2007年03月23日

草津温泉の遊女、里々

6歳の時、川中島の合戦で父親が戦死して、11歳の時には母親も病死、叔父夫婦に引き取られますが、叔父も負傷してしまい、里々は草津の遊女屋に売られます。
草津は、冬は雪が多く、一年を通して住める場所ではありませんでした。4月の8日の薬師様の縁日に山開きをして、営業が始まり、10月の8日には山仕舞いをして、冬住みと呼ばれる里に移ります。冬住みの里はあちこちにありましたが、里々のいる遊女屋は長野原の城下でした。雪のない半年は草津の湯で、湯治客を相手にして、冬の半年間は長野原城下で、湯本家の侍たちを相手にする仕事でした。
里々は夢も希望もない日々を過ごしていましたが、草津に来て三度目に迎えた5月のある日、事件が起こります。里々のお客だった武田家の武士が酔っ払って騒ぎを起こします。そこに現れて、酔っ払いを静めたのが、草津の領主、湯本家の若様でした。それが縁で、里々は若様に惹かれて行きます。若様の方も自分を気に入ってくれて、度々、通って来るようになります。里々にとって、生まれて始めての、夢のような幸せな日々が続きました。
冬住みが始まって、長野原の城下に移ると、里々と若様の噂は皆に知れ渡って、若様に遠慮して、里々のもとに通う侍はいなくなってしまいます。里々はただ、若様だけを待つ身となります。仲間たちからも羨ましがられますが、その幸せも長くは続きません。
年が明けて正月、若様の婚約が発表されます。若様のお嫁さんは真田家の娘さんでした。いつかはその日が来るのを覚悟していた里々でしたが、改めて、自分が遊女である事に気づいて、身を引く決心をします。
身を引くと言っても売られたこの身を自由にする事はできません。それでも、若様のために、何としてでも、この地を離れなければならないと思い、若様の武術の師範だった山伏、東光坊に相談します。東光坊は里々の言う事を理解してくれ、「小野屋」という商人の女将さんを紹介してくれました。「小野屋」の女将さんは里々の話を聞いて、お屋形様にはお世話になっているから、一肌脱ぎましょうと里々を身請けして、小田原へ連れて行きました。
小田原に行って、また、遊女屋に売られるのだろうと覚悟していましたが、女将さんはそんな素振りは見せず、あなたは身が軽そうだから、武術の修行をしてみないかと言い出します。里々は驚きますが、女将さんには借りがあるので、言われるままに、「風摩砦」という北条家の武術道場に入ります。
女将さんが見抜いた通り、自分でも信じられないくらいに上達するのが早く、一年間の修行の日々は毎日が楽しくて、あっという間に過ぎました。
共に修行を積んだお澪という娘さんは「小野屋」の跡を継ぐ事が決まっていて、一年間の厳しい修行に耐えて生まれ変わった里々は、お澪を助けて、「小野屋」のために生きて行こうと決心します。
草津を去ってから三年目の正月、北条家の娘が、武田家のお屋形様(勝頼)に嫁ぎ、甲府で盛大な婚礼が行なわれました。里々は「小野屋」の女将さんと一緒に甲府に行って、婚礼を手伝います。婚礼も無事に済んだ後、甲府の「小野屋」で、里々は草津の若様と偶然、出会ってしまいます。若様も婚礼に呼ばれて、草津から来ていたのです。運命の再会でした。

戦国草津温泉記・湯本三郎右衛門


ラベル:戦国の女性
posted by 酔雲 at 12:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 戦国時代>人物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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