2025年01月11日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 18.富山浦

サハチ(尚巴志)とイトが仲よくなった事を快く思わない男たちがいました。
その男はサハチに決闘を申し込みますがサハチに負け、諦めるかと思われましたが諦めずに、さらに決闘を申し込んできます。
サハチは決闘の事は誰にも言いませんでしたが、サイムンタルーに知られ、サイムンタルーはサハチとヒューガを高麗(朝鮮半島)に連れて行きます。
朝鮮の富山浦(プサンポ)にはサイムンタルーの叔父の早田五郎左衛門がいました。
五郎左衛門は高麗人の娘を妻に迎え、「津島屋」という店を出している商人でした。
サハチは五郎左衛門から高麗の話を聞きます。
サハチの祖父、サミガー大主の作業場には高麗の人たちも働いていましたが、サハチは高麗に興味を持った事はありませんでした。
突然、高麗に連れて来られたサハチは高麗と対馬の関係などを学びます。
サイムンタルーは対馬に帰り、言葉も通じない高麗に置いていかれ、イトにも会えずサハチはがっかりしますが、サイムンタルーがまたやって来て、対馬に帰る事になりました。
土寄浦ではなく、浅海湾の奥にある和田浦という所に連れて行かれました。
和田浦は早田氏の第二の拠点で、サイムンタルーの叔父の兵衛左衛門が守っていましたが、兵衛左衛門はサンルーザと一緒に明国に行っていて留守でした。
サハチとヒューガはサイムンタルーに案内されて、これから暮らす事になる空き家に行きますが、そこには何と、イトとサワが待っていました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・イト
イスケの娘。娘たちの姉御的な存在。
サハチの事を父から聞いて、いつか会えるとサハチとの出会いを待っていた。

・サワ
ヒューガが琉球に行く前、対馬に滞在して仲よくなった後家。
夫は高麗で戦死、9歳の息子と7歳の娘がいる。
サハチとヒューガの食事の面倒を見てくれる。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・早田五郎左衛門
サンルーザの弟。
高麗の富山浦(釜山)に住む「津島屋」の主人。妻は高麗人。

・早田次郎左衛門
サイムンタルーの兄。
高麗の富山浦に住む。妻は高麗の商人の娘。
サンルーザと一緒に明国に行っている。

・早田兵衛左衛門
サンルーザの弟。和田浦に住む。
サンルーザと一緒に明国に行っている。


◯高麗の略年表

918年、王建、高麗を建国する。
935年、高麗、新羅を征服する。
960年、中国で宋が建国。
1115年、女真、按出虎水の河畔で、金を建国。
1125年、金、遼(契丹)を滅ぼす。
1127年、金は宋都開封を陥落させて北宋王朝陥落。
1138年、金、南宋の臨安(杭州)紹興、明州(寧波)を陥落させる。
1157年、金、会寧から燕京へ遷都。
1206年、テムジンがモンゴルを統一。
1218年、高麗、モンゴル帝国と同盟する。
1227年、西夏、蒙古に滅ぼされる。
1231年、蒙古(後の元)の侵入が始まる。
1232年、崔氏は国王を連れて都を開城から江華島に移し抵抗する。
1233年、蒙古 金の首都開封を攻略。
1241年、高宗、モンゴルとの講和を請い、貢賦を納めることに同意する。
1258年、武臣の金俊ら 親蒙古を掲げ、崔氏政権を倒し、蒙古へ降伏する。
1271年、蒙古、国号を「大元」と改める。
1274年、高麗軍、元軍と共に日本を攻める。元寇。
1279年、元、南宋を滅ぼす。
1281年、第二次元寇。
1356年、元と断交し、蒙古侵入以前の高麗の領域を回復し独立する。
1358年、倭寇、高麗の角山戊を襲い船300余艘を焼く。
      倭寇のため財政が困窮し、百官の俸禄が支給できなくなる。
1360年、倭寇、高麗の江華島を襲撃する。
1361年、李成桂・鄭世雲が黄州で、紅巾軍に大勝する。
1364年、倭寇、200余艭が高麗を襲撃する。
1368年、明が中国に興り、元を北に追いやる。
1370年、高麗は明へ朝貢して冊封を受けたが、国内では親明派と親元派の抗争が起こる。
1371年、倭寇350艘、礼成江を襲い、兵船40艘を焼く。
1374年、恭愍王、親元派に殺される。
      倭寇350艭が高麗を襲撃。
1375年、済州島で反乱が起こる。倭寇200余艘が済州島を攻める。
1377年、倭寇200余艭が高麗を襲撃する。
1378年、倭寇、京城を攻めるが、李成桂、崔瑩、これを破る。
1379年、倭寇騎馬700、歩兵2000余で高麗の普州を襲撃する。
1380年、倭寇500艘、高麗の鎮浦口に入り、州都に散入する。
1381年、倭寇、高麗の寧海府を焼く。
1382年、賤民が倭寇の名をかたり諸所を荒らす。
1383年、倭寇120艭が高麗を襲撃するが撃退する。
1385年、倭寇150艭が高麗を襲撃するが、李成桂に撃退される。
1388年、明は高麗に対し、元代の旧領を返還するように要求する。
     威化島回軍。李成桂が実権を握る。
1389年、高麗軍、対馬を攻める。
1392年 高麗が滅び、朝鮮となる。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球
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