2009年06月02日

艦砲にやられた負傷兵

沖縄二高女看護隊・チーコの青春 第2部―8.第一坑道」より艦砲にやられた負傷兵


 八時頃、車の音が聞こえたかと思うと、高良婦長が飛び込んで来た。

「新しい患者さんよ。水汲みをした人たちは手術室の方に集まって」

 千恵子たち五人が外に出ると明かりを消したトラックから担架に乗せられた患者さんが次々と手術室の方に運ばれていた。

 新しい患者さんは五人だった。高良婦長が衛生兵から患者の様子を聞き、一番重傷の患者が手術台の上に運ばれた。顔は泥まみれで、くるんであった毛布をはがすと上半身と右腕に包帯がグルグル巻かれ、血で真っ赤に染まっていた。千恵子は思わず目を背けた。

「あんたたち何をぼやっとしてるの」と婦長に怒られ、後は看護婦に命じられるままに動いた。

 内科からも助っ人が五人来た。澄江や和美もいたが無駄話をする状況ではなく、訳がわからないまま、お湯を沸かしたり、手術器具を消毒したり、ガーゼや薬品の用意をしたり、忙しく動き回った。

 石黒軍医が落ち着いた顔してやって来ると手術が始まった。千恵子たちは昨夜と同じようにローソクを持って手術台を照らした。手術室勤務の喜納(きな)看護婦が体に巻いた包帯をはずすためにハサミを入れた。患者さんが痛そうに顔を歪めた。

「アチッ」と千恵子は思わず叫んだ。ローソクのロウが手の指に垂れてきて、とても熱かった。喜納看護婦に睨(にら)まれて、千恵子は謝り、熱いのを我慢する事にした。

 血だらけの包帯をはずすと傷だらけの体が現れた。胸の所の大きな傷は皮がめくれて中の肉が見え、血が溢れ出ていた。ムッとした血の臭いで気分が悪くなり、気が遠くなりそうだった。

「チーコ」とトヨ子に言われ、千恵子はハッと我に帰った。

 石黒軍医は脱脂綿で血を拭き取りながら傷の具合を調べていた。喜納看護婦が右腕の包帯もはずした。かなりの脱脂綿が傷口に詰めてあり、血だらけのそれを取ると、腕の肉は半ばえぐり取られていた。その傷口を目(ま)の当たりにした留美がへなへなと倒れた。

「こら、気をつけろ」と軍医が怒鳴り、留美に代わって朋美がローソクを持った。

 上原看護婦が麻酔の注射をして、軍医がメスを持った。伊良波看護婦と大城看護婦が患者の体をしっかりと押さえた。傷口を広げると鉄の破片が顔を出した。患者が悲鳴を上げるのも構わず、軍医は破片を引っ張り出した。鉄の破片は鋭くとがっていて、三センチ位の大きさだった。傷口から次々と破片が出て来たが千恵子は見ていなかった。とても正視する事はできなかった。

 二人目の患者も三人目の患者も体から鉄の破片がいくつも出て来た。

 四人目の患者は右の足首から先がグチャグチャになっていて、切断するしかなかった。腰椎(ようつい)に麻酔注射を打ったら数分で患者の意識はなくなった。足首を消毒してメスを入れると血と共に白い脂肪が飛び出した。肉を削り取って糸鋸(のこ)のような細い歯の付いた鋸で骨を切る。骨を切る時の音は何とも言えず、気味悪かった。切り落とした足は大城看護婦が無造作につかむと、汚れた包帯が捨ててある汚物入れの中に投げ捨てた。切り口の肉はメスでえぐり取られ、血管やら神経やらを引っ張って結び、皮は縫合された。包帯を巻かれた足は棒のようになってしまい、もう靴を履く事もできず、可哀想だった。

 五人目の患者は左肩に小さな破片が四つ入っていただけの軽傷だった。

 手術が終わったのは十二時を過ぎていた。ローソク持ちを交替した後、夜中だというのに水汲みをやらされ、もうくたくたになっていた。手術の済んだ患者は外科病棟に移された。喜代とトミが手術室の後片付けをするために残り、内科からの助っ人も帰り、千恵子たちは外科病棟に戻った。


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posted by 酔雲 at 12:19| Comment(1) | TrackBack(0) | 小説の中の衝撃的な場面 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
※ 動画サイト → 【維新政党・新風】弁士、韓国人に襲われる

一人ひとりの怒りの拳が大きな力となります、皆さん御賛同下さい。

なぜ駅前の一等地に焼肉店やパチンコ屋が陣取っているのか?
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販売され続けるのか?

偽装した在日右翼の車が街中を疾り
日教組が反日教育を促し、なぜ朝日新聞、毎日新聞
TBS、朝日、NHKをはじめとするTV局が日本国を貶める
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米国で犠牲になった人々(バージニア工科大学)の冥福を祈りつつ……
一日もはやく醜悪な朝鮮人の絶滅祈りつつ・・・・

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Posted by 在特会 at 2009年06月04日 06:26
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