のごとく怒ります。
島添大里按司は糸数グスクに総攻撃を掛け、豊見グスク按司のシタルーの活躍によって大グスクも見事に取り返します。
6月になって、サハチ(尚巴志)はマチルギと一緒にヒューガを連れて伊波に行き、伊波按司から今帰仁合戦の様子を詳しく聞きます。
叔父の山田按司が戦死したと聞いて悲しみますが、山田按司が今帰仁按司を殺したと聞いて驚きます。
山田按司は今帰仁グスクに潜入して、今帰仁按司と若按司を殺し、見事に敵討ちを果たしたのでした。
サハチたちは山田グスクに行き、山田按司を継いだトゥク兄さんと会います。
山田按司が戦死した頃、次男が生まれ、その次男はきっと山田按司の生まれ変わりに違いないとトゥク兄さんは言いました。
その次男はマウシと名付けられました。のちの護佐丸です。
サハチたちは宇座によって、隠居した泰期と会ってから佐敷に帰ります。
伊波から帰ってからマチルギのお腹が大きくなってきました。
マチルギのお腹が大きくなるのと同じように、馬天ヌルのお腹も大きくなっていました。
馬天ヌルは恥ずかしがる事もなく大きなお腹で城下を歩き、人から聞かれると「マレビト神の子よ」と言っていました。
人々はその答えに納得していますが、誰もがお腹の子の父親がヒューガだと知っていました。
9月にマチルギは次男のジルムイを産みます。
マチルギは女の子を願っていましたが二人目も男の子でした。ジルムイはのちの尚忠です。
馬天ヌルは娘のササを産みます。


登場人物

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
今帰仁合戦では水軍の総大将として、鳥島奪回に成功する。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。

・大グスク按司
島添大里按司の三男、ヤフス。

・マナビダル
ヤフスをだます美女。糸数按司の配下。

・糸数按司
妻は玉グスク按司の娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。
今帰仁グスクに夜襲を掛け、今帰仁按司と若按司を殺して戦死する。

・トゥク
マチルギの兄。義父が戦死し、山田按司を継ぐ。

・マウシ
トゥクの次男。のちの護佐丸。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。宇座按司を次男に譲って隠居する。

・クグルー
泰期の三男。母は後妻のナミー。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
久高島から帰って来てからヒューガの屋敷に出入りするようになり妊娠する。

・ジルムイ
サハチとマチルギの次男。のちの尚忠。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。


尚巴志伝

2016年08月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 31.今帰仁合戦

サハチ(尚巴志)の父、佐敷按司は兵を率いて今帰仁に出陣して行きます。
サハチはヒューガと一緒に留守を守りました。
マチルギも教え子たちに弓矢を持たせて佐敷グスクを守っています。
大グスク按司の兵が早朝に攻めて来ましたが、待ち構えていたサハチたちは見事に追い返します。
サハチたちは二度目の攻撃を待っていましたが、大グスクでは異変が起きていました。
糸数按司が大グスクを奪い取ってしまったのです。
大グスク按司は数人の兵に守られて島添大里グスクに逃げ込みますが、ほとんどの者たちは戦死してしまいます。
次の日、糸数按司の使者が佐敷グスクにやって来て、一緒に島添大里グスクを攻めようと言って来ます。
サハチは重臣たちと相談して、その申し出を断ります。
翌日、島添大里グスクは糸数、玉グスク、垣花、知念の兵によって包囲されます。
もし、島添大里グスクが落城すれば、包囲していた兵は佐敷グスクを攻めるでしょう。
そうなれば、佐敷は全滅します。
重臣の中には今からでも包囲陣に加わった方がいいと言い出す者も現れます。
サハチは悩みますが馬天ヌルから、「動いちゃだめよ」と言われ、決心を新たにして守りを固めます。
何日かして、島添大里グスクを包囲していた兵は引き上げます。
中山王の兵が玉グスクを狙って動いたようでした。
それから六日後、佐敷按司は無事に帰って来ました。
サハチは父から戦の様子を聞きます。
結局、今帰仁グスクは落とす事はできませんでしたが、鳥島は奪い返したようでした。


