2016年11月28日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 47.佐敷ヌル

マチルギから妹のマカマドゥのお嫁入りを考えた方がいいと言われたサハチ(尚巴志)はマカマドゥに会いに行きます。
東曲輪に向かったサハチは気が変わって、佐敷ヌルを訪ねます。
佐敷ヌルは一人で剣術の稽古をしていました。
佐敷ヌルは今、師範代を務めて娘たちに剣術を教えていました。
サハチは佐敷ヌルと馬天ヌルの話などをして、ふと、お嫁に行きたいと思った事はないかと聞きます。
お嫁に行きたいと思った事はないけど、サハチ夫婦と一緒に旅をしたいと思った事はあると佐敷ヌルは言います。
サハチは来年の旅に佐敷ヌルを連れて行こうと決めます。
マカマドゥの事を聞くと、マカマドゥは姉のマナミーのようにどこかの若按司に嫁ぎたいと思っているようだと佐敷ヌルは言います。
マカマドゥに会いに行くと、マカマドゥは笛を吹いていました。
翌日、サハチはクマヌに会って、マカマドゥの婚礼の相談をします。
知念の若按司がいいとクマヌは言って、さっそく知念に向かいます。
断られるかもしれないと心配しましたが、知念ヌルのお陰ですんなりと決まりました。
旅に出た馬天ヌルは知念ヌルと会って、古いウタキ(御嶽)を巡りました。
知念ヌルは馬天ヌルと一緒にセーファウタキでお祈りをした時、神様のお告げがあって、佐敷から嫁入りの話がある事を知ったようです。

サハチは馬天ヌルが旅に出た本当の意味がわかりました。
各地のウタキを巡るにはその土地のヌルと会わなければなりません。
ヌルとしての霊力の強い馬天ヌルと会った各地のヌルたちは、馬天ヌルを尊敬するに違いありません。
各地のヌルが馬天ヌルを慕うようになれば、その力は計り知れないものとなるのです。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
師範代として娘たちに剣術を教えている。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅している。


尚巴志伝

2016年11月21日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 46.夢の島

2月にマチルギがサハチ(尚巴志)の四男、チューマチを産みます。
3月になると中山王武寧の三男と玉グスク按司の娘の婚礼が決まります。
今帰仁合戦に加わらなかった南部東方の按司たちを婚礼という形で従わせようと武寧は考えたのでした。
4月の初め、サイムンタルーがヤマトゥから積んで来た米と武器を運ぶために、慶良間の島に向かいます。
初めて慶良間の島に来たサイムンタルーはその美しさに感動します。
慶良間の島で若い者たちを鍛えているサグルー(尚巴志の父)に歓迎されて、サイムンタルーたちはのんびりと過ごしてからヤマトゥに帰って行きました。

梅雨に入り、サハチは雨を眺めながら横笛を吹いています。
ウミチルの横笛を聴いてから、自分でも吹きたくなって時々吹いていました。
初めの頃はマチルギにうるさいと文句を言われていましたが、最近は何とか聴かせられる程度の腕になっていました。
チューマチが生まれたばかりなので、今年の旅は中止となりました。
5月の4日に豊見グスク按司のシタルーが国場川で『ハーリー』という舟の競争を行なって大盛況だったとウニタキが知らせました。
明国に留学していたシタルーが明国の行事を真似たのでした。
来年の旅はハーリーを見に行こうとサハチは決めました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父はサグルー(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・チューマチ(千代松)
尚巴志の四男。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・サイムンタルー
早田左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいたが、兄が戦死し、父が隠居して、早田家のお屋形様になる。

・クルシ
早田左衛門太郎の重臣。

・マウー
伊是名のナビーの五男。サグルーの甥。慶良間の島の師範代。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛え、『師匠』と呼ばれる。

・サスカサ
先代の島添大里ヌル。
島添大里グスクが落城後、久高島に逃げ、ずっとフボーヌムイに籠もっている。
フボーヌムイから出て来て、サグルーと一緒に慶良間の島に行く。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(東行法師)の娘、ウミチルを産む。
ヤグルーの妻になったウミチルの伯母。
フカマヌルを娘のウミチルに譲って、慶良間の島に行き、娘たちに剣術を教える。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。
慶良間の島で若い者たちを鍛える武術師範。。



