2020年08月20日

尚巴志伝 あらすじと解説 第二部 213.湧川大主の憂鬱

ハルたちが屋嘉比のお婆と別れて、奥間に着いた頃、運天泊に鬼界島(喜界島)から帰って来た湧川大主の武装船と三隻の船が着きました。
諸喜田大主、具志堅大主、謝花大主が率いている兵たちと一緒に、湧川大主は今帰仁に向かいました。
本来なら親泊に着いて、皆に祝福されて凱旋するはずでした。
今帰仁の城下に着くと、湧川大主は諸喜田大主、具志堅大主、謝花大主を兵たちと一緒に帰して、一人でグスクの中に入って行きました。
一の曲輪の御殿に行くと山北王は待っていて、湧川大主の顔を見るなり、一体、どういう事なんだと聞きました。
湧川大主は127人が戦死して負け戦だった事を告げ、来年、話を付けに行くと言いましたが、山北王は真っ赤な顔をして怒りました。

湧川大主は城下の屋敷に帰り、側室のマチに娘のチルーの事を尋ねたら、チルーがお芝居の稽古に夢中になっていると聞いて、気楽なもんだと呆れます。
それから3日間、湧川大主は戦死者の家族に会って頭を下げて回りました。
山北王から呼び出しが掛かると思っていましたが、そんな事はなく、山北王は沖の郡島に行ったようです。
クーイの若ヌルが怒りを抑えてくれる事を願って、湧川大主は運天泊に帰りました。

屋敷に帰る前に隣りの勢理客ヌルの屋敷を覗いたら、娘のランと山北王の娘のカリンが武当拳の稽古をしていたので湧川大主は驚きます。
安須森参詣に行った時、サスカサから教わったと言うので、湧川按司は驚きました。

側室のハビーに迎えられて、言いたい事を吐き出して、すっきりすると、湧川大主は配下の割目之子から留守中の出来事を聞きました。
冊封使が来て山南王を冊封した事、南蛮の王女たちが今帰仁に来て山北王に会った事、新しい進貢船は下賜されたがリュウインが永楽帝に仕える事になり明国から帰って来ない事、新しい海賊が運天泊に来た事を聞きます。
軍師だったリュウインを失った山北王は怒ったに違いないと湧川按司は思い、新しい海賊が鉄炮の玉と火薬を持って来てくれた事は喜ばしい事だと思いました。
どうでもいい事ですが、奥間ヌルの娘の若ヌルが島添大里按司の娘だという噂が流れたと割目之子が言うと、その事を山北王が知ったら大変な事になりそうだと湧川大主は言いました。
湧川大主は運天泊でも戦死した配下の家族に頭を下げて回り、それなりの褒美を与えました。

羽地グスクに行った湧川大主は、義弟の羽地按司に頭を下げて、多くの戦死者を出してしまった事を詫び、国頭グスクに行って、叔父の国頭按司にも頭を下げました。
国頭にいる側室のクルキから、王女たちが国頭に来た時の様子を聞き、名護の松堂が首里見物に行った事も知りました。




登場人物

・湧川大主
攀安知の弟。
妻は羽地按司の娘、ミキ。
テーラーと一緒に兵を率いて奄美大島を攻め、北半分を支配下に組み込む。
明国の海賊リンジョンシェンを迎える。
与論島を奪い返すために、中山王と同盟するように山北王に勧める。
与論島に行き、按司を入れ替える。
運天泊に来たヂャンサンフォンから武当拳の指導を受ける。
鉄炮を積んだ武装船で鬼界島を攻め取る。
マジニを奄美大島の赤木名に送り、あとの事を鬼界按司に任せて、今帰仁に帰る。
鬼界按司が全滅したとの知らせを受けて愕然となり、来年こそは必ず鬼界島を奪い取る決心する。
妻が亡くなり、鬼界島攻めは中止となる。
今帰仁のお祭りが終わると鬼界島を攻めるために出陣する。
琉球に来ていた鬼界島の船を永良部島沖で沈める。
鬼界島を攻めるが敵の罠にやられて失敗し、やけ酒を食らう。
万屋から赤木名に移動して、山北王に援軍を依頼する。
援軍が来て、総攻撃を掛けるが敵の罠にやられて敗北する。
初めて味わう屈辱感にさいなまれて酒に逃げ、酔い潰れる。
マジニのお陰で立ち直り、山北王に怒鳴られる覚悟を決め、山北王の弟ではなく、自分らしく生きようと決める。
鬼界島攻めを中止して、近在の若者たちに武当拳を教え、マジニと楽しく暮らす。
台風が来て、4隻の船が座礁してしまい嘆く。
根謝銘大主を奄美大島に残して運天泊に帰り、今帰仁に行き山北王に報告して怒鳴られる。
今帰仁の屋敷に滞在して、戦死した兵の家族に頭を下げて回る。
運天泊に帰り、割目之子から留守中の事を聞き、戦死した配下の家族に頭を下げて回り、それなりの褒美を与える。
羽地に行き、羽地按司に頭を下げ、国頭に行き、国頭按司に頭を下げる。