山北王が硫黄鳥島を奪ったのは今回が初めてではありませんでした。
以前の時は水軍を使って奪い返しています。
今回も水軍だけで奪い取る事は可能でしたが、戦の経験のないフニムイ(武寧)に戦の経験をさせてやろうという察度の親心から今帰仁を攻める事にしたのです。
察度は今帰仁グスクが簡単に攻め落とせるグスクではない事を知っています。
今帰仁グスクを攻め落とすには周到な準備をしなければなりません。
今回はそんな時間もなかったので、初めから攻め落とす気はなく、鳥島を取り戻すための陽動作戦だったのです。
それと、中山王に従う按司たちを調べるためでもありました。
戦に従わなかった按司たちを敵とみなし、やがては退治しようと考えていました。
察度もすでに70歳を過ぎ、跡を継ぐフニムイのためにできるだけの事はしてやろうと思っていたのでした。



登場人物

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・屋比久大親
佐敷按司の重臣。

・當山之子
佐敷按司の家臣。美里之子の弟。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・大グスク按司
島添大里按司の三男、ヤフス。

・糸数按司
妻は玉グスク按司の娘。

・フニムイ(武寧)
今帰仁合戦の総大将。察度の長男。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。
今帰仁グスクに夜襲を掛けるが、フニムイに見捨てられて戦死する。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
今帰仁合戦では水軍の総大将として、鳥島奪回に成功する。

・宇座按司
泰期の次男。
今帰仁合戦で中山王の水軍の大将として活躍する。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。



尚巴志伝

2016年08月22日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 30.出陣命令

サハチの長男、サグルーの誕生を一番喜んだのは祖父のサミガー大主でした。
祖父はひ孫の顔を眺めながら引退を決心して、ウミンターに鮫皮作りの親方を譲ります。
マチルギの兄のサムは伊波に帰る事となり、クマヌの娘のマチルーを嫁に迎えます。
隠居した祖父の新しい屋敷が完成した九月に、浦添では中山王の察度が山北王の帕尼芝(はにじ)を攻めるという噂が流れていました。
戦の原因は山北王が硫黄鳥島を奪い取ってしまった事でした。
山北王は中山王の船に乗って、明国に進貢していましたが、いつまで経っても明国から船をもらえないので、もう待ちきれないと硫黄鳥島を奪いました。
硫黄鳥島を奪われたら、硫黄を採る事ができず、明国への進貢ができなくなります。
察度は怒って、山北王を攻める事に決めたのでした。
佐敷按司は中山王との関係はありませんが、サハチが伊波按司の娘を嫁に迎えたため、伊波按司から出陣の依頼が来るかもしれないと心配します。
サハチがマチルギにその事を話すと、マチルギは必ず出陣すると言います。
たとえ前線で戦えなくても、山北王が滅びるのを見なければならないと言います。
サハチには止める事はできませんでした。
年が明けて二月の半ば、佐敷にも出陣命令が来ました。
佐敷按司は出陣の準備を始めますか、佐敷按司が出陣するか、若按司のサハチが出陣するかはもう少し考えさせてくれと言います。
三月の半ば、サハチは父に呼ばれ、留守を頼むと言われます。
サハチはマチルギに留守を守る事に決まったと告げると、マチルギも残ると言います。
サハチは驚きますが、神様に何度も残りなさいと言われ、馬天ヌルからも残りなさいって言われたとマチルギは言いました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・サグルー
サハチとマチルギの長男。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・マチルー
クマヌの娘。マチルギの兄のサムに嫁ぐ。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
マチルギが佐敷に嫁いだあと、一年間、佐敷に残る事になる。
一年後、伊波に帰り、クマヌの娘のマチルーを妻に迎える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
マチルギから剣術を習っている。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・兼久大親
佐敷按司の重臣。

・屋比久大親
佐敷按司の重臣。

・ヤシルー
ヤマトゥから来た弓矢の名人。
佐敷按司の重臣。八代大親。


尚巴志伝

2016年08月15日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 29.長男誕生

久高島に馬天ヌルを残し、旅を続けたサハチ(尚巴志)たちは島尻大里の城下を見て、シタルーのいる豊見グスクに向かいます。
気楽な気持ちでシタルーに会いに行こうとしたサハチはマチルギとヒューガに止められました。
サハチも考え直して、シタルーと会うのはやめて浮島に渡り、宿屋をやっているハリマに歓迎されます。
旅の途中、マチルギはフボーヌムイで起こった事を思い出し、サスカサヌルからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かったと言いいます。

旅から帰ったサハチは、久高島にいるウミチルの事を父に話しました。
父は驚きます。フカマヌルが自分の娘を産み、育てていたなんてまったく知りませんでした。
母には内緒だぞとサハチに言って、いつか会いに行きたいと父は言います。

八月に大きな台風が琉球を襲いました。
佐敷グスクは無事でしたが、海辺の家々は破壊され、馬天ヌルの屋敷も壊れます。
家を失った人たちは佐敷グスクに避難して、サハチたちは村の再建に働きます。
マチルギも娘たちを引き連れて、村の復興に励みます。
そんな中、馬天ヌルが久高島から帰ってきます。
フボーヌムイで修行を積んだ馬天ヌルは神々しく、神気が漂っているようでした。

年が明けて、二月の初め、マチルギは元気な男の子を産みます。
サハチの長男は祖父の名をもらって、サグルーと名付けられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・ミチ
尚巴志の母。美里之子(んざとぅぬしぃ)の娘。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。

・サグルー
サハチとマチルギの長男。



尚巴志伝

2016年08月08日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 28.サスカサ

旅に出たサハチ(尚巴志)たちは久高島に渡っていました。
馬天ヌルはサスカサヌルを探すという目的を持っていました。
サハチたちは馬天ヌルに付き合うという形で久高島に行ったのでした。
サスカサというのは島添大里ヌルの神名で、古くから有名なヌルでした。
先代の馬天ヌルが亡くなる時、馬天ヌルはサスカサから教えを請うように言われていました。
しかし、若かった事もあり、もう一人前のヌルだと思い込んでいた馬天ヌルはサスカサから教えを請いませんでした。
ところが、島添大里按司が滅ぼされて、兄は佐敷按司になりました。
馬天ヌルは按司を守るための儀式をしなければならなくなります。
出陣の儀式とかは先代の馬天ヌルからは教わっていません。
ようやく、先代が言った意味がわかり、サスカサを探しましたが見つける事はできませんでした。
戦の時に亡くなってしまったのだろうと諦めていた時、久高島のウタキに七年間も籠もっている神人(カミンチュ)がいるという情報を得ます。
馬天ヌルはサスカサに違いないと思い、久高島に来たのでした。
久高島にはフカマヌルがいて、フカマヌルの娘のウミチルの父親が、サハチの父親だと聞いてサハチたちは驚きます。
次の日、馬天ヌルはフカマヌルに連れられてサスカサに会いにフボーヌムイ(フボーウタキ)に行きます。
マチルギとウミチルも一緒に行き、フボーヌムイに一晩、籠もります。
馬天ヌルの願いはかなって、サスカサから教えを受ける事になりました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。

・玉グスクヌル
玉グスク按司の妹。サスカサの伯母。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(佐敷按司)の娘、ウミチルを産む。

・ウミチル
フカマヌルの娘、父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。

・サスカサ
先代の島添大里ヌル。
島添大里グスクが落城後、久高島に逃げ、ずっとフボーヌムイに籠もっている。



尚巴志伝

2016年08月01日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 27.豊見グスク

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚礼の翌日、大グスク按司のシタルーがサハチを訪ねて来ます。
シタルーは新しく築いている豊見グスクに移り、大グスクには弟のヤフスか入ると言います。
サハチはヤフスの事をクマヌに聞きますが、クマヌも詳しい事は知りませんでした。
サハチは奥間鍛冶屋のヤキチを訪ねます。ヤキチはヤフスの事を知っていました。
ヤフスの事を詳しく聞き、各地にいる奥間大親の事も聞きます。
四月になるとシタルーは豊見グスクに移り、ヤフスが大グスクに入って大グスク按司を名乗りました。
五月になるとマチルギが去年の旅を思い出して、今年も旅に出たいと言い出します。
サハチも旅に出たい心境だったので、父に相談します。
だめだと言われると思っていたのに、父は許してくれました。
翌日の朝、サハチとマチルギがヒューガの屋敷を訪ねると、何と叔母の馬天ヌルがいて、一緒に旅に出ると言います。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、祖父はサミガー大主。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。

・シタルー
大グスク按司から豊見グスク按司になる。
島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。

・ヤフス
具志頭の若按司から大グスク按司になる。
島添大里按司の三男。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。


