2016年07月28日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 26.高麗の対馬奇襲

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚礼が行なわれていた頃、高麗の軍船が対馬の土寄浦を攻撃していました。
高麗ではクーデターが起こって、李成桂(イソンゲ)が政権を握り、倭寇の本拠地である対馬攻撃を決定したのでした。
大砲を積んだ高麗の軍船百隻は対馬の浅海湾を目指してやって来ました。
去年の夏に生まれたサハチの娘、ユキに乳を飲ませていたイトは、突然、雷が落ちたような音を聞いて驚きます。
高麗軍が大砲を撃ち込んでいたのです。
男たちは武器を持って村を守り、女たちは山の中に逃げ込みました。
高麗の兵は上陸して来ましたが、男たちによって追い返されました。しかし、敵の大砲によって、家々は焼かれ、船も沈んでしまいます。
その時、サンルーザとサイムンタルーは家臣たちを引き連れて高麗を攻めていました。
その留守を狙われて、土寄浦周辺は壊滅状態になってしまったのです。


登場人物

・イト
イスケの娘。サハチの娘、ユキを産む。

・イスケ
イトの父親。

・マユ
土寄浦の娘。

・サワ
土寄浦の後家。

・トミ
土寄浦の娘。

・早田丹後守
サイムンタルーの叔父。

・中尾潮漸
サイムンタルーの妻の祖父。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・李成桂(イソンゲ)
高麗の武将。朝鮮王朝の初代王となる。

・朴葳(パクウィ)
倭寇討伐で活躍した高麗の武将。
対馬を攻撃した高麗軍の総大将。


尚巴志伝

2016年07月23日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 25.お輿入れ

サハチ(尚巴志)とマチルギの新居となる佐敷グスクの東曲輪(あがりくるわ)が完成し、12月の末には東曲輪の庭で娘たちの剣術の試合が行なわれました。
試合の翌日、マチルギとサムは伊波に帰って行きました。
次にマチルギが佐敷に来るのは2月の婚礼の日です。
大晦日の前日、サハチが東曲輪でマチルギの事を思っていると、勝連のウニタキが訪ねて来ます。
ウニタキはすでに中山王の察度の孫娘を妻に迎えていました。
浮島(那覇)で、倭寇がさらって来た高麗人が売り買いされているとウニタキはサハチに言います。
その事を妻の父親である武寧に話すと、武寧は怒って、連れ去られて来た高麗人たちを本国に送り返してやると言います。
ウニタキの母親も武寧の母親も高麗人だったのです。
翌年の夏、察度は高麗に使者を送って、倭寇によって連れ去られて来た高麗人を高麗に連れ返します。
ウニタキの一言によって、琉球と高麗との交易が始まるのです。

年が明けて、洪武22年(1389年)となり、サハチの妹のマシューが佐敷ヌルになります。
2月にはマチルギが伊波から嫁いできました。
花嫁のマチルギは佐敷の人たちから大歓迎されます。
佐敷グスクはマチルギを祝福する人たちで埋め尽くされます。
サハチとマチルギの婚礼の儀式は大勢の人たちに見守られて無事に終わり、二人はめでたく夫婦になりました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、祖父はサミガー大主。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
マチルギが佐敷に嫁いだあと、一年間、佐敷に残る事になる。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルー
クマヌの娘。マチルギから剣術を習っている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・馬天ヌル
尚巴志の叔母。マチルギから剣術を習っている。

・佐敷ヌル
尚巴志の妹、マシュー。マチルギから剣術を習っている。

・苗代大親
尚巴志の叔父。苗代之子から苗代大親に昇格する。

・平敷大親
伊波按司の重臣。

・チルー
美里之子の娘。尚巴志の叔母。
東曲輪の侍女の頭になる。


尚巴志伝

2016年07月18日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 24.山田按司

名護から道なき道を通って、サハチ(尚巴志)たちは伊波グスクに向かいます。
マチルギとサムが今帰仁に行って来たと言うと伊波按司は驚きます。
次の日、サハチたちはマチルギの叔父、山田按司を訪ねます。
山田按司は山伏の格好をしていて、目に見えない凄い力を持っている不気味な男でした。
サハチとマチルギは山田按司に祝福されます。
山田グスクを去った一行は宇座按司(泰期)を訪ねますが、宇座按司は浦添に行っていて留守でした。


