2016年09月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 37.旅の収穫

東行法師となった父と弟のマサンルーが旅から帰って来たのは12月の半ばでした。
サハチ(尚巴志)は奥間にサハチの子がいたと聞いて驚きます。
サハチの子はサタルーと名付けられ、神様のお告げがあって、奥間の長老が育てているといいます。
東行法師は勝連で、勝連按司の三男が山賊に襲われて殺されたという噂を聞いていました。
サハチはウニタキが生きていて、今、裏の組織を作っている事を父に話します。
サハチが望月党の事も説明すると佐敷にも裏の組織は必要だと父は言い、様子を見て十年の計の事をウニタキに話すと言います。
今帰仁にも行って来た父は、焼け落ちた城下を再建している最中で、今帰仁グスクも拡張していると言いました。

年が明けると父は一人で久高島に行き、東行法師に扮した祖父が弟のヤグルーを連れて旅に出て行きました。
正月の半ばには、ヤマトゥからサイムンタルーがやって来ました。
五年振りの再会でした。
サイムンタルーから、四年前に対馬が高麗の襲撃に遭って、土寄浦一帯が全滅したと聞いてサハチは驚きます。
ようやく村の再建も終わって、琉球に来たのだという。
そして、イトがサハチの娘を産んだと聞いて、サハチはさらに驚きます。
娘はユキと名付けられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と一緒に旅に出る。

・サミガー大主
サハチの祖父。鮫皮造りを隠居して、東行法師に扮して旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。祖父と一緒に旅に出る。

・サイムンタルー
中尾左衛門太郎。対馬の倭寇の頭領、早田三郎左衛門の次男。
妻の実家の中尾家を継いでいる。

・クルシ
早田三郎左衛門の重臣。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。


尚巴志伝

2016年09月19日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 36.浜川大親

琉球の中部地方で高麗人の山賊が暴れているという噂が、サハチ(尚巴志)の耳に入ってきます。
奥間鍛冶屋のヤキチに聞くと、高麗では王様が代わって大騒ぎになり、落ち武者となった者が琉球に逃げて来て山賊になったようだと言います。
中グスクにも高麗の山賊が現れたとの噂が飛び交っていた頃、勝連のウニタキがサハチを訪ねて来ます。
ウニタキと会うのは久し振りで、今晩は一緒に酒を飲みながら、ウニタキの活躍話でも聞いてやろうとサハチは楽しみにします。
ところが、門番に連れられて現れたウニタキは髪は乱れ、着物も破れた悲惨な姿でした。
サハチは呆然して、何があったのかを聞きます。
ウニタキは怒りに満ちた目で、兄貴たちに家族を殺されたと言います。
今帰仁合戦で活躍したウニタキは浜川大親となり、ヤマトゥとの交易を取り仕切っていました、
中山王の孫娘を妻に迎えたウニタキを妬む二人の兄は、ウニタキが失敗して恥をかくように、今帰仁合戦の時、水軍の大将に任命します。
しかし、ウニタキは大活躍して、中山王から褒美の太刀を与えられます。
交易を任せたのも、倭寇たちを相手に失敗するに違いないと思ったからでした。
ウニタキは見事にやり遂げ、勝連と言えば、ウニタキの名が思い浮かぶほどに有名になります。
このままでは按司の座もウニタキに奪われると思った兄たちは、ウニタキの殺害を謀ったのでした。
勝連には古くから「望月党」という裏の組織があって、ウニタキは「望月党」の襲撃を受けたのでした。
「望月党」はウニタキを殺すために高麗の山賊に扮して、各地を荒らし回り、ウニタキもその山賊にやられたという事にしたのでした。
ウニタキの妻も娘も殺され、ウニタキは何とか助かりましたが、噂では死んだ事になっていました。
サハチはとにかく休めと言いますが、ウニタキはしばらく馬天浜の離れにお世話になると言って出て行きます。
妻子を失ったウニタキの心の傷は癒えず、一月が経っても、毎日、海を眺めながら呆然としていました。
そんな頃、豊見グスク按司のシタルーが訪ねて来ます。
シタルーは来月に明国に行くと言い出し、サハチは驚きます。
山南王の留学生として、三年間、明国で勉強すると言います。
シタルーが帰ったあと、馬天浜に行くとウニタキはいつものように浜辺に座り込んで海を見ていました。
サハチは黙ったままウニタキの隣りに座って海を眺めます。
ウニタキは望月党を潰すと決心を固め、そのためには望月党に対抗できる組織を作らなければならないと言います。
そして、自分はもう死んでいるので、サハチのために裏の組織を作ると言い、サハチもウニタキにお願いします。
裏の組織の名は「三星党」だと言って、ウニタキは頭を丸め、仲間を集めるために奥間村へと旅立ちます。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司(東行法師)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・ウニタキ
先代勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。
浜川大親となりヤマトゥとの交易を担当する。
望月党に妻子を殺され、佐敷に逃げてくる。

