2016年12月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 51.シンゴとの再会

サハチ(尚巴志)の弟、マタルーが八重瀬按司の娘を嫁に迎える事に決まり、サハチはマサンルーのために平田にグスクを築き始めました。
年末になって、祖父のサミガー大主と一緒に旅をしていたマタルーが帰って来ます。
マタルーに話すと、特に好きな娘もいないので、それで構わないと言いますが、敵である八重瀬按司の娘とどう接したらいいのか心配のようでした。
旅から帰って来た馬天ヌルに、マタルーの嫁の事を話すと、大丈夫よと言います。
馬天ヌルはマタルーと一緒になる事に決まった娘を知っていて、武芸好きな娘だから、マチルギと気が合うだろうと言いました。
旅から帰って来た父も、馬天ヌルの了解済みなら、嫁にもらおうと賛成します。

年が明けて、八重瀬からマタルーの花嫁が嫁いできます。
マサンルーは平田グスクに移りました。
婚礼が終わると、父も祖父も馬天ヌルも旅に出ていきます。
サミガー大主はマタルーに代わって、苗代大親の次男、サンダーを連れて旅に出ていきました。

正月の末、ヤマトゥから船が来ましたが、サイムンタルーではなく、シンゴが大将としてやって来ました。
十二年振りの再会でした。
シンゴから、サイムンタルーが朝鮮に投降したと聞いてサハチは驚きます。
投降したといっても捕虜になったわけではなく、宣略将軍という地位を与えられて、倭寇の取り締まりをやっていると言います。
サイムンタルーだけでなく、主立った倭寇の首領たちはほとんどの者が朝鮮に投降したとシンゴは言いました。
サハチの娘のユキは十三歳になって、母親のイトから剣術を習っているようです。
サハチはシンゴを連れて、各地を案内して、シンゴも琉球はいい所だと感動します。


◇朝鮮の倭寇懐柔策
高麗王国を倒した李成桂は国名を朝鮮と改め、倭寇対策に乗り出しますが、寝返る事を潔しとしなかった多くの重臣たちを殺してしまったため、倭寇退治をする武将もいなくなってしまいました。
苦肉の策として考えたのが倭寇懐柔策で、倭寇の首領を配下の者たちと一緒にそっくり召し抱えて、倭寇退治をさせようと考えたのです。
投降した倭寇に官職を与え、屋敷や食糧なども与えて優遇します。
早田左衛門太郎も朝鮮の武将に説得されて、投降する事を決心し、宣略将軍という地位を与えられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・兼久大親
佐敷按司の重臣。平田グスクの普請奉行。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マカミー
マタルーの妻。八重瀬按司、タブチの娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サミガー大主
サハチの祖父。
鮫皮造りを隠居し、東行法師に扮して旅に出て、若者たちを慶良間の島に送り込む。

・サンダー
苗代大親の次男。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。

・シンゴ
早田新五郎。サイムンタルーの弟。
兄のサイムンタルーが朝鮮に投降したため、お屋形様の代理を務める。

・サイムンタルー
早田左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいたが、兄が戦死し、父が隠居して、早田家のお屋形様になる。
朝鮮に投降して、宣略将軍の地位を与えられ、倭寇の取り締まりをする。

・イト
対馬の娘。サハチの娘、ユキを産む。



尚巴志伝

2016年12月19日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 50.マジムン屋敷の美女

明国の洪武帝が亡くなって、朝貢ができなくなってしまいましたが、密貿易船が続々と琉球にやって来ました。
毎年恒例の旅でサハチ(尚巴志)夫婦は、佐敷ヌルと弟のヤグルー夫婦を連れて浮島に行き、その賑わいに驚きます。
浮島のハリマの宿屋もお客がいっぱいで泊まる事ができず、サハチたちは松尾山で野宿をしました。
旅から帰ったサハチは、浮島に拠点を作ってくれとウニタキに頼み、ウニタキは『よろずや』を浮島に出そうと言いました。

7月の半ば、サハチはウニタキに呼ばれて、ウニタキの屋敷に行くとクマヌがいました。
ウニタキは配下の女、トゥミを島添大里グスクに側室として潜入させる事に成功したと言います。
5年掛かって、ようやく、島添大里按司のヤフスがトゥミと出会い、側室に迎え入れたとの事です。
島添大里城下には、ウニタキの配下がいる『よろずや』があり、よろずやの店員のムトゥが島添大里グスクに出入りしていて、トゥミと連絡が取れるとウニタキは言いました。
これで島添大里グスクを落とせるとサハチはウニタキに感謝します。

