2024年08月21日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 14.ヤマトゥ旅

◇尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 14.ヤマトゥ旅

サハチ(尚巴志)が乗ったサンルーザの船は伊平屋島を出帆して、永良部島(沖永良部島)、徳之島、奄美大島、トカラ列島の宝島、中之島、口の島、口之永良部島を通って、薩摩の坊津(ぼうのつ)に着きます。
ヤマトゥの国はサハチが思っていたよりもずっと遠くにありました。途中に島がまったく見えない事もあり、海の広さを改めて感じ、海が荒れた時は、このまま死んでしまうのではないかと恐ろしい思いをします。
坊津にはサンルーザの取り引き相手の『一文字屋』があり、サハチたちはお世話になります。

先代の一文字屋は備前の柄巻師(つかまきし)でしたが、刀の柄に巻く鮫皮が手に入らなくなってしまい、博多までやって来ます。
鮫皮はエイの皮で日本では捕る事ができず、海外から仕入れていました。南北朝の争いが続いて、海外の窓口だった博多も全焼してしまい、博多に住んでいた唐人たちも皆、引き上げてしまいます。
焼け野原の博多をさまよっていた一文字屋が出会ったのが、サンルーザの父親、早田次郎左衛門でした。次郎左衛門は一文字屋の話に乗り、琉球に行く事になります。
伊平屋島で鮫皮作りを始めたのはサンルーザの父親で、サハチの祖父のサミガー大主は鮫皮の作り方を身に付けて、馬天浜に行ったのでした。
琉球の鮫皮を手に入れる事に成功した一文字屋は柄巻師をやめて、鮫皮を扱う商人となり、さらに、明国の商品を扱う商人となって、やがては京都に進出して行きます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クルシ(黒瀬)
早田三郎左衛門の重臣。

・一文字屋次郎左衛門
備前出身の坊津の商人。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2024年07月20日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 13.伊平屋島

サンルーザの船に乗ったサハチとヒューガは今帰仁に寄ってから、伊是名島、伊平屋島へと向かいます。
伊平屋島では大叔母の我喜屋ヌルから曾祖父(与座の若按司)と若き日の祖父(サミガー大主)の話を聞きます。

曾祖父の与座若按司は父親を伯父の島尻大里按司に殺され、伊平屋生まれの家臣に連れられて伊平屋島に逃げて来ます。
父の敵を討とうとしますが、家臣たちには裏切られるし、なかなか討つ事はできません。
やがて、先代の我喜屋ヌルと結ばれ、サミガー大主や我喜屋ヌルが生まれます。
子供たちのために、曾祖父は敵討ちは諦め、自分の素性も子供たちには伝えずに亡くなります。
先代の我喜屋ヌルは亡くなる前に、子供たちを呼んで、父親の素性を話します。しかし、すでに敵である島尻大里按司は亡くなっていました。
サハチは祖父や曾祖父の若い頃の話を聞いて、これから始まるヤマトゥ旅の経験を生かして、精一杯頑張らなくてはならないと思います。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ミヌキチ
刀の研ぎ師。先々代の今帰仁按司に呼ばれてヤマトゥから来る。
先代の今帰仁按司が羽地按司に攻め滅ぼされたあと、刀の研ぎ師を辞めるが、クマヌと出会い、先代の遺児(伊波按司と山田按司)が生きている事を知ると、刀の研ぎ師に復帰する。
妻は先代の今帰仁按司の妹。娘は伊波の若按司の妻。

・ナビーお婆
サハチの大叔母。サミガー大主の妹。伊是名島の仲田大主の妻。
伊是名島で鮫皮作りをしている。

・我喜屋(がんじゃ)ヌル
サハチの大叔母。サミガー大主の妹。

・与座の若按司
サハチの曾祖父。サミガー大主の父。
父親の与座按司が伯父の島尻大里按司に殺され、伊平屋島に逃げて来る。
童名はヤグルーで、ヤグルー大主と呼ばれる。


尚巴志伝
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2024年06月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 12.恋の病