尚巴志伝

2016年07月28日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 26.高麗の対馬奇襲

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚礼が行なわれていた頃、高麗の軍船が対馬の土寄浦を攻撃していました。
高麗ではクーデターが起こって、李成桂(イソンゲ)が政権を握り、倭寇の本拠地である対馬攻撃を決定したのでした。
大砲を積んだ高麗の軍船百隻は対馬の浅海湾を目指してやって来ました。
去年の夏に生まれたサハチの娘、ユキに乳を飲ませていたイトは、突然、雷が落ちたような音を聞いて驚きます。
高麗軍が大砲を撃ち込んでいたのです。
男たちは武器を持って村を守り、女たちは山の中に逃げ込みました。
高麗の兵は上陸して来ましたが、男たちによって追い返されました。しかし、敵の大砲によって、家々は焼かれ、船も沈んでしまいます。
その時、サンルーザとサイムンタルーは家臣たちを引き連れて高麗を攻めていました。
その留守を狙われて、土寄浦周辺は壊滅状態になってしまったのです。


登場人物

・イト
イスケの娘。サハチの娘、ユキを産む。

・イスケ
イトの父親。

・マユ
土寄浦の娘。

・サワ
土寄浦の後家。

・トミ
土寄浦の娘。

・早田丹後守
サイムンタルーの叔父。

・中尾潮漸
サイムンタルーの妻の祖父。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・李成桂(イソンゲ)
高麗の武将。朝鮮王朝の初代王となる。

・朴葳(パクウィ)
倭寇討伐で活躍した高麗の武将。
対馬を攻撃した高麗軍の総大将。


尚巴志伝

2016年07月23日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 25.お輿入れ

サハチ(尚巴志)とマチルギの新居となる佐敷グスクの東曲輪(あがりくるわ)が完成し、12月の末には東曲輪の庭で娘たちの剣術の試合が行なわれました。
試合の翌日、マチルギとサムは伊波に帰って行きました。
次にマチルギが佐敷に来るのは2月の婚礼の日です。
大晦日の前日、サハチが東曲輪でマチルギの事を思っていると、勝連のウニタキが訪ねて来ます。
ウニタキはすでに中山王の察度の孫娘を妻に迎えていました。
浮島(那覇)で、倭寇がさらって来た高麗人が売り買いされているとウニタキはサハチに言います。
その事を妻の父親である武寧に話すと、武寧は怒って、連れ去られて来た高麗人たちを本国に送り返してやると言います。
ウニタキの母親も武寧の母親も高麗人だったのです。
翌年の夏、察度は高麗に使者を送って、倭寇によって連れ去られて来た高麗人を高麗に連れ返します。
ウニタキの一言によって、琉球と高麗との交易が始まるのです。

年が明けて、洪武22年(1389年)となり、サハチの妹のマシューが佐敷ヌルになります。
2月にはマチルギが伊波から嫁いできました。
花嫁のマチルギは佐敷の人たちから大歓迎されます。
佐敷グスクはマチルギを祝福する人たちで埋め尽くされます。
サハチとマチルギの婚礼の儀式は大勢の人たちに見守られて無事に終わり、二人はめでたく夫婦になりました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、祖父はサミガー大主。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
マチルギが佐敷に嫁いだあと、一年間、佐敷に残る事になる。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルー
クマヌの娘。マチルギから剣術を習っている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・馬天ヌル
尚巴志の叔母。マチルギから剣術を習っている。

・佐敷ヌル
尚巴志の妹、マシュー。マチルギから剣術を習っている。

・苗代大親
尚巴志の叔父。苗代之子から苗代大親に昇格する。

・平敷大親
伊波按司の重臣。

・チルー
美里之子の娘。尚巴志の叔母。
東曲輪の侍女の頭になる。


尚巴志伝

2016年07月18日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 24.山田按司

名護から道なき道を通って、サハチ(尚巴志)たちは伊波グスクに向かいます。
マチルギとサムが今帰仁に行って来たと言うと伊波按司は驚きます。
次の日、サハチたちはマチルギの叔父、山田按司を訪ねます。
山田按司は山伏の格好をしていて、目に見えない凄い力を持っている不気味な男でした。
サハチとマチルギは山田按司に祝福されます。
山田グスクを去った一行は宇座按司(泰期)を訪ねますが、宇座按司は浦添に行っていて留守でした。