・ウニョン
ウニタキの妻。武寧の長女。
望月党に殺される。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。のちの山南王、汪応祖。
山南王の官生として明国に留学する。

・勝連按司
先代勝連按司の長男。ウニタキの兄。

・江州按司
先代勝連按司の次男。ウニタキの兄。


尚巴志伝

2016年09月12日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 35.首里天閣

2月の初め、東行法師が志喜屋ヌルからもらった勾玉(まがたま)を持って佐敷に帰って来ました。
東行法師は久高島に渡り、フカマヌルと二十年振りの再会をし、娘のウミチルとも会いました。
久高島に籠もっていたサスカサヌルに言われて、東行法師は勾玉を馬天ヌルに渡すために帰って来たのでした。
馬天ヌルに勾玉を渡した東行法師は家族たちと会って、改めて旅立ちました。

5月になって、中山王の察度が浦添按司を息子の武寧に譲り、隠居して首里に建てた高楼に移ったとの噂が流れます。
サハチ(尚巴志)はクマヌに調べさせます。
噂は本当で、察度は三階建ての『首里天閣』と呼ばれる楼閣に移り、見物人たちが大勢押しかけて、華麗な楼閣を見上げているとの事です。
マチルギに話すと、梅雨が明けたら行きましょうと嬉しそうに言い、今年の旅は首里天閣と決まります。
その頃、東行法師は宇座の御隠居(泰期)のお世話になっていました。
梅雨が明けると東行法師は宇座の御隠居と一緒に首里天閣に行って、察度と会います。
サハチとマチルギはサムとマチルー夫婦、ヒューガと一緒に首里天閣に行きます。
首里天閣は明国の楼閣を真似した華麗で豪華な建物でした。
「凄いなあ」と見物人たちと一緒にサハチたちも見上げましたが、その時、首里天閣の三階では察度と泰期と東行法師がお茶を飲みながら昔話に花を咲かせていたのでした。
東行法師の様子を探らせていた島添大里按司は、東行法師が首里天閣にいると聞いて、「あいつは何者なんじゃ」と苦虫をかみ殺したような顔をして言いました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・東行法師
尚巴志の父、サグルー。
佐敷按司をサハチに譲り、東行法師を名乗って旅に出る。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と共に旅に出る。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(佐敷按司)の娘、ウミチルを産む。

・ウミチル
フカマヌルの娘、父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。

・サスカサ
先代の島添大里ヌル。
島添大里グスクが落城後、久高島に逃げ、ずっとフボーヌムイに籠もっている。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・中山王、察度
浦添按司を息子の武寧に譲り、首里天閣に隠居する。。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。宇座按司を次男に譲って隠居する。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・マチルー
サムの妻。クマヌの娘。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、進貢船を送る。
隠居した佐敷按司を疑い、見張りを付ける。

・奥間大親
島添大里按司の家臣。東行法師を見張る。



尚巴志伝

2016年09月05日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 34.東行法師

年が明けた1392年の正月、佐敷按司は隠居して、頭を丸め東行法師となって旅に出ます。
サハチ(尚巴志)の弟のマサンルーが父の供として従いました。
佐敷按司が隠居した事を知ると島添大里按司は、何か裏がありそうだと疑い、家臣の奥間大親に見張れと命じます。
サハチ夫婦は佐敷グスクの一の曲輪の屋敷に移り、母と弟たちは東曲輪の屋敷に移りました。
娘たちの剣術の稽古が始まった五日の日、伊波のサムが妻のマチルーを連れて、サハチを訪ねて来ます。
サムは伊波を飛び出して来たので、佐敷に置いてくれと言います。
サハチはクマヌと相談して、サム夫婦を預かる事にします。

旅に出た東行法師とマサンルーは玉グスクの城下を見て、知念を目指します。
途中、志喜屋を通った時、東行法師はサハチの誕生を祝福してくれた志喜屋の大主を思い出します。
すでに亡くなっているとは思うが、急ぐ旅でもないので挨拶でもして行こうと大主の屋敷を訪ねます。
大主の娘の志喜屋ヌルが現れて、東行法師が佐敷から来たと言うと、目の色を変えて東行法師を見つめました。
亡くなった大主は、十年後に佐敷から誰かが訪ねて来るだろうと予言したと言います。
東行法師は驚き、志喜屋ヌルから翡翠の勾玉を贈られます。
その勾玉は代々、浦添のヌルに伝わっていた古い勾玉でした。


西行法師は西にあるという極楽を目指して西行と号しますが、琉球ではニライカナイは東にあるので、佐敷按司は東行と号しました。


登場人物

・佐敷按司
尚巴志の父、サグルー。
隠居して東行法師を名乗って旅に出る。

・サハチ(尚巴志)
父が隠居し、21歳で佐敷按司になる。
父は佐敷按司、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・ミチ
尚巴志の母。先代の美里之子(んざとぅぬしぃ)の娘。

・マサンルー
尚巴志の弟。父と共に旅に出る。

・ヤグルー
尚巴志の弟。

・マナミー
尚巴志の妹。

・マカマドゥ
尚巴志の妹。

・マタルー
尚巴志の弟。

・マチルー
尚巴志の妹。

・クルー
尚巴志の弟。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチのマチルギの剣術の師匠。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。
ヒューガと結ばれ、娘のササが生まれる。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
マチルギから剣術を習っている。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
隠居した佐敷按司を疑い、見張りを付ける。

・奥間大親
島添大里按司の家臣。東行法師を見張る。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。
伊波を飛び出し、妻を連れて佐敷に来る。

・マチルー
サムの妻。クマヌの娘。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・志喜屋ヌル(志喜屋ノロ)
志喜屋大主の娘。
父から頼まれていた勾玉を東行法師に渡す。


尚巴志伝

2016年09月03日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 33.十年の計

サハチ(尚巴志)は祖父のサミガー大主に呼ばれて、祖父の隠居屋敷に行きます。
祖父の屋敷には父の佐敷按司も来ていて、一緒に酒を飲もうと言います。
隣りに住んでいる馬天ヌルがお酒を持ってきて、酒盛りが始まります。
父が突然、隠居すると言い出し、祖父とサハチは驚きます。
ヤマトゥの放浪の歌人、西行を真似して、東行と名乗り、頭を丸めて気ままな旅に出ると言います。
サハチも祖父も、父の頭がいかれたのかと思いますが、これからが本題じゃと隠居する本当の理由を話します。
サハチが以前に言った「琉球を統一する」という言葉をずっと考えていた父はようやく答えを見つけたのでした。
琉球統一の第一歩として、十年後に島添大里グスクを攻め落とすと父は言い、十年間で一千の兵を育てると言います。
旅をして若い者を集め、久高島で若い者たちを鍛えると言います。
祖父も父の意見に賛成し、若者たちはわしが集めると言います。
サハチは佐敷グスクの留守番を頼まれ、十年後まで潰されずに残ってくれと言われます。
三人が改めて乾杯していると馬天ヌルがお酒を持って入って来ます。
馬天ヌルも旅をしようと思っていたのと言い出します。
馬天ヌルの話から、琉球を統一するにはヌルたちも統一しなければならない事に父は気づき、ヌルの事を馬天ヌルに頼みます。


佐敷按司は尚巴志が21歳の時に隠居します。
そして、14年後、尚巴志が武寧を倒した後、中山王思紹として再登場します。
14年間、一体、何をしていたのか、まったく謎に包まれています。
そして、尚巴志はどうやって島添大里按司を倒し、中山王の武寧を倒したのか、詳しい事は何もわかりません。
隠居した佐敷按司は密かに兵を育てていたに違いないと私は思いました。
それと、佐敷按司となった尚巴志が、なぜ、島添大里按司に潰されずに十年間、持ちこたえたのか。
私なりに解釈して、小説にしてみました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は先々代の大グスク按司の娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
久高島から帰って来てからヒューガの屋敷に出入りするようになり妊娠する。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。


尚巴志伝

2016年08月29日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 32.次男誕生

水軍の総大将として鳥島を奪還し、中山王の察度から褒美の太刀を賜り、機嫌良く帰って来た島添大里按司は、城下が焼かれ、大グスクが奪われた事を知ると烈火のごとく怒ります。
島添大里按司は糸数グスクに総攻撃を掛け、豊見グスク按司のシタルーの活躍によって大グスクも見事に取り返します。
6月になって、サハチ(尚巴志)はマチルギと一緒にヒューガを連れて伊波に行き、伊波按司から今帰仁合戦の様子を詳しく聞きます。
叔父の山田按司が戦死したと聞いて悲しみますが、山田按司が今帰仁按司を殺したと聞いて驚きます。
山田按司は今帰仁グスクに潜入して、今帰仁按司と若按司を殺し、見事に敵討ちを果たしたのでした。
サハチたちは山田グスクに行き、山田按司を継いだトゥク兄さんと会います。
山田按司が戦死した頃、次男が生まれ、その次男はきっと山田按司の生まれ変わりに違いないとトゥク兄さんは言いました。
その次男はマウシと名付けられました。のちの護佐丸です。
サハチたちは宇座によって、隠居した泰期と会ってから佐敷に帰ります。
伊波から帰ってからマチルギのお腹が大きくなってきました。
マチルギのお腹が大きくなるのと同じように、馬天ヌルのお腹も大きくなっていました。
馬天ヌルは恥ずかしがる事もなく大きなお腹で城下を歩き、人から聞かれると「マレビト神の子よ」と言っていました。
人々はその答えに納得していますが、誰もがお腹の子の父親がヒューガだと知っていました。
9月にマチルギは次男のジルムイを産みます。
マチルギは女の子を願っていましたが二人目も男の子でした。ジルムイはのちの尚忠です。
馬天ヌルは娘のササを産みます。


登場人物

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
今帰仁合戦では水軍の総大将として、鳥島奪回に成功する。

・シタルー
豊見グスク按司。
島添大里按司の次男。後の山南王、汪応祖。

・大グスク按司
島添大里按司の三男、ヤフス。

・マナビダル
ヤフスをだます美女。糸数按司の配下。

・糸数按司
妻は玉グスク按司の娘。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・伊波按司
先代の今帰仁按司の次男。マチルギとサムの父。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
妻はクマヌの娘のマチルー。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。
今帰仁グスクに夜襲を掛け、今帰仁按司と若按司を殺して戦死する。