フジと別れて奥間をあとにしたサハチ(尚巴志)たちは、名護まで戻り、東海岸に出て南下します。
伊波グスクに寄って、マチルギと試合をして、サハチは紙一重の差でマチルギに勝ちました。
伊波から西海岸に出て、読谷山の宇座に行き、宇座按司(泰期)と会います。
宇座按司は広い牧場で馬を育てていて、サハチたちを歓迎してくれました。
宇座按司との出会いはサハチの生き方に大きな影響を与えます。

サハチたちが宇座按司の屋敷に滞在中、浦添から馬に乗って侍女が訪ねて来ます。まるで十数年後のマチルギのようだとサハチは感心しますが、この侍女はナーサです。18年後、サハチはナーサと出会い、この時の事を思い出します。

旅から帰ったサハチは、父親の佐敷按司に旅の話をして、人々を苦しめている戦をなくすには琉球を統一しなければならないと言いいます。
島添大里按司を倒し、山南王も倒し、中山王も、山北王も倒さなければならないと大きな事を言います。
とんでもない事を言い出したサハチに、父親は驚きますが、サハチが生まれた時の事を思い出します。志喜屋の大主は、「この子はただものではない」と言いました。そして、『月代の石』が光ったとも言いました。
父親はサハチの顔をじっと見つめ、サハチならやるかもしれないと思い始めます。

旅から帰って一月が経つと、サハチは父親に大口を叩いた事が恥ずかしくなります。現実問題として、琉球を統一するどころか、島添大里按司を倒す事も難しい事でした。そんな夢のような話よりも、サハチはマチルギに会いたくなります。
サハチは父親の許しを得て、クマヌと一緒に伊波に向かいます。伊波にはヒューガがいて、マチルギの指導をしていました。
サハチはマチルギと試合をして負けます。試合に勝って、マチルギをお嫁に迎えようと考えていたサハチはしょんぼりとして雨を眺めています。そんなサハチにマチルギが声を掛けてきます。サハチは一月後に試合をしようとマチルギと約束します。

今度こそはマチルギに勝とうと剣術の修行に励んでいたサハチは、父親からヤマトゥ(日本)の国に行って来いと言われます。父親も十六歳の時にヤマトゥに行って来たと言います。
サハチはヤマトゥ旅に出る前に、伊波に行ってマチルギと会い、ヤマトゥ旅から帰って来るまで、試合を延期してくれと頼みます。マチルギは、待っていると言いました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・宇座按司
泰期。察度の義弟。
中山王の使者として何度も明国に行っているが、今は引退して、宇座の牧場で馬を育てている。

・ナーサ
島添大里按司が八重瀬グスクを攻め落とす時に、八重瀬按司に贈った絶世の美女。
今は浦添の若按司に嫁いだ島添大里按司の長女の侍女として浦添グスクにいる。
後に尚巴志にとって重要な人物となる。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹(ししょう)。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。


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2024年05月03日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 11.奥間

サハチ(尚巴志)たちは今帰仁グスクから羽地に戻り、北上して奥間という村に着きます。
奥間村の長老に歓迎されたサハチたちは半月余りを奥間で暮らします。

奥間村はヤマトゥ(日本)から渡ってきた鍛冶屋集団が住み着いた村で、琉球中の鍛冶屋を仕切っていました。
鍛冶屋だけでなく、炭焼き、木地屋、猟師、杣人、研ぎ師などの職人たちも奥間とつながっていました。
クマヌのお陰で、奥間村とつながりを持ったサハチは、奥間村の力を借りて、琉球統一への道を進んで行きます。

奥間村には、遠い所から村を訪ねて来た男に、一夜妻を与えて歓迎する習慣があり、サハチたちも一夜妻の歓迎を受けます。
サハチの一夜妻になったのは、サハチと同い年の研ぎ師の娘のフジでした。フジは可愛い娘で、サハチは夢中になってしまいます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・奥間の長老
奥間大主。1375年、奥間に来たクマヌを歓迎する。

・奥間ヌル
長老の姉。

・ヤザイム
鍛冶屋の親方。長老の長男。

・アサ
クマヌの一夜妻。

・シホ
ヒューガの一夜妻。のちに、ヒューガの娘、ユリを産む。

・チヨ
サイムンタルーの一夜妻。

・フジ
サハチの一夜妻。研ぎ師の娘。のちに、サハチの息子、サタルーを産む。


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2024年04月08日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 10.今帰仁グスク

