江戸での一番人気はやはり、市川団十郎でしょう。文化4年(1807)の資料によると、当時、活躍していたのは蝦蔵を名乗っていた五代目です。六代目が22歳の若さで、8年前に亡くなってしまい、隠居する予定を返上して舞台に立っていました。すでに67歳です。七代目はまだ17歳でしたが、五代目の跡を継いで、後に名優になります。
団十郎に継いで人気があったのが、鼻高幸四郎と呼ばれた五代目松本幸四郎です。渋い演技で人気があったようです。
三代目坂東三津五郎も演技がうまく、坂三津(ばんみつ)と愛称されて人気者でした。
三代目尾上菊五郎はまだ24歳で、栄三郎を名乗っていました。若い娘たちに人気があってキャーキャー騒がれていたようです。菊五郎を襲名するのは7年後の事です。
関西では三代目中村歌右衛門と四代目沢村宗十郎が有名で、共に江戸に出て来て人気者になります。
女形(おんながた)では五代目岩井半四郎と四代目瀬川菊之丞が美貌を競い合っていました。
団十郎の三枡紋とかまわぬ模様、菊五郎の格子模様とよきこときく模様、三津五郎の縞模様、歌右衛門の芝翫(しかん)縞、半四郎の鹿の子模様と岩井茶、菊之丞の路考茶など、歌舞伎役者から流行したものも数多くあります。
江戸歌舞伎文化論
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