その頃、国場川と饒波川の合流地点の山の中で、島添大里按司とその次男のシタルーが新しいグスクを築く相談をしていました。
豊見グスクです。
島添大里按司は浮島の近くに新しい拠点を築いて、明国との交易に力を入れようと考えていたのです。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。

・トゥク
山田若按司。マチルギの兄。

・ナミー
宇座按司の若い奥さん。ウミンチュの娘。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。

・シタルー
大グスク按司。島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。



尚巴志伝

2016年07月11日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 23.名護の夜

勝連グスクから帰ったサハチ(尚巴志)が、マチルギにグスクの様子を話すと、マチルギは今帰仁グスクを見てみたいと言います。
お嫁に来てしまえば、そんな我がままはできないので、今のうちに見たいと言います。
今、浮島(那覇)にはサイムンタルーの船がいます。
それに乗っていけば今帰仁まで行く事ができます。
サハチはマチルギに敵である山北王のグスクを見せる事に決め、父の許しを得ると、ヒューガ、マチルギ、サムと一緒に浮島に向かいます。
浮島は相変わらず賑わっていて、初めて来たマチルギとサムは驚きます。
サイムンタルーの船は明から帰って来る進貢船を待っていました。
サハチたちが浮島に来た三日後、進貢船は帰って来ました。
それから十日後、サイムンタルーの船は船出し、その日のうちに今帰仁に着きます。
今帰仁グスクを見たマチルギとサムは、改めて敵討ちの決心を固めます。
ミヌキチの家に顔を出すと、ミヌキチは驚いた顔で、サハチたちを迎えますが、危険だと言います。
マチルギとサムの素性がばれたら殺されるとミヌキチは言いました。
ミヌキチの家に一晩お世話になったサハチたちは名護に向かいます。
名護に向かう山中で何者かに襲われます。簡単に敵を倒す事はできましたが、首謀者らしいサムレーに逃げられます。
ところが、逃げたサムレーは急に倒れます。調べると石つぶてにやられて死んでいます。
山の中から男たちが現れ、奥間の鍛冶屋だと名乗り、そのサムレーが今帰仁に帰ってサハチたちの事を告げると面倒な事になるので殺したと言います。
その鍛冶屋は最近、佐敷に来たヤキチという名の男でサハチは顔を覚えていました。
ヤキチは奥間の長老に命じられて、サハチの身を守っていると言いました。
どうしてかと聞くと奥間ヌルのお告げがあったと言います。
サハチはヤキチにお礼を言い、一緒に旅をします。
名護ではヤキチの紹介で、木地屋の親方の屋敷にお世話になります。
木地屋の屋敷でサハチは、マチルギがツキシルの石が光ったのを見たと聞いて驚きます。


この年に帰って来た山南王の進貢船には島添大里按司が使者として乗っていました。
明の国を見てきた島添大里按司は考えを変えていきます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ミヌキチ
今帰仁城下に住む刀の研ぎ師。
妻は先代の今帰仁按司の妹。娘は伊波の若按司の妻。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ユシチ
木地屋の親方。