伊波グスクをあとにしたサハチ(尚巴志)たちは西側の海岸を北上して名護に行き、運天港に行き、今帰仁へ行きます。
高い石垣に囲まれた今帰仁グスクを見たサハチは驚きます。
今帰仁では研ぎ師のミヌキチの家にお世話になります。

今帰仁グスクは山北王の帕尼芝(はにじ)の居城。
先々代の今帰仁按司の娘婿の羽地按司は、先々代が亡くなったあと、義兄の今帰仁按司を攻め滅ぼして、今帰仁按司となり、1383年、明国に朝貢して、帕尼芝の名で山北王に封じられる。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・ミヌキチ
刀の研ぎ師。先々代の今帰仁按司に呼ばれてヤマトゥから来る。
先代の今帰仁按司が羽地按司に攻め滅ぼされたあと、刀の研ぎ師を辞めるが、クマヌと出会い、先代の遺児(伊波按司と山田按司)が生きている事を知ると、刀の研ぎ師に復帰する。
妻は先代の今帰仁按司の妹。娘は伊波の若按司の妻。


◯硫黄に関する略年表。

900年頃、唐で火薬が発明される。
960年、日宋貿易で硫黄が輸出される。
1085年、宋から硫黄を大量に求める商人が太宰府に来る。
1145年、温州に漂流した船に硫黄が積んであった。
1271年、元が建国。
1274年、蒙古襲来。蒙古軍、火薬を使用する。
1281年、蒙古襲来。蒙古軍、火薬を使用する。
1351年、大陸で紅巾の乱が起こる。
1368年、明が建国。
1372年、察度、明と朝貢貿易を始め、硫黄を献上する。


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2024年03月04日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 9.出会い

年が明けて16歳になったサハチ(尚巴志)は、浮島(那覇)から浦添グスク、中グスク、越来グスク、勝連グスクと見て、伊波グスクに行きます。
伊波グスクで、剣術に夢中になっている伊波按司の娘、マチルギと出会います。

浦添グスクは中山王、察度の居城です。
サハチはクマヌから、察度が慶良間の島で密かに兵を育て、その兵を使って浦添グスクを攻め落とした事を知ります。

浦添グスクの略年表

1187年、ヤマトゥの武将の息子といわれる舜天が浦添按司になる。
1237年、舜天没。息子の舜馬が浦添按司になる。
1248年、舜馬没。息子の義本が浦添按司になる。
1259年、義本を倒して、英祖が浦添按司になる。
1299年、英祖没。英祖の長男、大成が浦添按司になる。
1308年、大成没。大成の次男、英慈が浦添按司になる。
1313年、英慈没。英慈の四男、玉城が浦添按司になる。
1336年、玉城没。玉城の長男、西威が浦添按司になる。
1349年、西威を滅ぼして、察度が浦添按司になる。
1372年、察度、明国との朝貢を始め、琉球中山王に封じられる。
1395年、察度没。息子の武寧が中山王を継ぐ。


中グスクは中グスク按司の居城で、中グスク按司の妻は察度の娘。

越来グスクは越来按司の居城で、越来按司は察度の三男。

勝連グスクは勝連按司の居城で、勝連按司は察度の甥。

伊波グスクは伊波按司の居城で、伊波按司は帕尼芝(はにじ)に滅ぼされた今帰仁按司の次男。
伊波按司の子供たちは祖父の敵を討つために武術修行に励んでいる。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・マチルギ
伊波按司の次女。後に尚巴志の妻になる。

・チューマチ
伊波按司の長男、若按司。

・トゥク
伊波按司の次男。叔父の山田按司の養子になっている。山田若按司。
護佐丸の父親。

・マイチ
伊波按司の三男。後に安慶名按司になる。

・サム
伊波按司の四男。後に尚巴志の家臣になる。

・ムタ
伊波按司の五男、後にクマヌの養子になる。

・伊波ヌル
伊波按司の長女。

・ウトゥ
伊波按司の三女。


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2024年01月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 8.浮島