その頃、国場川と饒波川の合流地点の山の中で、島添大里按司とその次男のシタルーが新しいグスクを築く相談をしていました。
豊見グスクです。
島添大里按司は浮島の近くに新しい拠点を築いて、明国との交易に力を入れようと考えていたのです。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。

・トゥク
山田若按司。マチルギの兄。

・ナミー
宇座按司の若い奥さん。ウミンチュの娘。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。

・シタルー
大グスク按司。島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。



尚巴志伝

2016年07月11日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 23.名護の夜

勝連グスクから帰ったサハチ(尚巴志)が、マチルギにグスクの様子を話すと、マチルギは今帰仁グスクを見てみたいと言います。
お嫁に来てしまえば、そんな我がままはできないので、今のうちに見たいと言います。
今、浮島(那覇)にはサイムンタルーの船がいます。
それに乗っていけば今帰仁まで行く事ができます。
サハチはマチルギに敵である山北王のグスクを見せる事に決め、父の許しを得ると、ヒューガ、マチルギ、サムと一緒に浮島に向かいます。
浮島は相変わらず賑わっていて、初めて来たマチルギとサムは驚きます。
サイムンタルーの船は明から帰って来る進貢船を待っていました。
サハチたちが浮島に来た三日後、進貢船は帰って来ました。
それから十日後、サイムンタルーの船は船出し、その日のうちに今帰仁に着きます。
今帰仁グスクを見たマチルギとサムは、改めて敵討ちの決心を固めます。
ミヌキチの家に顔を出すと、ミヌキチは驚いた顔で、サハチたちを迎えますが、危険だと言います。
マチルギとサムの素性がばれたら殺されるとミヌキチは言いました。
ミヌキチの家に一晩お世話になったサハチたちは名護に向かいます。
名護に向かう山中で何者かに襲われます。簡単に敵を倒す事はできましたが、首謀者らしいサムレーに逃げられます。
ところが、逃げたサムレーは急に倒れます。調べると石つぶてにやられて死んでいます。
山の中から男たちが現れ、奥間の鍛冶屋だと名乗り、そのサムレーが今帰仁に帰ってサハチたちの事を告げると面倒な事になるので殺したと言います。
その鍛冶屋は最近、佐敷に来たヤキチという名の男でサハチは顔を覚えていました。
ヤキチは奥間の長老に命じられて、サハチの身を守っていると言いました。
どうしてかと聞くと奥間ヌルのお告げがあったと言います。
サハチはヤキチにお礼を言い、一緒に旅をします。
名護ではヤキチの紹介で、木地屋の親方の屋敷にお世話になります。
木地屋の屋敷でサハチは、マチルギがツキシルの石が光ったのを見たと聞いて驚きます。


この年に帰って来た山南王の進貢船には島添大里按司が使者として乗っていました。
明の国を見てきた島添大里按司は考えを変えていきます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ミヌキチ
今帰仁城下に住む刀の研ぎ師。
妻は先代の今帰仁按司の妹。娘は伊波の若按司の妻。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ユシチ
木地屋の親方。


尚巴志伝

2016年07月07日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 22.ウニタキ

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚約が決まり、佐敷グスクでは拡張工事を始めていました。
そんな頃、勝連按司の三男のウニタキがサハチを訪ねて来ます。
勝連按司が亡くなり、ウニタキは急遽、中山王、察度の孫娘を嫁にもらう事に決まったと言います。
ウニタキは鮫皮作りが見たいと言い、サハチはウニタキを連れて、祖父、サミガー大主の作業場に連れて行きます。
勝連に来るヤマトゥンチュも鮫皮を欲しがるので、勝連でも鮫皮を作りたいとウニタキは言います。
作業場を見学したあと、浜辺で話し込んでいるうちに夕方になってしまい、サミガー大主の離れに顔を出すと、ヤマトゥンチュの船乗りたちが酒盛りを始めていました。
サハチとウニタキも加わって、夜遅くまで騒いでいました。
翌日、ウニタキは鮫皮の作業場を見せてもらったお返しに勝連グスクを見せてやると言います。
サハチはウニタキと一緒に勝連に行き、グスクの中に入りました。
勝連グスクは素晴らしく、一の曲輪からは四方が見渡せました。
サハチは景色を眺めながら、島添大里グスクを奪い取りたいと思っていました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ソウゲン(宗玄)
元の国で修行を積んだ禅僧。佐敷按司の家臣となり、サハチたちの読み書きの師になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギの父。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘を妻に迎える。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしている。

