
草津温泉から信州へ行く道の一つに、香草(かくさ)を通って、芳ヶ平に出て、渋峠へ行く道がありますが、江戸時代、湯治客は常布の滝を見るために、弁当を持って香草まで出掛けました。江戸時代には香臭と書いたようです。
「草津温泉膝栗毛・冗談しっこなし」でも、十返舎一九と喜多川月麿は香草に出掛けます。
草津温泉から山の中に入り、吊り橋を渡って、しばらく行くと蟻の門渡(とわた)りという難所に出ます。そこを通り抜けると香草に出ます。江戸時代には香草に茶屋があって、湯治客たちがひと休みしました。そこから常布の滝が見えますが、遠くの方に小さく見えるだけで、実際に行った湯治客はがっかりしたかもしれません。
「冗談しっこなし」では、蟻の門渡りで崖崩れがあって、湯治客が亡くなってしまいますが、そこに殺人事件がからんで、一九たちが見事に解決します。
昭和の初期から半ば頃まで、香草には「ホテル一井」の別館があって、当時の礎石が残っています。


ラベル:草津温泉
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