サハチ(尚巴志)はクマヌ、サイムンタルー、ヒューガと一緒に旅に出ます。
佐敷から玉グスク、糸数グスク、八重瀬グスク、島尻大里グスク、小禄グスクを見て、浮島(那覇)に渡ります。
初めて佐敷から出たサハチは何を見ても驚いてばかりいます。

玉グスク按司、垣花按司、知念按司、糸数按司は婚姻で結ばれていて、島添大里按司と対抗しています。中心になっているのが玉グスク按司です。
中山王となった察度に滅ぼされた浦添按司の西威は玉グスクの出身で、かつての玉グスク按司は中部から南部一帯を支配していましたが、浦添グスクを察度に奪われ、島添大里グスクと大グスクを島添大里按司に奪われて、支配が及ぶのは南部の東側だけになってしまいました。

島尻大里按司は察度と手を結び、明国との朝貢を始めて、山南王になります。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。早田三郎左衛門の次男、妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・ハリマ
浮島の若狭町に住むヤマトゥの山伏。
後に宿屋を営む。

・白菊
若狭町の遊女屋「松風楼」の遊女。


◎浮島(那覇)の略年表

1349年 察度、浦添按司になる。
1350年 この頃より浮島に外来人たちが住み着くようになる。
     元の商船、日本の商船、東南アジアの商船が出入りする。
1351年 倭寇が連れて来た俘虜人の女たちを使って、浮島に遊女屋ができる。
1357年 元国から日本に向かう商船が浮島に寄港する。
1358年 日本から元国に向かう商船が浮島に寄港。
1368年 波之上権現の別当寺、護国寺が創建される。開山は真言僧の頼重。
     明国に向かう日本船、浮島に寄港。
     明使、日本への行き帰りに浮島に寄港。
1369年 明使楊載、日本への行き帰りに浮島に寄港。
1370年 明使楊載、日本と高麗に行く途中浮島に寄港。
1371年 明使楊載、日本からの帰りに浮島に寄港。
1372年 明国から琉球に使者が来る。
     察度、明国との進貢貿易を始め、中山王に封じられる。
     泰期、使者として明国に行く。
1374年 泰期、使者として明に進貢。明の使者、馬と硫黄を積んで帰る。
1375年 明国の使者、李浩、琉球に来る。泰期、帰国。
1376年 明国の使者李浩、馬40頭、硫黄5000斤を購入して帰国。
     泰期、帰国する李浩に従い進貢。元旦を賀し、馬16頭、硫黄1000斤を進貢。
1377年 中山進貢。
1378年 中山進貢。
1380年 中山進貢。
     島尻大里按司の承察度、初めて明国に進貢し、山南王に封じられる。
1382年 中山進貢。
1383年 明国の使者梁a、馬983匹を貨幣で買う。
     中山進貢。亜蘭匏の乗った進貢船が風に流され、宮古に漂着する。
     山南進貢。今帰仁按司、帕尼芝も初めて進貢、山北王に封じられる。
1384年 中山、山南、山北進貢。
1385年 中山進貢。
     中山、山南、山北進貢。
1386年 中山と山南、明国から進貢船を賜わる。
     自前の船で中山進貢。
1387年 尚巴志、クマヌたちと一緒に初めて浮島に来る。
     自前の船で中山進貢、自前の船で山南進貢。


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2023年12月29日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 7.ヤマトゥ酒

大(うふ)グスク按司が島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)に滅ぼされたあと、大グスク按司になったのは島添大里按司の次男のシタルーでした。
佐敷按司は島添大里按司が攻めて来ると守りを固めていましたが、島添大里按司が攻めて来る事はなく、大グスク按司になったシタルーが度々、佐敷グスクにやって来ました。
島添大里按司は有能な者は殺さないとシタルーは言い、同盟したいと言いますが佐敷按司はきっぱりと断ります。
断っても断っても懲りずにやって来るシタルーに根負けした佐敷按司は、馬天浜を大グスク按司と共有するという条件を飲んで休戦しました。

