2020年05月17日

尚巴志伝 あらすじと解説 第二部 122.チヌムイ

馬天浜のお祭りも終わって、三姉妹たちも、パレンバンのシーハイイェンたちも、ジャワのスヒターたちも帰って行きました。

ンマムイの兼グスクの城下にある武術道場で、マウミはヤマトゥに行ったマグルーの事を思いながら弓矢の稽古に励んでいました。
兼グスクの武術道場には八重瀬若ヌルのミカと弟のチヌムイが通っていました。
チヌムイは幼い頃、山南王のシタルーに母親を殺されて、敵のシタルーを討つために武術の修行に励んでいました。
ところが、シタルーの娘のマアサを好きになってしまい、悩んでいました。

その日、シタルーを見張っていたシカーが来て、シタルーが供を2人連れただけで長嶺グスクに向かったと知らせました。
チヌムイの母親は、ウミンチュの親方ブラゲー大主の娘でした。
ブラゲー大主はチヌムイの敵討ちを助けるために、ずっとシタルーの動きを探っていました。
用心深いシタルーは常に陰の護衛を付けていて、襲撃する隙を与えませんでした。
シタルーを守っていた陰の護衛たちはサハチの襲撃に失敗して全滅してしまいます。
今回を逃したら、また10年待たなければならなくなるかもしれないとチヌムイはマアサの事を諦めて、シタルーを倒そうと決心します。

長嶺グスクに行く途中にある饒波橋で待ち伏せしていたチヌムイとミカは、弓矢で供の2人のサムレーを倒し、チヌムイはシタルーと一騎打ちをします。
チヌムイは工夫を重ねてきた抜刀術でシタルーを倒しました。
信じられないといった顔で、シタルーはチヌムイを見つめたまま後ろへと倒れ、腹から血を流しながら息絶えました。

チヌムイはシタルーの死体を見下ろしながら、ついにやったと思いましたが、うれしさは込み上げて来ませんでした。
うれしさよりも、不安な気持ちでいっぱいになっていました。
チヌムイとミカはブラゲー大主と一緒にシタルーの死体を運んで八重瀬グスクに帰りました。