尚巴志伝

2016年11月14日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 45.馬天ヌル

察度の葬儀は山南王の汪英紫も山北王の攀安知も参列して盛大に行なわれました。
サハチ(尚巴志)は改めて察度の勢力の大きさを知り、跡を継いだ武寧が佐敷を攻めて来るのではないかと恐れます。
山南王が武寧を説得したお陰で、攻めて来る事はなく助かります。

年末に旅をしていた祖父が帰ってきて、慶良間の無人島に行って来たと言います。
サハチは羨ましそうに祖父の話を聞いていました。
船を手に入れて海賊となったヒューガが活躍しているようでした。
父も慶良間の島から帰ってきて、久高島は完全に引き払ったと言いました。

年が明けると祖父も父も旅立ちました。
その日、娘たちの剣術の稽古が始まり、馬天ヌルの姿がない事に気づいたサハチは馬天ヌルを訪ねます。
馬天ヌルは、父が志喜屋ヌルからもらった勾玉を見せて、この勾玉が旅に出ろと言うと言います。
『ツキシルの石』が光るのを見て、旅に出る決心を固めたと言いました。
馬天ヌルは各地の神様の声を聞くために旅に出て行きました。
この時、サハチは馬天ヌルの旅の本当の目的を知りませんでした。
神様のお告げなら仕方がないと思って見送ったのです。
後に、馬天ヌルの旅は大きな成果となって現れます。

正月の下旬には三年振りにサイムンタルーがやって来ます。
サイムンタルーから、高麗の国が滅んで、朝鮮という国ができたとサハチは教えられます。
そして、サイムンタルーの兄が戦死し、サンルーザが隠居して、サイムンタルーが跡を継いだ事を知ります。


登場人物

・中山王
フニムイ、武寧。妻は汪英紫の娘。攀安知の義父。
察度の跡を継いで、中山王になる。

・山南王
汪英紫。武寧の義父。
島尻大里グスクを奪い取って、島添大里按司から山南王になる。

・山北王
ハーン、攀安知。妻は武寧の娘、マアサ。

・サハチ(尚巴志)
佐敷按司。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・マガーチ
苗代大親の長男。祖父と一緒に旅に出る。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。
神様の声を聞くため各地を旅する。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。

・マウシ
尚巴志の叔母。鮫皮職人の妻。
馬天ヌルの娘、ササを預かる。

・ユミー
馬天ヌルと一緒に旅をする。マチルギの弟子。

・クルー
馬天ヌルと一緒に旅をする。マチルギの弟子。

・サイムンタルー
早田左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいたが、兄が戦死し、父が隠居して、早田家のお屋形様になる。

・イスケ
イトの父親。

・カンスケ
イトの弟。


尚巴志伝

2016年11月07日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 44.察度の死

久高島から帰ったサハチ(尚巴志)はヤキチから山北王の死と奥間の長老の死を知らされます。
山北王のミンは病死で、跡を継いだ若按司のハーンはまだ20歳でした。
奥間の長老の跡は息子のヤザイムが継ぎました。
佐敷グスクに帰ると東曲輪から笛の音が聞こえてきました。
笛を吹いていたのはウミチルで、サハチは妹たちに笛を教えてくれと頼みます。

6月になってウニタキが帰って来ました。
どこに行っていたと聞くと、慶良間の島に行っていたと言います。
慶良間の無人島ではサハチの父によって新しい村造りが始まっていました。

7月には明国に留学していた豊見グスク按司のシタルーが帰って来ました。
父が山南王になったと聞いて、一年早く帰って来たとシタルーは言います。
サハチはシタルーから明国の話を聞いて驚き、いつの日か、明国に行ってみたいと思います。