・我部祖河之子
羽地のサムレー大将。
湧川大主の援軍として鬼界島に行き、鬼界島を攻めるが敗れる。
運天泊に帰り、兵を率いて羽地に帰る。

・伊差川之子
名護のサムレー大将。名護按司の従弟。
湧川大主の援軍として鬼界島に行き、鬼界島を攻めるが敗れる。
運天泊に帰り、兵を率いて名護に帰る。

・諸喜田大主
ジルー。
今帰仁のサムレー大将。
妻は志慶真の長老の孫娘マカーミ。
湧川大主と一緒に鬼界島を攻める。
山北王の兵を率いて南部に来て、本部のテーラーに山北王の作戦を告げる。
新兵器を使って島尻大里グスクの門を壊して攻め込む。
島尻大里グスクを攻め、山南王に命じられた通りに山南王の役人たちを皆殺しにする。
湧川大主と一緒に鬼界島を攻めるが敗れる。
援軍が来て、総攻撃を掛けるが敵の罠にやられて敗北する。
運天泊に帰り、兵を率いて今帰仁に帰る。

・具志堅大主
山北王のサムレー大将。
湧川大主の援軍として鬼界島に行き、鬼界島を攻めるが敗れる。
運天泊に帰り、兵を率いて今帰仁に帰る。

・謝花大主
山北王のサムレー大将。
湧川大主の援軍として鬼界島に行き、鬼界島を攻めるが敗れる。
運天泊に帰り、兵を率いて今帰仁に帰る。

・攀安知(はんあんち)
山北王。
父はa、母は名護按司の娘。童名はハーン。
祖父は初代山北王の帕尼芝(はにじ)。
妻は武寧(ぶねい)の娘、マアサ。
奄美大島攻めを失敗した腹いせに伊平屋島を攻める。
中山王に奪われた与論島を取り戻すために中山王と同盟する。
娘婿の保栄茂按司を助けるために南部に兵を送る。
若按司のミンを山南王の世子として送り込み、山南王を倒そうとたくらむ。
女たちを連れて沖の郡島に行き、クーイの若ヌルと出会い、一目惚れをして側室に迎える。
今帰仁のお祭りにクーイの若ヌルを呼び、城下に屋敷を用意して入り浸る。
湧川大主が鬼界島攻めに行った後、クーイの若ヌルに会うため沖の郡島に行くが、新しい海賊がやって来たので、慌てて運天泊に行き、海賊を歓迎する。
今帰仁に来た王女たちと会い、歓迎する。
お寺も三つ建って首里は都として完成しつつあるし、浮島には南蛮の船も来ている。そろそろ首里を奪い取る時期が来たのかもしれないと琉球の絵地図を眺めながら首里グスクを攻める作戦を練る。
新しい進貢船は下賜されたが、リュウインを明国に置いて来たテーラーを怒鳴り、高価な茶碗を投げつける。
鬼界島攻めに失敗した湧川大主を怒鳴って追い返す。

・マチ
湧川大主の側室。
名護に住んでいたが、正妻のミキが亡くなった後、娘のチルーを連れて今帰仁の屋敷に移る。
鬼界島から帰ってきた湧川大主を迎え、娘のチルーがお芝居に熱中していると言う。

・ラン
湧川大主の長女。勢理客若ヌル。
安須森参詣に行き、サスカサから武当拳を習う。

・カリン
攀安知の三女。今帰仁若ヌル。
安須森参詣に行き、サスカサから武当拳を習う。

・ハビー
湧川大主の側室。
運天泊の屋敷に住む。
中山王から山北王に贈られた側室だが、湧川大主が一目惚れして譲り受ける。
ウニタキの配下。
湧川大主も山北王も留守の時、新しい海賊が運天泊に来たが、慣れた態度で迎え入れる。
運天泊に帰ってきた湧川大主を迎え、愚痴を聞いてやる。

・割目之子
湧川大主の配下。
運天泊に帰ってきた湧川大主に留守中の出来事を教える。

・羽地按司
妻は恩納按司の姉。
名護按司の義兄。
羽地に来た王女たちを歓迎する。
羽地グスクに来て頭を下げる湧川大主に、戦だから仕方がないと言う。

・国頭按司(くんじゃんあじ)
攀安知の叔父。
国頭に来た王女たちを歓迎する。
国頭グスクに来て頭を下げ、来年、鬼界島の御所殿と話を付けると言う湧川大主に、そなたを信じようと言う。

・クルキ
湧川大主の側室。
国頭の屋敷で娘のユイと暮らす。
国頭に来た湧川大主に王女たちが来た時の様子を話し、名護の松堂が首里見物に行ってきたと言う。




尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球
posted by 酔雲 at 08:52| Comment(0) | 尚巴志伝 あらすじと解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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