◇シタルー(汪応祖)の略歴

1362年、汪英紫の次男として、与座グスクに生まれる。童名はシタルー。
1369年、父が八重瀬按司を倒して八重瀬按司になり、八重瀬グスクに移る。
1371年、姉ウシが浦添の若按司(武寧)に嫁ぐ。
1372年、佐敷でサハチ(尚巴志)が生まれる。
    浦添按司の察度、明国に進貢を始め、琉球中山王となる。
1377年、父が新グスクを築き、新グスクの守将になる。
1378年、中山王察度の娘トゥイを妻に迎える。
1379年、弟が具志頭按司の婿となり、屋冨祖に屋敷を建てヤフスの若按司と呼ばれる。
1380年、父が島添大里グスクを攻め取り、島添大里按司になる。
    兄のタブチが八重瀬按司となり、シタルーは父と共に島添大里グスクに移る。
    従兄の島尻大里按司(承察度)が明国に進貢して、琉球山南王になる。
1383年、妹のウミカナが大グスク按司の側室になる。
1385年、大グスクを攻め取り、大グスク按司になる。
1387年、父が山南王の使者として明国に渡り、山南王叔汪英紫として進貢する。
1389年、豊見グスクを築き、豊見グスク按司となり、浮島の久米村に接近する。
    大グスクには弟のヤフスが入る。
1391年、今帰仁合戦。
    父が山南王の船を借りて、山南王叔として明国に進貢する。
1392年、佐敷按司が突然、隠居して、若按司のサハチが佐敷按司になる。
    察度、首里に高楼を築く。
    従弟のサングルミーと一緒に山南王の官生として明国に留学する。
1393年、父が山南王の船を借りて、山南王叔として明に進貢する。
1394年、父が山南王を倒して、山南王となる。
    山南王は朝鮮に亡命する。
    島添大里グスクには弟のヤフスが入って島添大里按司になる。
    父が山南王叔として明国に進貢する。
1395年、サングルミーと共に明国から帰国する。
    中山王察度、死す。武寧が跡を継ぐ。
1396年、父が山南王叔として明国に進貢する。
    サングルミー、再び、明国に渡り国子監に入る。
1401年、父、死す。兄のタブチと家督争いが始まる。
1402年、兄に勝ち、山南王になる。汪応祖と名乗る。
    タブチの側室(チヌムイの母)を殺す。
    豊見グスクには長男タルムイが入る。
    弟ヤフスが守っていた島添大里グスクを佐敷按司のサハチに奪われる。
    島添大里ヌルだった妹ウミカナが島尻大里に来て、島尻大里ヌルになる。
    島添大里按司になったサハチと同盟を結ぶ。
    タルムイの妻にサハチの妹、マチルーを迎える。
    武寧の次男ンマムイが阿波根にグスクを築いて、兼グスク按司を名乗る。
    座波若ヌルを側室に迎える。
1403年、三女、ウミトゥクがサハチの弟クルーに嫁ぐ。
    義兄の中山王武寧と相談しながら、首里に宮殿を造り始める。
    明国から返礼の使者が来る。来年、冊封使が来る事を伝える。
1404年、明国から初めて冊封使が来る。
    毎年恒例のハーリーに、冊封使たちを招待する。
    武寧が首里の宮殿で冊封を受け、正式に中山王となる。
    首里の宮殿で冊封を受け、正式に山南王となる。
1405年、大きな台風が来て、首里グスクの石垣が崩壊し、手抜き工事が発覚する。
1406年、首里グスクがようやく完成する。
    中山王の武寧と兄のタブチが、島尻大里グスクを包囲する。
    首里グスクを奪うつもりだったが、島添大里按司のサハチに先に奪われる。
    島添大里按司のサハチ、武寧を倒して,父を中山王とする。
    サハチと改めて同盟を結ぶ。
1407年、サハチがタブチと一緒に明国に行く。
1408年、ハーリーに来たサハチに、中山王の龍舟を出してくれと頼む。
    長嶺グスクを築き、娘婿を長嶺按司にする。
    兼グスク按司のンマムイがサハチと一緒にヤマトゥに行く。
1409年、タブチが具志頭を攻め、ヤフスの息子を按司にする。
    具志頭に嫁いだ娘のマアサが戻って来る。
1410年、山北王と同盟を結ぶためにンマムイを使者として今帰仁に送る。
    ンマムイの家族を暗殺しようとして失敗する。
    山北王との同盟が決まる。
    米須按司と玻名グスク按司が寝返り、タブチと一緒に中山王の船で明国に行く。
    三男のグルムイに山北王の娘マサキが嫁いでくる。
    婚礼の夜、阿波根グスクを襲撃するがンマムイに逃げられる。
    山北王が伊平屋島を攻める。
1411年、具志頭按司の娘チミーがサハチの三男イハチに嫁ぐ。
    山北王が伊是名島を攻めるのを中止して、中山王と同盟を結ぶ。
    座波ヌルの進言によりサハチと会い、山南王と中山王の同盟を決める。
    三王同盟。
    サハチにハルを側室として贈り、石屋のクムンも送る。
    サハチがタブチを中山王の正使に任命する。
1412年、首里で中山王と山北王の盛大な婚礼が行われる。
    姉のウシが八重瀬グスクで亡くなる。
    ハーリーに3人の王の龍舟が揃う。
    豊見グスクヌルが馬天ヌルと一緒に南部のウタキ巡りの旅をする。
    父親の悪夢にうなされ、島添大里グスクを奪い返そうとするが失敗する。
1413年10月17日、長嶺グスクに行く途中、饒波橋でチヌムイに討たれる。









登場人物

・ヂャンウェイ(張唯)
ファイチの妻。
父は龍虎山の天師の一族。
三姉妹の船に乗って里帰りをする。
長男ファイテの嫁にウニタキの娘ミヨンをもらう。
長女ファイリンを佐敷大親の長男シングルーに嫁がせる。
佐敷ヌルに頼まれて、「瓜太郎」の台本を明国の言葉に直す。

