2017年06月19日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 76.首里のマジムン

1406年2月9日、島添大里グスクで、馬天ヌル、佐敷ヌル、フカマヌルによって、出陣の儀式が行なわれました。
儀式が終わるとサハチ(尚巴志)の弟、マサンルーが100人の兵を率いて、糸数グスクに向かいました。

サハチと父、大将に任命された重臣たちは運玉森に移動しました。
運玉森には慶良間の島から来た1000人の兵が待機していました。
サハチと父は「マジムン屋敷」で鎧を身に付けて、1000人の兵の前に立ちました。
皆、「三つ巴」の紋が描かれた鎧を着ていて、引き締まった顔付きで並んでいます。
父が挨拶をして、サハチも挨拶をしました。
兵たちの歓声が轟いている中、四人の女武者が現れました。
馬天ヌルと佐敷ヌルとフカマヌルとマチルギが鎧を身に付けてやって来たのです。
サハチが驚いて、どうして来たのか聞くと、馬天ヌルは、首里グスクにマジムン(悪霊)がいるので退治しなければならないと言います。
マジムンを退治するには四人のヌルが必要なので、神人(かみんちゅ)であるマチルギも連れて来たと言います。
父は、首里にマジムンがいるなら退治しなければならんと言い、サハチも、戦には参加しないという条件を付けて、四人の同行を許しました。

ウニタキがやって来て、中山王の若按司が中部の兵700人を率いて出陣したと知らせます。
中山王の武寧は浦添で若按司を見送ると首里グスクに戻ったようです。
しばらくして、ヤキチが現れ、東方の按司たちが豊見グスク攻めに向かったと知らせます。
ウニタキが抜け穴を通って、首里グスクに潜入すると言って出掛けました。

それから二時間ほどして、中山王の兵がタブチの兵と合流して、島尻大里グスクを包囲したとヤキチの配下の者が知らせました。
サハチ、クマヌ、兼久大親の三人がそれぞれ100人の兵を率いて首里に向かいました。

サハチたちが首里グスクに着くと土砂降りでした。
やがて、正門が開いて、ウニタキが合図をしました。
サハチは兵を突撃させました。
兼久大親の兵は敵兵を倒して、グスクの警固に付き、サハチの兵は石垣の内側に沿って進んで敵を倒し、クマヌの兵は武寧のいる御内原を攻めます。

サハチはヌルたちと一緒に最後にグスクに入りました。
グスク内には見事な宮殿が建っていました。
サハチとマチルギが宮殿に見とれていると、馬天ヌルがマチルギを呼びました。
マチルギは馬天ヌルたちと一緒に、ウタキのある「キーヌウチ(後の京の内)」に入って行きました。

武寧はすでに殺されていました。
シタルーの命令で、武寧の側室になったアミーという女が殺したのでした。
アミーはサハチたちが攻めて来たのを、シタルーが攻めて来たものと勘違いして、武寧を殺したのでした。
クマヌがアミーを連れて、サハチの所に来て、成り行きを説明しました。
武寧を討ったのだから敵ではない。シタルーに返してやろうとサハチは言いました。

戦が終わると、ウニタキは次の仕事があると言って、浦添に向かいました。
サハチが兵たちの前で、首里グスクを奪い取ったぞと言うと、皆は勝ち鬨を上げて喜びました。

突然、暗くなったかと思うと雨が勢いよく降って来ました。
風も強くなり、稲光もして、雷も鳴り出しました。
空から大きな雹が降って来て、庭一面を埋め尽くしました。
やがて、黒い雲が飛んでいって、雨がやんで日が差して来ました。
四人のヌルたちがやって来て、空を指さしました。
サハチが指さす方を見ると、大きな虹が出ていました。
宮殿を囲んで、虹が輝いていました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
島添大里按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。
首里グスクを攻め落とす。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。
馬天ヌルと一緒に、首里のマジムンを退治する。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
首里のマジムンを退治する。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。
佐敷から島添大里に移る。
シンゴと結ばれ、娘のマユが生まれる。
馬天ヌルと一緒に、首里のマジムンを退治する。

・フカマヌル(外間ノロ)
久高島のフカマヌルの娘でフカマヌルを継ぐ。
父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。
ウニタキと結ばれ、娘のウニチルが生まれる。
馬天ヌルと一緒に、首里のマジムンを退治する。

・ササ
馬天若ヌル。
馬天ヌルとヒューガの娘。

・ミチ
尚巴志の長女。
ヌルになるために修行中。

・マサンルー
尚巴志の弟。
佐敷グスクを任され、佐敷大親を名乗る。
サハチの代理として、豊見グスク攻めに参加する。

・屋比久大親
平田大親の重臣になる。
副将としてマサンルーに従う。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。
首里攻めの総大将として指揮を執る。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
尚巴志の家臣でサムレー大将。
首里攻めの大将を務める。

・マウー
伊是名のナビーの五男。サグルーの甥。慶良間の島の師範代。
クマヌ隊の副将を務める。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になり、慶良間の島の修行者たちの食糧を調達する。
首里攻めのために慶良間の島から1000人の兵を運ぶ。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。
父親の死後、伊波大親を名乗り、尚巴志の重臣になる。

・兼久大親
島添大里按司の重臣。
首里攻めの大将を務める。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。
島添大里按司の重臣。島添大里の武術師範になる。

・美里之子(んざとぅぬしぃ)
尚巴志の叔父。武術師範。
島添大里大親の重臣。

・當山之子
島添大里按司の重臣。美里之子の弟。

・ヤグルー
尚巴志の弟。
平田グスクを任され、平田大親を名乗る。

・マガーチ
尚巴志の従弟。苗代大親の長男。

・与那嶺大親
島添大里按司の重臣。
首里攻めで、小荷駄奉行を務める。

・マタルー
尚巴志の弟。
島添大里グスクを守る。

・サグルー
尚巴志の長男。
島添大里グスクを守る。

・チルー
ウニタキの妻。美里之子の妹。
マチルギに代わり、女子サムレーを指揮して島添大里グスクを守る。

・八代大親
ヤシルー。ヤマトゥから来た弓矢の名人。
島添大里按司の重臣。
島添大里グスクを守る。

・クルー
尚巴志の弟。
佐敷グスクを守る。

・サンルー
美里之子の長男。
佐敷グスクを守る。

・クグルー
泰期の三男。母は後妻のナミー。
妻は苗代大親の娘。
平田グスクを守る。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。先代の中山王、察度の孫娘(武寧の娘)、ウニョンを妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。
尚巴志の叔母、チルーを妻に迎える。
久高島のフカマヌルと結ばれ、娘が生まれる。
望月党を壊滅させ、妻と娘の敵を討つ。
首里グスクの抜け穴を利用して、グスク内に潜入して、サハチの兵をグスク内に入れる。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。
奥間大親。
配下の者を各地に配置して、敵の動きを探る。

・中山王、武寧
フニムイ。察度の長男。浦添按司。
妻は汪英紫の娘ウシで、タブチとシタルーの義兄。
山北王、攀安知の義父。
山南王のシタルーと一緒に首里にグスクを築く。
首里グスク完成後、タブチと組んで、シタルーを倒そうとたくらむ。

・アミー
武寧の側室。
シタルーが送った刺客。



尚巴志伝
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/451014607
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック