2017年04月24日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 68.冊封使

1404年の4月、明国から初めて冊封使が来ました。
中山王の武寧と山南王のシタルーは、冊封使を大歓迎して迎えましたが、サハチ(尚巴志)には関係のない事でした。

その頃、サハチはシンゴの船に乗ってヤマトゥに行く弟のクルーと義兄のサムを見送りました。
そのあと、八重瀬按司のタブチの娘が糸数按司の長男に嫁いだ婚礼に出席します。
タブチの長男は先代の糸数按司の娘を嫁に迎えていましたが、糸数按司が代わったので、新たに同盟を結んだのでした。

今年のハーリーは冊封使たちも招待されて盛大に行なわれ、首里に新しくできた宮殿では、中山王と山南王の冊封の儀式が行なわれました。
シタルーの父親の汪英紫は正式に山南王になっていなかったので、シタルーは11年前に亡くなった承察度の跡を継ぐ形で山南王になりました。

サハチ夫婦は毎年恒例の旅で、ヤグルー夫婦とマタルー夫婦を連れて久高島に行きました。

6月には知念按司の娘がタブチの三男に嫁いで行きました。
これで、東方の按司たちは全員、タブチと婚礼で結ばれました。

冊封の儀式が終わると、首里グスクの工事が再開されました。
サハチはウニタキと一緒に、首里グスクを見に行きました。
高い石垣に囲まれ、厳重に警備された首里グスクの門を見ていると、驚いた事にファイチ(懐機)が中から出て来ました。
サハチとウニタキはファイチのあとを追って行き、人影のない所まで行って声を掛けます。
ファイチはシタルーに呼ばれて、風水の事を聞かれたそうです。
ファイチは首里グスクは最高のグスクだから、完成したら奪い取ったらいいと、とんでもない事を言いました。
サハチが、首里グスクを奪い取って、浦添グスクを攻めるのだなと聞くと、ファイチは、浦添グスクは必要ないので焼き払ってしまえばいいと言って、浮島に帰って行きました。
サハチはファイチの言った事に驚きますが、ウニタキは、ファイチの考えもいいかもしれないと言いました。

島添大里グスクに帰るとヤキチが待っていて、奥間ヌルが妊娠したと知らせました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
島添大里按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・中山王、武寧
フニムイ。察度の長男。浦添按司。
妻は汪英紫の娘で、タブチとシタルーの義兄。
山北王、攀安知の義父。
山南王のシタルーと一緒に首里にグスクを築く。

・山南王、汪応祖
シタルー。汪英紫の次男。島尻大里按司。
山南王の官生として明国に留学する。
兄タブチとの争いに勝ち山南王になる。

・冊封使
明国の皇帝、永楽帝が琉球の王を任命するために送った使者。

・シンゴ
早田新五郎。サイムンタルーの弟。
兄の左衛門太郎が朝鮮に投降したため、お屋形様の代理を務める。
佐敷ヌルと結ばれ、娘が生まれる。

・クルシ
早田左衛門太郎の重臣。
倅に跡を譲って隠居し、尚巴志の家臣になる。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・クルー
尚巴志の弟。

・上間按司
糸数按司の母親違いの弟。
兄の糸数按司を倒して、糸数按司になる。

・タブチ
八重瀬按司
汪英紫の長男、シタルーの兄。

・玉グスク按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・大グスク按司
マナビー(大グスクヌル)の弟。
父が戦死したあと、母と共に小禄のはずれに隠れ住んでいた。
尚巴志から大グスクを譲られ、大グスク按司になる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。
尚巴志の叔母、チルーを妻に迎える。
久高島のフカマヌルと結ばれ、娘が生まれる。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヤグルー
尚巴志の弟。
平田グスクを任され、平田大親を名乗る。

・ウミチル
ヤグルーの妻。玉グスク按司の娘。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マカミー
マタルーの妻。タブチの娘。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。
大グスク按司の叔父。

・ファイチ(懐機)
明国から逃げて来た道士。
家族を佐敷に連れて来て、尚巴志のために活躍する。
久米村を仕切っているアランポーを倒すため、風水師として久米村に住む。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。
奥間大親。