8月に八重瀬按司のタブチから、娘をサハチの弟のマタルーの嫁に迎えてくれと使者がやって来ます。
サハチは驚き、東方の按司たちと相談して、敵である八重瀬按司の娘を嫁に迎える事に決めます。

11月、マチルギは念願の女の子を産み、サハチの次女はマチルーと名付けられます。


1398年閏5月に洪武帝が亡くなると、明国では内乱が始まり、進貢船は泉州まで行っても、応天府(南京)まで行く事ができず、進貢はできませんでした。
中山王が1398年の4月に進貢したのが最後で、その後、永楽帝が即位した翌年の1403年まで5年間は進貢できませんでした。
1403年に中山王、山北王、山南王は進貢船を送って、永楽帝を祝福します。
永楽帝も琉球に返礼の使者を送り、翌年には、琉球に初めて冊封使が来る事になります。



登場人物


・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
ウニタキの妻。尚巴志の叔母。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・島添大里按司
汪英紫の三男、ヤフス。

・トゥミ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・ムトゥ
マチルギの教え子。ウニタキの配下。

・カマ
佐敷グスクの侍女をしていたが引退し、トゥミの母親役を務める。

・八重瀬按司
汪英紫の長男、タブチ。

・玉グスク按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・糸数按司
南部東方の按司。

・垣花按司
南部東方の按司。

・マチルー
尚巴志の次女。



尚巴志伝

2016年12月12日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 49.宇座の御隠居

年が明けて、1398年となり、サハチ(尚巴志)は27歳になりました。
父が隠居して佐敷按司となって、7年目が始まりました。
周りの状況も7年前とは随分と変わりました。
島添大里按司だった汪英紫が山南王になり、察度が亡くなって武寧が中山王になり、今帰仁ではマチルギの敵だった帕尼芝が亡くなり、孫の攀安知が山北王になっています。
三人の王は親子関係にあって、山南王の娘が中山王の妻となり、中山王の娘が山北王の妻になっています。
そして今、長年敵対関係にあった八重瀬按司のタブチと糸数按司が結ぼうとしています。

新年の行事が済むと、父は若い者たちを鍛えるために慶良間の島に帰り、祖父は若い者たちを集めるために、弟のマタルーを連れて旅に出ます。
馬天ヌルも各地のウタキを巡る旅に出ます。
馬天ヌルは各地のヌルたちと仲よくなって尊敬もされ、数々の奇跡も起こしていました。

二月の初め、糸数按司の娘が八重瀬の若按司に嫁いで行きました。
婚礼から帰ると、ウニタキが待っていて、宇座の御隠居(泰期)が亡くなった事を知らせます。
サハチは驚き、亡くなる前に会いたかったと悔やみます。
葬儀に行けないサハチはマチルギ、クマヌ、ウニタキと一緒に、宇座の御隠居の冥福を祈ります。

宇座の御隠居の葬儀から一月ほどして、御隠居の後妻だったナミーが息子のクグルーを連れて佐敷グスクに来ました。
もし、クグルーがサムレーになりたいと言ったら、佐敷に連れて行けと御隠居に言われたとナミーは言います。
サハチは不思議に思って、どうして、浦添や小禄ではなく、佐敷につれて来たのかとナミーに聞きます。
御隠居はサハチ夫婦が訪ねて来るのを楽しみにしていて、御隠居が心を許して話ができたのはサハチ夫婦だけだったとナミーは言います。
サハチは感動します。そして、御隠居が楽しみにしていたのなら、毎年、会いに行けばよかったと後悔します。
サハチはクグルー母子を引き取ります。

梅雨は明けたましたが、マチルギのお腹が大きくなっていたので、今年の旅は中止になります。
弟のマサンルー夫婦が母と妹たちを連れて「ハーリー」を見に行きました。

七月に大きな台風が来て、首里天閣が倒壊しました。
台風の三日後、マチルギは六番目の子供を無事に産み、生まれた男の子はマグルーと名付けられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サミガー大主
サハチの祖父。
鮫皮造りを隠居し、東行法師に扮して旅に出て、若者たちを慶良間の島に送り込む。

・マタルー
尚巴志の弟。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。

・ナミー
宇座按司の御隠居の後妻。ウミンチュの娘。

・クグルー
泰期の三男。母は後妻のナミー。


尚巴志伝

2016年12月05日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 48.ハーリー

3月に玉グスク按司の娘が中山王の三男に嫁ぎ、浦添グスクで盛大な婚礼が行なわれ、琉球中の按司たちが集まりました。
サハチ(尚巴志)も南部東方の按司たちと一緒に参列しましたが、肩身の狭い思いをします。

5月の恒例の旅で、サハチとマチルギは佐敷ヌル、弟のヤグルー夫婦を連れて、豊見グスク按司のシタルーが始めた「ハーリー」を見に行きます。
あまりにも多くの人がいて、佐敷ヌルとヤグルーの妻のウミチルは驚きます。
「ハーリー」を見てから、次にどこに行くと佐敷ヌルに聞くと、佐敷ヌルは久高島に行ってみたいと言います。
サハチたちは一旦、佐敷に戻ってから、次の日、久高島に行きます。
久高島にはフカマヌルもマニウシもいなくて、フカマヌルの娘がフカマヌルを継いでいて、マニウシの奥さんと末娘が留守番をしていました。
修行者たちと一緒にみんな、慶良間の島に行ってしまったと言います。
佐敷ヌルはフカマヌルに連れられて、フボーヌムイに三日間、籠もります。

旅から帰って来た佐敷ヌルは変わります。
子供の頃からヌルになるために育てられた佐敷ヌルは、ヌルとして自分を戒めながら生きて来ましたが、フボーヌムイに籠もってからは肩の力が抜けたように、娘たちとも接するようになり、佐敷ヌルの屋敷は娘たちの溜まり場のようになります。
そして、フボーヌムイで神様から延々と聞かされた琉球の歴史をサハチに話します。
ヤマトゥ系の中山王と山北王を倒して、天孫氏であるサハチが琉球を統一しなさいと神様はおっしゃったと佐敷ヌルは告げます。

佐敷ヌルは「ツキシルの石」が光るのを見ました。
神様が琉球の歴史を話した理由がわからなかった佐敷ヌルは「ツキシルの石」が光るの見て、何もかもがわかりました。
最初に「ツキシルの石」が光るのを見たのはサハチの父で、二度目に見たのは志喜屋の大主、三度目がマチルギで、四度目は馬天ヌル、五度目が佐敷ヌルでした。

6月になって、サハチはウニタキから八重瀬按司のタブチが糸数按司と結ぼうとしている事を知らされます。
敵同士であるタブチと糸数按司が結ぶなんて、信じられませんでしたが、タブチは先の事を考えて、東方の按司たちと結ぼうと考えているようです。
父の山南王が亡くなった時、弟のシタルーが山南王にならないように、準備を進めているようです。

糸数按司から使者が来て、サハチは糸数グスクに行きます。
糸数グスクには東方の按司たちが集まっていました。
サハチは島添大里按司とつながっていると東方の按司たちに疑われていました。
3月の婚礼の時、そんな素振りを見せなかったので、ようやく信用されて、東方の按司たちの集まりに呼ばれたのでした。
タブチと結ぶかどうかを皆で話し合い、結局、タブチと手を結ぶ事に決まりました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻。

・フカマヌル(外間ノロ)
久高島のフカマヌルの娘でフカマヌルを継ぐ。
父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。知念の若按司の妻になる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サミガー大主
サハチの祖父。
鮫皮造りを隠居し、東行法師に扮して旅に出て、若者たちを慶良間の島に送り込む。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になり、慶良間の島の修行者たちの食糧を調達する。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。

・玉グスク按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・知念按司
南部東方の按司。若按司の妻は尚巴志の妹。

・糸数按司
南部東方の按司。

・垣花按司
南部東方の按司。

・中山王
フニムイ、武寧。妻は汪英紫の娘。攀安知の義父。
察度の跡を継いで、中山王になる。

・山南王
汪英紫。武寧の義父。
島尻大里グスクを奪い取って、島添大里按司から山南王になる。

・山北王
ハーン、攀安知。妻は武寧の娘、マアサ。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・山田按司
マチルギの兄、トゥク。

・豊見グスク按司。
汪英紫の次男、シタルー。のちの山南王、汪応祖。
山南王の官生として明国に留学する。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・チルー
ウニタキの妻。サハチの叔母。

・ミヨン
ウニタキの長女。

・八重瀬按司
汪英紫の長男、タブチ。



尚巴志伝