9月に台風がやって来て、10月に中山王の察度が亡くなりました。
サハチはウニタキと察度の話をしながら、一つの時代が終わったように気がしていました。


察度の略歴


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻。

・マサンルー
尚巴志の弟。

・キク
ヤキチの娘。マサンルーの妻。

・尚巴志の母、ミチ
先代の美里之子の長女。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。

・マチルー
尚巴志の妹。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。
サハチのために裏の組織「三星党」を結成する。

・マチ
ウニタキの配下。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。のちの山南王、汪応祖。
山南王の官生として明国に留学する。


・山北王
今帰仁按司ミン。帕尼芝(はにじ)の次男。

・ハーン
山北王の長男。武寧の娘、マアサを妻に迎える。
父ミンの跡を継いで山北王になる。攀安知。

・ヤザイム
奥間の長老の息子。奥間鍛冶屋の親方。
奥間の長老を継ぐ。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
慶良間の無人島で若い者たちを鍛える。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。尚巴志の師匠。
尚巴志のために山賊になる。
山南王の船を奪い取って海賊になる。



尚巴志伝

2016年11月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 43.玉グスクのお姫様

11月にサハチ(尚巴志)の三男のイハチが生まれます。
年末には旅に出ていた祖父とヤグルーが帰って来ます。
ヤグルーに、お前のお嫁さんが玉グスクのお姫様に決まったと告げると、ヤグルーは驚き、信じられないと言って、夢でも見ているかのような顔付きになります。
祖父は大グスクの遺児が小禄の近くで細々と暮らしていたとサハチに言います。
サハチは何とかしてやりたいと思いますが、今の状況では助ける事はできませんでした。
五日後には父も久高島から帰って来ました。
父は久高島に二百人の若者たちが集まったが、やがては慶良間の無人島に移すと言います。
男だけでなく、娘たちも集めて、無人島に新しい村を作るといって張り切っています。
サハチは父に玉グスクから使者が来た事を告げます。

年が明けて2月、サハチの妹のマナミーが玉グスクの若按司に嫁ぎ、ヤグルーが玉グスク按司の娘、ウミチルをお嫁に迎えます。
婚礼が済むと、父は久高島に行き、祖父は苗代大親の長男、マガーチを連れて旅に出ました。

ウミチルは世間知らずのお姫様でした。
玉グスクにいた時は侍女が何でもしてくれたのに、ここではそうはいきません。
初めのうちは戸惑っていたウミチルも一人で好きな所に行けるのが楽しくなり、ヤグルーと二人だけで浜辺を歩くのもウキウキしていました。
ウミチルたちの新居のある東曲輪では夕方になると娘たちが集まって来て、剣術の稽古をしていました。
不思議な光景でしたが、自分には縁のないものと思っていました。
しかし、剣術を教えているのが長兄の妻で、次兄の妻も稽古に励んでいると聞いて、自分も仲間に入ってもいいのかしらと思います。
ヤグルーに相談したら、やってみろと言われ、ウミチルも剣術を習い始めます。
梅雨が明けると、ウミチルとヤグルーはサハチ夫婦と一緒に旅に出ます。
供も連れずに、旅に出るなんてとウミチルは驚きます。
どこに行きたいと聞かれて、ウミチルは久高島と答え、一行は久高島に行きます。
ウミチルは久高島に着くと海に入りたいと言います。
海に入って遊んでから、フカマヌルを訪ねると、びしょ濡れのウミチルを見て、フカマヌルは驚きます。
サハチはフカマヌルから、父が若者たちを連れて慶良間の無人島に移った事を知らされます。
フボーヌムイに籠もっていたサスカサも一緒に慶良間に行ったと聞いて驚きます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・イハチ
尚巴志の三男。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。
久高島で若い者たちを鍛える。

・マナミー
尚巴志の妹。玉グスクの若按司に嫁ぐ。

・ウミチル
玉グスク按司の娘。尚巴志の弟、ヤグルーの妻になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野大親。
佐敷按司の家臣でサムレー大将。

・マガーチ
苗代大親の長男。祖父と一緒に旅に出る。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(東行法師)の娘、ウミチルを産む。
ヤグルーの妻になったウミチルの伯母。

・ウミチル
フカマヌルの娘、フカマ若ヌル。父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。



尚巴志伝