・ナーサ
汪英紫が八重瀬グスクを攻め落とす時に、八重瀬按司に贈った絶世の美女。
浦添の若按司に嫁いだ汪英紫の長女の侍女として浦添グスクに入り、今では侍女たちを束ねている。
後に尚巴志にとって重要な人物となる。


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2017年04月17日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 67.望月ヌル

正月の下旬に、去年の夏にヤマトゥ旅に行ったサハチ(尚巴志)の弟のマタルーと従弟のマガーチが帰って来ました。
サハチは二人から、対馬にいるサハチの娘のユキが、サイムンタルー(早田左衛門次郎)の息子の六郎次郎に嫁いだと聞いて驚きます。
花嫁姿のユキはまぶしいほどの美しさだったと聞いて、サハチは今すぐにでも対馬に行きたいという衝動に駆られます。

2月になって、サハチはウニタキに呼ばれて、島添大里城下の「まるずや」に行きます。
ウニタキはファイチ(懐機)からもらった三弦(サンシェン)を弾いていました。
サハチは奥間に行って、奥間ヌルに骨抜きにされて、ウニタキがフカマヌルに骨抜きにされた気持ちがよくわかったと言います。

浦添の「よろずや」にいた望月党の女が逃げたとウニタキは言いました。
そして、望月党の爺さんがウニタキを訪ねて来て、その女が望月ヌルだった事がわかり、望月党の事も色々と聞いたと言います。
八十歳を過ぎた爺さんはすでに隠居していましたが、望月ヌルがいなくなったので探していました。
望月党のお頭のサンルーと弟のグルーが対立して、望月党が分裂し、その争いに妹の望月ヌルも巻き込まれて、斬られてしまったのでした。
望月党の爺さんは、ウニタキに望月党を潰しても構わんから、望月ヌルを救ってくれと言って息を引き取ります。
望月党が内部争いをして、勢力を弱めたら、望月党を潰すとウニタキは言いました。
望月党はウニタキの妻と娘の敵なので、止める事はできませんが、サハチは心配します。

2月の下旬、島尻大里の「よろずや」の主人だったキラマが亡くなり、3月にはサハチの祖母が亡くなりました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
島添大里按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・シンゴ
早田新五郎。サイムンタルーの弟。
兄の左衛門太郎が朝鮮に投降したため、お屋形様の代理を務める。
佐敷ヌルと結ばれ、娘が生まれる。

・クルシ
早田左衛門太郎の重臣。
倅に跡を譲って隠居し、尚巴志の家臣になる。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マガーチ
尚巴志の叔父、苗代大親の長男。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。
尚巴志の叔母、チルーを妻に迎える。
久高島のフカマヌルと結ばれ、娘が生まれる。

・イブキ
ヤマトゥの山伏。ウニタキの師匠。
ウニタキの配下になり、浦添の「よろずや」の主人となる。

・望月サンルー
望月党のお頭。三代目の望月サンルー。

・望月グルー
サンルーの弟で、兄と対立する。

・望月ヌル
望月党のお頭、サンルーとグルーの妹。

望月党の老人
初代の望月サンルーと一緒にヤマトゥから琉球に来て、勝連按司に仕え、望月党を作る。

・キラマ
馬天浜のウミンチュ。カマンタ(エイ)捕りの名人。
島尻大里の「よろずや」の主人になる。

・尚巴志の祖母、マシュー
戦死した大グスク按司の娘で、サミガー大主の妻。



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2017年04月10日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 66.奥間のサタルー

奥間で生まれたサハチ(尚巴志)の息子のサタルーが婚礼を挙げる事になり、サハチはヤキチと一緒に奥間に行きます。
奥間に着いた途端、サハチは襲撃を受けます。
サハチを襲ったのは初めて会うサタルーでした。
その晩、歓迎の宴が開かれ、サハチは奥間ヌルと出会います。
「あなたが来るのをずっと待っていた」と奥間ヌルはサハチに言います。
サハチは奥間ヌルに誘われるまま、奥間ヌルの屋敷に泊まります。
サタルーの婚礼も無事に終わり、サハチは奥間ヌルの屋敷で、酒を飲みながらサタルーの事を聞きます。
不思議な事に、昨夜は一言も話をしていませんでした。
サタルーが生まれた時、奥間ヌルは『龍の子が生まれた』という神様のお告げを聞きます。
若ヌルだった奥間ヌルがその事を先代の奥間ヌルに話すと、先代は母親からサタルーを取り上げて、長老に預けたそうです。
サタルーは長老の跡を継ぐべく育てられ、長老の娘を妻に迎えて、正式に跡継ぎになりました。
サタルーに武芸の指導をしたのはヒューガで、奥間で生まれたヒューガの娘のユリが中山王の若按司の側室になって浦添グスクにいる事をサハチは知ります。
次の日は奥間ヌルと一緒に、ウタキの中で過ごし、翌日、サハチは奥間を去ります。
奥間での出来事はまるで夢の中のような出来事でした。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
島添大里按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。
奥間大親。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・ユシチ
名護の山中に住む木地屋の親方。