大グスク落城の二年後の年末、ヤマトゥから早田(そうだ)三郎左衛門の船が馬天浜にやって来ました。
15歳になったサハチ(尚巴志)も歓迎の宴に呼ばれて、三郎左衛門の息子の左衛門太郎と武芸者の三好日向(みよしひゅうが)を紹介されます。
調子に乗って酒を飲み過ぎたサハチは酔い潰れてしまいます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹(ししょう)。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・ウミンター
佐敷按司の弟。鮫皮作りを継ぐ事になっている。

・シタルー
大グスク按司。島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖(おうおうそ)。

・島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。
自らの力でのし上がって来たため、有能な者は殺さずに利用しようと考えている。佐敷按司は鮫皮を作ってヤマトゥと交易しているので、何とかして、味方に引き入れようと考え、佐敷を攻める事はしない。
後に王叔汪英紫(おうしゅくおーえーじ)として、明国に朝貢する。

・サンルーザ
早田三郎左衛門。対馬の武将。倭寇(わこう)の頭領。
サミガー大主と鮫皮の取り引きをしている。

・クルシ(黒瀬)
早田三郎左衛門の重臣。

・ウサキ(尾崎)
早田三郎左衛門の重臣。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。早田三郎左衛門の次男で妻の実家の中尾家を継いでいる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。
サハチにとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。


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2023年11月25日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 6.大グスク炎上

1385年2月、14歳になったサハチ(尚巴志)は大事件を経験する。
島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)と大(うふ)グスク按司が合戦を始め、信じられない事に、大グスク按司が敗れてしまったのだった。
佐敷グスクで留守を守っていたサハチは、出陣して行ったた父が無事に帰って来たので喜んだが、大グスクは焼け落ち、多くの者たちが戦死してしまった。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
イハチルー。サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。

・尚巴志の叔父、苗代之子(なーしるぬしぃ)
サジルー。サグルーの弟。剣術の名人。

・馬天ヌル
マカマドゥ。尚巴志の叔母。

・マシュー
尚巴志の妹。後の佐敷ヌル。

・キラマ
慶良間出身の馬天浜のウミンチュ(漁師)。カマンタ(エイ)捕りの名人。

・大グスク按司
佐敷按司の従兄。

・美里之子(んざとぅぬしぃ)
マサンルー。尚巴志の祖父。大グスク按司の武術師範。

・外間之子(ふかまぬしぃ)
大グスク按司の武将。大グスク按司の妻と若按司を救出する。

・クマヌ
ヤマトゥの熊野の山伏。佐敷按司の家臣。

・屋比久大親(やびくうふや)
佐敷按司の重臣。

・島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。
後に王叔汪英紫(おうしゅくおーえーじ)として、明国に朝貢する。

・内原之子(うちばるぬしぃ)
島添大里按司の武将。五年前に糸数按司を倒している。

・シタルー
島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖(おうおうそ)。

・タブチ
島添大里按司の長男。八重瀬按司(えーじあじ)。

・ナーサ
島添大里按司が八重瀬グスクを攻め落とす時に、八重瀬按司に贈った絶世の美女。
今は浦添の若按司(武寧)に嫁いだ島添大里按司の長女ウシの侍女として浦添グスクにいる。
後に尚巴志にとって重要な人物となる。


関連年表

1380年 3月 島添大里グスク、八重瀬按司に攻め滅ぼされる。
        八重瀬按司は島添大里按司を名乗る。
1383年 4月  大グスク按司、死す。長男の若按司が跡を継ぐ。
1383年 7月 島添大里按司の娘、ウミカナが大グスク按司の側室となる。
1384年 4月 大グスク按司の妹が島添大里按司に側室として贈られる。
        大グスク按司の妹、タブチの側室になり、八重瀬グスクに送られる。
1384年 11月  大グスクの大将,當山大親死す。死を隠すが島添大里按司に知られる。
1385年 1月  島添大里按司、馬天浜を半分よこせと言って来る。大グスク按司は断る。
1385年 2月 島添大里按司、大グスクを攻めるために出陣。
        大グスク按司も出陣する。
        大グスク按司、玉グスク按司と知念按司と糸数按司に新グスクを見張らせる。
        佐敷按司と垣花按司は搦め手から島添大里グスクを攻めるために出陣。
        内原之子と苗代之子の対決で始まり、苗代之子が勝つ。
        勝ちの乗じて攻める大グスク勢、撤退する島添大里勢。
        炎上する大グスク。
        撤退する大グスク軍。伏兵が現れ挟み撃ちにされる。
        大グスク按司、討ち死に。美里之子、ビング戦死。
        佐敷按司と垣花按司、撤退する。
        島添大里按司、大グスクに登る。