尚巴志伝

2016年07月07日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 22.ウニタキ

サハチ(尚巴志)とマチルギの婚約が決まり、佐敷グスクでは拡張工事を始めていました。
そんな頃、勝連按司の三男のウニタキがサハチを訪ねて来ます。
勝連按司が亡くなり、ウニタキは急遽、中山王、察度の孫娘を嫁にもらう事に決まったと言います。
ウニタキは鮫皮作りが見たいと言い、サハチはウニタキを連れて、祖父、サミガー大主の作業場に連れて行きます。
勝連に来るヤマトゥンチュも鮫皮を欲しがるので、勝連でも鮫皮を作りたいとウニタキは言います。
作業場を見学したあと、浜辺で話し込んでいるうちに夕方になってしまい、サミガー大主の離れに顔を出すと、ヤマトゥンチュの船乗りたちが酒盛りを始めていました。
サハチとウニタキも加わって、夜遅くまで騒いでいました。
翌日、ウニタキは鮫皮の作業場を見せてもらったお返しに勝連グスクを見せてやると言います。
サハチはウニタキと一緒に勝連に行き、グスクの中に入りました。
勝連グスクは素晴らしく、一の曲輪からは四方が見渡せました。
サハチは景色を眺めながら、島添大里グスクを奪い取りたいと思っていました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。サハチと婚約する。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ソウゲン(宗玄)
元の国で修行を積んだ禅僧。佐敷按司の家臣となり、サハチたちの読み書きの師になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギの父。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘を妻に迎える。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしている。

・イブキ
ヤマトゥの山伏。ウニタキの師匠。


尚巴志伝

2016年07月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 21.再会

ウニタキとの試合で引き分けたマチルギは佐敷に戻って厳しい修行を続けていました。
約束の二か月後、ウニタキは現れませんでした。ウニタキの父親の勝連按司が急に亡くなってしまったためでした。
マチルギが佐敷に来て五か月が過ぎ、娘たちが武術の教えを請うようになっていました。
武術は男がやるものと思い込んでいた娘たちが、マチルギを見て、女も武術をしてもいいんだと思うようになり、マチルギに憧れます。
佐敷按司の許しが出て、マチルギが娘たちに剣術を教える事になります。
マチルギは自分の修行も途中なのに、人に教える事なんてできないと断りますが、苗代之子は人に教えるのも修行になる。毎日、夕方の二時間だけだからやってくれと頼みます。
マチルギは仕方なく、引き受けます。
初めの頃は面倒くさいと思っていたマチルギも、だんだんと娘たちに教えるのが楽しくなっていきます。
今まで、同年代の娘たちと一緒に遊んだ事もなかったマチルギは、稽古のあとに娘たちから色々な話を聞くのも楽しいと思うようになります。
マチルギの教え子の中には馬天ヌルと佐敷ヌルもいました。馬天ヌルはマチルギよりもかなり年上なのに、マチルギをお師匠と呼んで、真剣に稽古をしていました。
いつものように山の中で修行していたら、サハチ(尚巴志)が帰って来たと教え子の娘が知らせてくれました。
マチルギは馬天浜に向かいます。馬天ヌルと佐敷ヌルも来ていて、三人でサハチを迎えます。
マチルギはサハチを見つめ、知らずに涙がこぼれてきます。
マチルギとサハチは砂浜を歩きながら積もる話を語り合います。
その晩、帰国祝いの宴が開かれ、その宴にはマチルギも呼ばれていました。マチルギが家族たちに歓迎されている事を知ってサハチは喜びます。
次の日の夕方、サハチはマチルギと約束の試合をして、引き分けます。試合を見ていた娘たちが二人に喝采を送っていると、ウニタキがマチルギを訪ねて来ます。
ウニタキはマチルギに幸せになって下さいと言って去って行きます。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・サム
伊波按司の四男。後に尚巴志の家臣になる。

・苗代之子(なーしるぬしぃ)
尚巴志の叔父、佐敷按司の弟。剣術の名人。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・クマヌの奥さん
島添大里の武将の妻だったが、夫は戦死し、娘と一緒に城下の焼け跡をさまよっていて、クマヌに助けられる。

・マチルー
クマヌの娘。

・美里之子(んざとぅぬしぃ)
佐敷按司の義弟。武術師範。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・馬天ヌル
尚巴志の叔母。

・マシュー
尚巴志の妹。馬天ヌルのもとでヌルの修行中。佐敷ヌル。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・クルシ
早田三郎左衛門の重臣。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・サミガー大主
尚巴志の祖父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・ウミンター
尚巴志の叔父。鮫皮作りを継ぐ事になっている。

・ウニタキ
勝連按司の三男。勝連に来たマチルギを見初めて嫁に請う。


尚巴志伝