・サタルー
サハチの息子。母親は一夜妻だったフジ。
奥間の長老に育てられる。

・奥間大主
奥間の長老。ヤザイム。

・奥間ヌル
先代の奥間ヌルの孫娘。


尚巴志伝
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2017年04月03日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 65.上間按司

久高島からの帰り、サハチ(尚巴志)たちは糸数の浪人者の襲撃を受けますが、サハチたちは簡単に倒します。
ウニタキに呼ばれて「まるずや」に行くと、ウニタキは昼寝をしています。
愛用の三弦(サンシェン)を娘のミヨンに取られてしまったと言います。
明国では皇帝が代わったので、大勢の使者たちが琉球に来るようだとウニタキはサハチに知らせます。
中山王の武寧は使者たちの宿泊施設の「天使館」を修築しているようです。
来年には冊封使が来るので、武寧は冊封の儀式をやる会場を首里に造るようだとウニタキは言いました。
そして、その会場作りには山南王のシタルーも加わるようです。

六月に中山王と山南王が合同で送った進貢船が帰って来て、島尻大里から与那原に明国の商品を積んだ荷車が次々にやって来ました。
ヤマトゥの商人たちはすでに帰ってしまったので、サハチからヤマトゥの商品を仕入れるためでした。
サハチも手の空いている者たちを連れて、与那原で取り引きを手伝っていました。
そんな頃、糸数グスクが上間按司という者に攻め落とされたという噂が流れて来ます。
上間按司なんて聞いた事もありませんでした。

次の日の夜、ウニタキがやって来て、上間按司の正体がわかったと言います。
上間按司は先代の糸数按司の息子でした。
先代の糸数按司が二十年前に戦死した時、跡を継いだ若按司は父親の側室を追い出しました。
当時、十二歳だった上間按司は母親と一緒にグスクを追い出されて、母親の実家に行き、十五歳の時には浮島で荷揚げ人足をやっていました。
人足を始めてから何年か経ったある日、人足同士の喧嘩を仲裁している所を察度が見て、見込みがありそうだと察度に拾われます。
察度が隠居して首里天閣に移ると、護衛隊長に任命され、察度が亡くなったあとは、上間の地にグスクを築いて、上間按司になります。
大工の弟がいて、屋敷の改築をしている糸数グスク内にいました。
弟の手引きで、グスク内に攻め込み、按司を殺して、グスクを奪い取ったのでした。
重臣たちの中には上間按司の事を覚えている者もいて、上間按司を新しい按司として迎えます。

7月に明国の使者たちがやって来て、浮島は大賑わいだったようですが、島添大里には何の影響もありませんでした。

閏10月にマチルギが三女のマシューを産みました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
島添大里按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・マサンルー
尚巴志の弟。
佐敷グスクを任され、佐敷大親を名乗る。

・キク
マサンルーの妻。ヤキチの娘。

・クルー
尚巴志の弟。

・ウミトゥク
クルーの妻。山南王シタルーの三女。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。
奥間大親。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
尚巴志のために裏の組織「三星党」を結成する。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・糸数按司
南部東方の按司。

・上間按司
糸数按司の母親違いの弟。
兄の糸数按司を倒して、糸数按司になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
尚巴志の家臣でサムレー大将。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチとマチルギの剣術の師匠。
島添大里按司の重臣。島添大里の武術師範になる。

・ウミチル
ヤグルーの妻。玉グスク按司の娘。

・マカミー
マタルーの妻。八重瀬按司、タブチの娘。





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