尚巴志伝
ラベル:尚巴志伝 琉球

2023年10月23日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 5.佐敷グスク

12歳になったサハチ(尚巴志)はヤシルーを師として弓矢の稽古に励んでいます。
島添大里(しましいうふざとぅ)グスクが八重瀬按司(えーじあじ)に奪われたあと、父の苗代大親(なーしるうふや)は大グスク按司に命じられて、佐敷にグスクを築いて、佐敷按司になりました。
大グスク按司に仕えていた、兼久大親(かにくうふや)、屋比久大親(やびくうふや)、与那嶺大親(ゆなんみうふや)の三人が重臣として佐敷按司に仕える事になり、祖父のサミガー大主の離れに居候していた山伏のクマヌ、ヤマトゥのサムレーのビングとヤシルー、禅僧のソウゲンも佐敷按司の家臣になりました。
サハチはみんなから若按司と呼ばれるようになります。
島添大里グスクを奪い取った八重瀬按司は、島添大里按司を名乗ってグスクを強化し、焼け落ちた城下も再建します。
大グスク按司は島添大里グスクを取り戻そうと何度も攻めますが、敵の守りは堅く、攻め落とす事はできず、無念のうちに亡くなってしまいます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
サミガー大主の孫。父は佐敷按司(サグルー)。

・尚巴志の父、佐敷按司
サグルー。サミガー大主の長男。後の中山王、思紹。

・尚巴志の祖父、サミガー大主
サグルーの父。伊平屋島出身で、馬天浜で鮫皮作りをしている。
鮫皮をヤマトゥの商人と取り引きをして得た財力を、息子のサグルーが按司になるために使う。

・ヤシルー(八代)
ヤマトゥから来た弓矢の名人。佐敷按司の家臣となり、尚巴志の弓矢の師となる。

・島添大里按司(しましいうふざとぅあじ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)の叔父。後に王叔汪英紫(おうしゅくおーえーじ)として、明国に朝貢する。
1369年、八重瀬グスクを攻め取り、八重瀬按司(えーじあじ)になる。
1380年、島添大里グスクを攻め落として、島添大里按司になる。
長女のウシは察度の長男、フニムイ(武寧)の妻になる。
長男は八重瀬按司のタブチ(達勃期)。
次男はシタルー。後の山南王、汪応祖(おうおうそ)。
三男はヤフス(屋富祖)。具志頭按司(ぐしちゃんあじ)の娘婿になり、具志頭若按司になっている。

・ウミカナ
島添大里按司の三女。側室として大グスク按司に贈られる。

・中山王、察度(さとぅ)
浦添按司(うらしいあじ)。
1372年、明国から使者が来て、朝貢を始め、琉球中山王に封じられる。

・山南王、承察度(うふざとぅ)
島尻大里按司(しまじりうふざとぅあじ)。
1380年、明国に進貢し、琉球山南王(さんなんおう)に封じられる。

・山北王、帕尼芝(はにじ)
今帰仁按司(なきじんあじ)。
1383年、明国に進貢し、琉球山北王(さんほくおう)に封じられる。

・泰期(たち)
察度の義弟。察度の妹を妻に迎える。
察度が浦添按司になったあと、小禄にグスクを築いて小禄按司(うるくあじ)を名乗る。
察度が中山王になったあとは、使者として明国に何度も行く。
明国に送る馬を育てるために宇座に牧場を作り、使者を引退したあとは、宇座按司(うーじゃあじ)を名乗って、馬の飼育に専念する。

・亜蘭匏(アランポー)
久米村の唐人。
1383年、泰期に代わって正使となり、明国に行く。


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