・イブキ
ヤマトゥの山伏。ウニタキの師匠。


尚巴志伝

2016年07月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 21.再会

ウニタキとの試合で引き分けたマチルギは佐敷に戻って厳しい修行を続けていました。
約束の二か月後、ウニタキは現れませんでした。ウニタキの父親の勝連按司が急に亡くなってしまったためでした。
マチルギが佐敷に来て五か月が過ぎ、娘たちが武術の教えを請うようになっていました。
武術は男がやるものと思い込んでいた娘たちが、マチルギを見て、女も武術をしてもいいんだと思うようになり、マチルギに憧れます。
佐敷按司の許しが出て、マチルギが娘たちに剣術を教える事になります。
マチルギは自分の修行も途中なのに、人に教える事なんてできないと断りますが、苗代之子は人に教えるのも修行になる。毎日、夕方の二時間だけだからやってくれと頼みます。
マチルギは仕方なく、引き受けます。
初めの頃は面倒くさいと思っていたマチルギも、だんだんと娘たちに教えるのが楽しくなっていきます。
今まで、同年代の娘たちと一緒に遊んだ事もなかったマチルギは、稽古のあとに娘たちから色々な話を聞くのも楽しいと思うようになります。
マチルギの教え子の中には馬天ヌルと佐敷ヌルもいました。馬天ヌルはマチルギよりもかなり年上なのに、マチルギをお師匠と呼んで、真剣に稽古をしていました。
いつものように山の中で修行していたら、サハチ(尚巴志)が帰って来たと教え子の娘が知らせてくれました。
マチルギは馬天浜に向かいます。馬天ヌルと佐敷ヌルも来ていて、三人でサハチを迎えます。
マチルギはサハチを見つめ、知らずに涙がこぼれてきます。
マチルギとサハチは砂浜を歩きながら積もる話を語り合います。
その晩、帰国祝いの宴が開かれ、その宴にはマチルギも呼ばれていました。マチルギが家族たちに歓迎されている事を知ってサハチは喜びます。
次の日の夕方、サハチはマチルギと約束の試合をして、引き分けます。試合を見ていた娘たちが二人に喝采を送っていると、ウニタキがマチルギを訪ねて来ます。
ウニタキはマチルギに幸せになって下さいと言って去って行きます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・サム
伊波按司の四男。後に尚巴志の家臣になる。

・苗代之子(なーしるぬしぃ)
尚巴志の叔父、佐敷按司の弟。剣術の名人。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・クマヌの奥さん
島添大里の武将の妻だったが、夫は戦死し、娘と一緒に城下の焼け跡をさまよっていて、クマヌに助けられる。

・マチルー
クマヌの娘。

・美里之子(んざとぅぬしぃ)
佐敷按司の義弟。武術師範。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・馬天ヌル
尚巴志の叔母。

・マシュー
尚巴志の妹。馬天ヌルのもとでヌルの修行中。佐敷ヌル。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・クルシ
早田三郎左衛門の重臣。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・サミガー大主
尚巴志の祖父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・ウミンター
尚巴志の叔父。鮫皮作りを継ぐ事になっている。

・ウニタキ
勝連按司の三男。勝連に来たマチルギを見初めて嫁に請う。


尚巴志伝

2016年06月27日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 20.兵法

対馬の和田浦に移ったサハチ(尚巴志)とヒューガは、イトとサワと一緒に楽しく暮らしていました。
イトとサワもヒューガから剣術を習い、サハチはマチルギに勝つために山に籠もって修行に励みます。
ヒューガから読み書きを習い、兵法書も読んでいました。
10月の半ば、イトの母親が倒れてしまい、イトは土寄浦に帰ります。それでも、五の付く日には必ずサハチに会いにやって来ました。
12月の半ば、サハチは初めて雪を見て感激します。
12月の暮れには明国に行っていたサンルーザたちが無事に帰って来ました。
サハチたちは土寄浦に戻り、サンルーザに再会して明国の話を聞きます。
年が明けて、いよいよ、帰国の日が来ました。
サハチはイトに一緒に来ないかと誘いますが、イトは断ります。
母親が心配だし、言葉も通じないし、お城の中で暮らすなんて耐えられないとイトは言いました。
サハチは必ずまた来るとイトに約束して、別れを告げます。
船出の前、サハチはサンルーザから土産をもらいます。前から欲しいと思っていた刃渡りが三尺近くもある太刀でした。
それと、「三つ巴」の旗と「八幡大菩薩」と書かれた旗ももらいました。