・ミヨン
ウニタキの長女。
三弦が得意。
突然、ウニチルが妹だと言われて驚く。
ファイチの息子ファイテの妻になる。
佐敷ヌルに頼まれて、義母のヂャンウェイと一緒に「瓜太郎」の台本を明国の言葉に直す。

・佐敷ヌル
サハチの妹。シンゴと結ばれて、マユという娘がいる。
娘たちの剣術の師範で、女子サムレーたちの師範でもある。
強い霊力を持っているが、本人はまだ気づいていない。
マチルギ、馬天ヌルと一緒にヤマトゥに行く。
対馬でシンゴの妻に謝り、許してもらう。
ユリの吹く笛に魅了されて、笛を習い始める。
佐敷のお祭りで横笛を披露して喝采を浴びる。
久高島の神様から「英祖の宝刀」を探せと言われる。
平田のお祭りで、お芝居「浦島之子」を上演する。
首里のお祭りで、お芝居「察度」を上演する。
島添大里のお祭りで、お芝居「サミガー大主」を上演する。
佐敷のお祭りで、お芝居「瓜太郎」「舜天」を上演する。
ユリと一緒にヂャンサンフォンの指導を受ける。
平田のお祭りで、お芝居「かぐや姫」を上演する。
安須森ヌルを継ぐために、ササたちと一緒に安須森に行く。
安須森の封印を解いて、安須森の神様たちに喜ばれる。
小松の中将様を調べるためにヤマトゥに行く。
厳島神社の弥山でアキシノの声を聞く。
京都大原寂光院で笛を吹き、平維盛の華麗な舞を見る。
熊野の新宮神倉山で鳥居禅尼から平維盛の事を聞く。
奄美大島で平家の事を調べてから琉球に帰る。
ササと一緒に浦添で朝盛法師と会い、仲順で舜天と会う。
今帰仁のクボーヌムイで平維盛とアキシノに再会する。
手登根のお祭りで、お芝居「小松の中将様」を上演する。
各地のヌルたちを連れて安須森参詣を行なう。
「瓜太郎」の台本を明国の言葉に直すようにヂャンウェイに頼む。

・サハチ(尚巴志)
島添大里按司。
父は中山王の思紹。
妻は伊波按司の妹、マチルギ。
父を中山王にして、明国に旅立つ。
妻のマチルギをヤマトゥ旅に行かせる。
笛が得意。マチルギからもらった一節切の稽古に励んでいる。
佐敷のお祭りで一節切を初披露して喝采を浴びる。
梅雨が明け、ウニタキ、ファイチと一緒にヤマトゥと朝鮮の旅に出る。
高橋殿の屋敷で一節切を吹くと美女が現れて華麗に舞う。
高橋殿に連れられて登った七重の塔で将軍様と会う。
高橋殿と一緒に鞍馬山に行く。
増阿弥の一節切を聴いて感激する。
対馬でイトと再会し、娘のユキと、孫娘のミナミと会う。
朝鮮の都、漢城府に行く。
開京に行き、早田左衛門太郎と再会する。
漢城府で李芸と会う。
思紹が明国に行き、留守を守る。
ンマムイを東方に寝返らせる。
メイユーを側室に迎える。
タブチを進貢船の副使に任命する。
ウニタキと一緒に伊平屋島に行く。
琉球に来た慈恩禅師と二階堂右馬助を伊平屋島で迎える。
ササたちを連れて与論島に行く。
シタルーからハルを側室として贈られる。
琉球に来たサイムンタルーとイトたちを歓迎する。
四男のチューマチの妻に山北王の娘マナビーを迎える。
サイムンタルーとイトたちを連れて慶良間の島に行く。
首里に来た奥間ヌルに驚く。
三姉妹と一緒に来たソンウェイと再会する。
島添大里グスクの十五夜の宴で一節切と横笛を吹く。
ユーナのお陰でシタルーが送った20人の刺客を倒す。
琉球に来たマツとトラを歓迎する。
首里グスクのお祭りで一節切を吹いて、スサノオの声を聞く。
慶良間の島に行って、スサノオとユンヌ姫の声を聞く。
マグルーとマウミが恋仲だと知って驚き、喜ぶ。
メイユーが女の子を産んだと聞いて喜ぶ。

