春雨は京都の四条河原の芸人の娘として生まれます。幼い頃から芸を仕込まれ、7歳の時に初舞台を踏みます。生まれもっての美貌もあって、16歳の頃には京都で一、二を争う踊り子だと持てはやされました。
19歳の時に応仁の乱が始まり、一座は京都を離れて旅回りに出ます。都から来た踊り子だと各地の大名たちに歓迎されて、いい気分でいましたが、京都の戦はいつになっても終わりません。旅から旅への毎日にも疲れ、春雨もいつしか二十の半ばを過ぎてしまいます。踊りには自信を持っていても、若さにはかないません。いつしか、主役の座を若い娘に奪われてしまいました。
駿府まで来た時、とうとう、一座のお頭と大喧嘩をして、飛び出してしまいます。必ず、誰かが迎えに来てくれるものと信じていたのに、誰も迎えには来ません。これからどうしようかと考えながらトボトボと歩いて、日が暮れてから小高い丘の上に立つ早雲庵にたどり着くのです。
早雲との出会いによって、春雨の人生は変わっていきます。僧侶である早雲に惹かれて、そのまま、早雲庵に腰を落ち着けてしまいます。ある日、早雲たちに踊りを披露して、喝采を浴び、とんとん拍子で、今川家のお嬢様の踊りの師範になってしまいます。
そして、早雲と一緒に今川家の家督争いに巻き込まれて、竜王丸(今川氏親)のために活躍します。


ラベル:戦国の女性
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