「三つ巴」は八幡様の神紋で、サハチはそれを家紋にする事に決めます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・イト
イスケの娘。娘たちの姉御的な存在。
サハチの事を父から聞いて、いつか会えるとサハチとの出会いを待っていた。

・サワ
ヒューガが琉球に行く前、対馬に滞在して仲よくなった後家。
夫は高麗で戦死、9歳の息子と7歳の娘がいる。
サハチとヒューガの食事の面倒を見てくれる。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・シンゴ
早田新五郎。サンルーザの五男。

・マツ
松太郎。サンルーザの配下の息子。


尚巴志伝

2016年06月24日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 19.マチルギ

サハチ(尚巴志)が対馬でイトと仲よくやっていた頃、マチルギは勝連按司の息子からお嫁にほしいと言われます。
敵討ちの事しか考えていないマチルギは断りましたが、いい縁談だと父親に説得されます。
マチルギは仕方なく、もし相手が自分よりも強かったらお嫁に行くと言います。
断ってくるだろうと思っていたのに、相手は伊波にやって来ます。
勝連按司の三男でウニタキと名乗った相手とマチルギは試合をしますが負けてしまいます。
マチルギは二か月後にもう一度試合をしたいと頼み、ウニタキは承諾してくれました。
ウニタキに勝つには今まで通りの稽古をしていても駄目だとマチルギは思い、佐敷に行こうと決心します。
佐敷には武術道場があって、サハチよりも強い人がいるとサハチから聞いていました。
兄たちと一緒に佐敷に行ったマチルギは、山伏のクマヌを頼ります。
クマヌのお陰で、マチルギは武術道場に入って剣術の修行に励みます。
すぐ上の兄のサムがマチルギと一緒に佐敷に残りました。
マチルギの事はすぐに噂になります。
十五歳の娘なのに滅法強い。クマヌがサハチのお嫁さんを探していた事を知っている者たちは、あの娘はサハチのお嫁さんに違いないと噂をします。
その噂はサハチの父親、佐敷按司の耳にも入って、クマヌとマチルギを呼んで、わけを聴きます。
今度負けたら勝連按司の息子の嫁になると聞いた佐敷按司は思わず、「勝ってくれ」と言い、弟の苗代之子(なーしるぬしぃ)にマチルギの指導を任せます。
二か月後、マチルギはウニタキと試合をして、引き分けます。今度はウニタキが二か月後にもう一度試合をしたいと頼み、マチルギはうなづきます。

ウニタキは架空の人物です。マチルギをめぐってのサハチの恋敵として登場させたのですが、このあとの話の展開によって、重要な人物となっていきます。


登場人物

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。

・サム
伊波按司の四男。後に尚巴志の家臣になる。

・ウニタキ
勝連按司の三男。勝連に来たマチルギを見初めて嫁に請う。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルー
クマヌの娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・苗代之子(なーしるぬしぃ)
尚巴志の叔父、佐敷按司の弟。剣術の名人。


尚巴志伝

2016年06月23日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 18.富山浦

サハチ(尚巴志)とイトが仲よくなった事を快く思わない男たちがいました。
その男はサハチに決闘を申し込みますがサハチに負け、諦めるかと思われましたが諦めずに、さらに決闘を申し込んできます。
サハチは決闘の事は誰にも言いませんでしたが、サイムンタルーに知られ、サイムンタルーはサハチとヒューガを朝鮮に連れて行きます。
朝鮮の富山浦(プサンポ)にはサイムンタルーの伯父の早田五郎左衛門がいました。
五郎左衛門は高麗人の娘を妻に迎え、「津島屋」という店を出している商人でした。
サハチは五郎左衛門から高麗の話を聞きます。
サハチの祖父、サミガー大主の作業場には高麗の人たちも働いていましたが、サハチは高麗に興味を持った事はありませんでした。
突然、高麗に連れて来られたサハチは高麗と対馬の関係などを学びます。
サイムンタルーは対馬に帰り、言葉も通じない高麗に置いていかれ、イトにも会えずサハチはがっかりしますが、サイムンタルーがまたやって来て、対馬に帰る事になりました。
土寄浦ではなく、浅海湾の奥にある和田浦という所に連れて行かれました。
和田浦は早田氏の第二の拠点で、サイムンタルーの叔父の兵衛左衛門が守っていましたが、兵衛左衛門はサンルーザと一緒に明国に行っていて留守でした。
サハチとヒューガはサイムンタルーに案内されて、これから暮らす事になる空き家に行きますが、そこには何と、イトとサワが待っていました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・イト
イスケの娘。娘たちの姉御的な存在。
サハチの事を父から聞いて、いつか会えるとサハチとの出会いを待っていた。