・タブチ
八重瀬按司。
汪英紫の長男。山南王(シタルー)の兄。
中山王の武寧と組んでシタルーを倒し、山南王になるつもりだったが、尚巴志に邪魔される。
尚巴志を恨むが、父も弟も行った事のある明国に行ってみようと考え、中山王に従う。
具志頭グスクを攻めて、按司を入れ替える。
従者として、四度、唐旅に出る。
サハチに新グスクを貸す約束をする。
サハチに頼まれ、中山王の副使を務める。
米須按司と玻名グスク按司を明国に連れて行く。
明国から獅子舞を持ってくる。
中山王の正使として明国に行く。
明国の文人たちと付き合うようになり、漢詩を始めたり、ヂャンサンフォンから笛を習ったりしている。

・マウミ
ンマムイの長女。
名護の山中で襲撃された後、今帰仁でマナビーから馬術と弓矢を習う。
ヂャンサンフォンの弟子になる。
具志頭グスクに通い、チミーから弓矢を習う。
自分よりも弱い男は相手にしないと言って、マグルーに勝つが、二年後、腕を上げたマグルーに負ける。
ヤマトゥ旅に出たマグルーから、待っていてくれと言われて、うなづく。
マグルーの事を心配しながら武芸の修行に励む。

・八重瀬若ヌル
タブチの娘ミカ。チヌムイの姉。
武寧の四男シナムイに嫁ぐが、浦添グスクが焼け落ち、一月で戻って来る。
ヌルになるための修行を始める。
佐敷ヌルに憧れて、具志頭グスクのチミーの母親ナカーから弓矢を習う。
チヌムイと一緒にンマムイの阿波根グスクに通って武芸を習う。
ヂャンサンフォンの弟子になる。
ンマムイの兼グスクが完成して、兼グスクの武術道場に通う。
弓矢でチヌムイの敵討ちを助ける。

・チヌムイ
タブチの息子。
8歳の時、母親が叔父のシタルーに殺される。
浦添に嫁いだ姉のミカが戻って来て、一緒に武芸の修行を始める。
父が具志頭を攻めた時、救い出したマアサと出会う。
マアサがンマムイの阿波根グスクに通っていると聞いて、ミカと一緒に阿波根グスクに通って武芸の修行を積む。
ンマムイの配下の武芸者から抜刀術を習う。
ヂャンサンフォンの弟子になる。
山の中で抜刀術を工夫しながら修行に励む。
ンマムイの兼グスクが完成して、兼グスクの武術道場に通う。
ミカと一緒に敵のシタルーを倒す。

・マアサ
山南王シタルーの娘。
具志頭若按司に嫁ぐが、若按司が亡くなり実家に帰る。
女子サムレーになるためンマムイの阿波根グスクに通って剣術を習う。
娘たちを鍛えて女子サムレーにする。
女子サムレーを連れて、月に一度、兼グスクの武術道場に通う。

・シカー
ブラゲー大主に命じられて山南王の動きを探っているウミンチュ。

・シタルー(汪応祖)
山南王。島尻大里按司。
妻は察度の娘、トゥイ。
首里グスクを奪い取るために山北王と同盟する。
山北王と同盟を結ぶためにンマムイ家族を暗殺しようとするが失敗に終わる。
山北王が中山王と同盟を結んだと聞き、中山王と同盟する。
父親の夢にうなされて、島添大里グスクを奪い取るために刺客を送るが失敗する。
アミーとユーナの姉妹を死なせてしまった事を後悔する。
長嶺グスクに行く途中、饒波橋でチヌムイと決闘して敗れる。

・ブラゲー大主
貝殻を扱うウミンチュの親方。
山南王に殺されたチヌムイの母親の父親。
チヌムイの敵討ちを助けている。




尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球
posted by 酔雲 at 09:35| Comment(0) | 尚巴志伝 あらすじと解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。