2016年04月30日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 3.察度と泰期

首里(すい)の高台に立って浮島(那覇)を眺めながら過去を振り返る中山王(ちゅうざんおう)の察度(さとぅ)。そこに明国への使者として行っていた義弟の泰期(たち)が来る。察度はいつの日か、首里にグスクを築こうと泰期に相談する。

当時、那覇は浮島と呼ばれる島でした。琉球にやって来た中国人や日本人が交易の拠点として住み始め、日本人が住む村を若狭町(わかさまち)と呼び、中国人が住む村を久米村(くみむら)と呼んでいました。
若狭町は波之上権現の門前町として発達した町で、久米村は土塁に囲まれた城塞都市でした。


登場人物

・察度(さとぅ)
中山王。浦添按司(うらしいあじ)。父親は奥間大親。妻は勝連按司の娘。
浦添按司の西威(せいい)を倒して、浦添按司になる。浦添按司になる前は、安里大親(あさとぅうふや)と名乗る。
1372年、明国から使者が来て、朝貢を始め、琉球中山王に封じられる。

・奥間之子(うくまぬしぃ)
察度の祖父。浦添按司、英慈(えいじ)の若按司に仕える武将。北部の奥間村出身。

・奥間大親(うくまうふや)
察度の父。英慈の若按司の娘を妻に迎えて、察度が生まれる。

・察度の母
浦添按司の英慈の長男、若按司の娘。
察度が10歳の時に亡くなってしまったため、察度は母親の素性を知らなかった。
ヤマトゥ旅から帰って来た察度は、父親から母親の素性を知り、母親の父親である若按司の敵を討つため、浦添按司の西威を攻め滅ぼして、浦添按司になった。
祖父の浦添若按司を殺したのは西威の父親、玉城(たまぐすく)だった。玉城は英慈の四男で、上の三人の兄を倒して浦添按司になったのだった。
玉城は玉グスク按司の娘婿になっていたが、玉グスク按司の後援によって、兄たちを倒して浦添按司になった。浦添按司の家督争いは各地の按司たちを戦乱に巻き込み、以後、戦乱の世になったと言われている。
察度も母親の素性を公表しなかったたため、いつしか、天女だという伝説になっていった。

・船思(ふにむい)
察度の長男。後の中山王、武寧(ぶねい)。

・泰期(たち)
察度の義弟。察度の妹を妻に迎える。
察度が浦添按司になったあと、小禄にグスクを築いて小禄按司(うるくあじ)を名乗る。
察度が中山王になったあとは、使者として明国に何度も行く。
明国に送る馬を育てるために宇座に牧場を作り、使者を引退したあとは、宇座按司(うーじゃあじ)を名乗って、馬の飼育に専念する。


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2016年04月29日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 2.馬天浜

6歳になったサハチ(尚巴志)は母と妹のマシューと一緒にサミガー大主(うふぬし)の屋敷に遊びに行きます。
サミガー大主の屋敷の離れには各地から集まって来た居候が暮らしています。サハチは旅から帰って来たクマヌというヤマトゥ(日本)の山伏から旅の話を聞きます。

この離れはサミガー大主がヤマトゥから来る船乗りたちのために建てたものです。ヤマトゥの商人は冬の北風に乗って琉球に来て、夏の南風に乗ってヤマトゥに帰ります。半年間は琉球で暮らすので、彼らのために建てたのです。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は苗代大親(サグルー)。

・マシュー
サハチの妹。後に佐敷ヌルになる。

・尚巴志の父、サグルー
サミガー大主の長男。後の中山王、思紹(ししょう)。
久高島の修行で強くなったサグルーは美里之子に認められ、苗代大親(なーしるうふや)と名乗り、美里之子の武術道場で師範代として若い者たちを鍛えている。

・尚巴志の母、ミチ
美里之子(んざとぅぬしぃ)の長女。
サハチを産んだあと、妹のマシューと弟のマサンルーを産んでいる。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。
鮫皮は鮫の皮ではなく、エイの皮で、日本刀の柄に巻かれるが、日本では捕る事ができなかった。当時の日本は南北朝の戦が絶えず、刀は大量に生産されていた。その刀の柄に巻く鮫皮は必需品で、鮫皮を求めて日本から琉球に商人がやって来ていた。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。熊野の山伏なのでクマヌと呼ばれている。
サハチが2歳の時にヤマトゥから来て、琉球が気に入り、島内を旅して歩いている。
後に、サハチにとって重要な人物となる。

・ビング
ヤマトゥのサムレー(武士)。備後出身なのでビングと呼ばれている。槍の名人。
戦に敗れて主家を失い、家族も失って、博多に流れ着き、しばらく倭寇(わこう)として活躍したが、新天地を求めて琉球に来る。
ウミンチュ(海人)たちに槍を教えている。

・ソウゲン(宗玄)
日本から元の国に渡って、禅の修行を積むが、内乱の末に元が滅んで明となって日本に帰れなくなる。何とか進貢船に乗り込む事ができ、琉球に来る。ここにいれば、いつでも日本に帰れる事を知り、しばらく琉球に滞在しているうちに琉球が気に入って長居する事になる。

・ヨウケイ(楊渓)
琉球の状況を探るために明から遣わされた文官。

・八重瀬按司(えーじあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。島添大里(しましいうふざとぅ)グスクを奪い取ろうと狙っている。

・中山王察度
浦添按司(うらしいあじ)。サハチが生まれた年、琉球に来た明国の使者と会い、明国との朝貢を始め、明国の皇帝、洪武帝から中山王に封じられる。



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2016年04月27日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 1.誕生

尚巴志の誕生と尚巴志の父、サグルーの久高島での剣術修行の話です。
尚巴志の誕生の時に光ったツキシルの石は、その後も何度か光ります。
尚巴志は琉球を統一した英雄で、1372年に生まれました。日本は南北朝の時代で、将軍は足利義満でした。中国では明国が始まったばかりの頃です。
尚巴志の名はサハチで、サハチが明国との交易を始めた時、サハチに「尚巴志」という漢字を当てました。尚巴志以後、尚を名字として扱うようになります。


登場人物

・志喜屋の大主(シチャヌウフヌシ)
尚巴志の出産を祝福するトキ(霊能者)。

・尚巴志の母、ミチ
美里之子の長女。

・尚巴志の祖母、マチ
ミチの母親、大グスクの武将、當山大親(トウヤマウフヤ)の娘。

・尚巴志の祖父、美里之子(ンザトゥヌシイ)
ミチの父親。大グスク按司の武術師範。

・尚巴志の父、サグルー
サミガー大主の長男。後の中山王、思紹。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・尚巴志の祖母、マシュー
サグルーの母。大グスク按司の娘で、サミガー大主の妻。

・シラタル親方
久高島に住む武術の達人。

・シラタル親方の妻、ウミチル
浦添按司、西威の妹。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。

・マニウシ
シラタル親方の長男。

・ウミタル
シラタル親方の次女。後に玉グスク按司の妻となる。


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