・サワ
ヒューガが琉球に行く前、対馬に滞在して仲よくなった後家。
夫は高麗で戦死、9歳の息子と7歳の娘がいる。
サハチとヒューガの食事の面倒を見てくれる。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・早田五郎左衛門
サンルーザの弟。
高麗の富山浦に住む商人。妻は高麗人。

・早田次郎左衛門
サイムンタルーの兄。
高麗の富山浦に住む。妻は高麗の商人の娘。
サンルーザと一緒に明国に行っている。

・早田兵衛左衛門
サンルーザの弟。和田浦に住む。
サンルーザと一緒に明国に行っている。


◯高麗の略年表

918年、王建、高麗を建国する。
935年、高麗、新羅を征服する。
960年、中国で宋が建国。
1115年、女真、按出虎水の河畔で、金を建国。
1125年、金、遼(契丹)を滅ぼす。
1127年、金は宋都開封を陥落させて北宋王朝陥落。
1138年、金、南宋の臨安(杭州)紹興、明州(寧波)を陥落させる。
1157年、金、会寧から燕京へ遷都。
1206年、テムジンがモンゴルを統一。
1218年、高麗、モンゴル帝国と同盟する。
1227年、西夏、蒙古に滅ぼされる。
1231年、蒙古(後の元)の侵入が始まる。
1232年、崔氏は国王を連れて都を開城から江華島に移し抵抗する。
1233年、蒙古 金の首都開封を攻略。
1241年、高宗、モンゴルとの講和を請い、貢賦を納めることに同意する。
1258年、武臣の金俊ら 親蒙古を掲げ、崔氏政権を倒し、蒙古へ降伏する。
1271年、蒙古、国号を「大元」と改める。
1274年、高麗軍、元軍と共に日本を攻める。元寇。
1279年、元、南宋を滅ぼす。
1281年、第二次元寇。
1356年、元と断交し、蒙古侵入以前の高麗の領域を回復し独立する。
1358年、倭寇、高麗の角山戊を襲い船300余艘を焼く。
      倭寇のため財政が困窮し、百官の俸禄が支給できなくなる。
1360年、倭寇、高麗の江華島を襲撃する。
1361年、李成桂・鄭世雲が黄州で、紅巾軍に大勝する。
1364年、倭寇、200余艭が高麗を襲撃する。
1368年、明が中国に興り、元を北に追いやる。
1370年、高麗は明へ朝貢して冊封を受けたが、国内では親明派と親元派の抗争が起こる。
1371年、倭寇350艘、礼成江を襲い、兵船40艘を焼く。
1374年、恭愍王、親元派に殺される。
      倭寇350艭が高麗を襲撃。
1375年、済州島で反乱が起こる。倭寇200余艘が済州島を攻める。
1377年、倭寇200余艭が高麗を襲撃する。
1378年、倭寇、京城を攻めるが、李成桂、崔瑩、これを破る。
1379年、倭寇騎馬700、歩兵2000余で高麗の普州を襲撃する。
1380年、倭寇500艘、高麗の鎮浦口に入り、州都に散入する。
1381年、倭寇、高麗の寧海府を焼く。
1382年、賤民が倭寇の名をかたり諸所を荒らす。
1383年、倭寇120艭が高麗を襲撃するが撃退する。
1385年、倭寇150艭が高麗を襲撃するが、李成桂に撃退される。
1388年、明は高麗に対し、元代の旧領を返還するように要求する。
     威化島回軍。李成桂が実権を握る。
1389年、高麗軍、対馬を攻める。
1392年 高麗が滅び、朝鮮となる。


尚巴志伝