・トゥク
マチルギの兄。義父が戦死し、山田按司を継ぐ。

・マウシ
トゥクの次男。のちの護佐丸。

・宇座の御隠居
泰期。察度の義弟。宇座按司を次男に譲って隠居する。

・クグルー
泰期の三男。母は後妻のナミー。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
久高島から帰って来てからヒューガの屋敷に出入りするようになり妊娠する。

・ジルムイ
サハチとマチルギの次男。のちの尚忠。

・ササ
馬天ヌルとヒューガの娘。


尚巴志伝

2016年08月26日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 31.今帰仁合戦

サハチ(尚巴志)の父、佐敷按司は兵を率いて今帰仁に出陣して行きます。
サハチはヒューガと一緒に留守を守りました。
マチルギも教え子たちに弓矢を持たせて佐敷グスクを守っています。
大グスク按司の兵が早朝に攻めて来ましたが、待ち構えていたサハチたちは見事に追い返します。
サハチたちは二度目の攻撃を待っていましたが、大グスクでは異変が起きていました。
糸数按司が大グスクを奪い取ってしまったのです。
大グスク按司は数人の兵に守られて島添大里グスクに逃げ込みますが、ほとんどの者たちは戦死してしまいます。
次の日、糸数按司の使者が佐敷グスクにやって来て、一緒に島添大里グスクを攻めようと言って来ます。
サハチは重臣たちと相談して、その申し出を断ります。
翌日、島添大里グスクは糸数、玉グスク、垣花、知念の兵によって包囲されます。
もし、島添大里グスクが落城すれば、包囲していた兵は佐敷グスクを攻めるでしょう。
そうなれば、佐敷は全滅します。
重臣の中には今からでも包囲陣に加わった方がいいと言い出す者も現れます。
サハチは悩みますが馬天ヌルから、「動いちゃだめよ」と言われ、決心を新たにして守りを固めます。
何日かして、島添大里グスクを包囲していた兵は引き上げます。
中山王の兵が玉グスクを狙って動いたようでした。
それから六日後、佐敷按司は無事に帰って来ました。
サハチは父から戦の様子を聞きます。
結局、今帰仁グスクは落とす事はできませんでしたが、鳥島は奪い返したようでした。


山北王が硫黄鳥島を奪ったのは今回が初めてではありませんでした。
以前の時は水軍を使って奪い返しています。
今回も水軍だけで奪い取る事は可能でしたが、戦の経験のないフニムイ(武寧)に戦の経験をさせてやろうという察度の親心から今帰仁を攻める事にしたのです。
察度は今帰仁グスクが簡単に攻め落とせるグスクではない事を知っています。
今帰仁グスクを攻め落とすには周到な準備をしなければなりません。
今回はそんな時間もなかったので、初めから攻め落とす気はなく、鳥島を取り戻すための陽動作戦だったのです。
それと、中山王に従う按司たちを調べるためでもありました。
戦に従わなかった按司たちを敵とみなし、やがては退治しようと考えていました。
察度もすでに70歳を過ぎ、跡を継ぐフニムイのためにできるだけの事はしてやろうと思っていたのでした。



登場人物

・佐敷按司
尚巴志の父。

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は先代の美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ヤキチ
奥間の鍛冶屋。サハチを守るために佐敷に送られる。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・屋比久大親
佐敷按司の重臣。

・當山之子
佐敷按司の家臣。美里之子の弟。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・大グスク按司
島添大里按司の三男、ヤフス。

・糸数按司
妻は玉グスク按司の娘。

・フニムイ(武寧)
今帰仁合戦の総大将。察度の長男。

・山田按司
伊波按司の弟。マチルギの叔父。
今帰仁グスクに夜襲を掛けるが、フニムイに見捨てられて戦死する。

・島添大里按司
島尻大里按司(山南王)の叔父。
王叔汪英紫という名で、山南王の使者として明国に行く。
今帰仁合戦では水軍の総大将として、鳥島奪回に成功する。

・宇座按司
泰期の次男。
今帰仁合戦で中山王の水軍の大将として活躍する。

・ウニタキ
勝連按司の三男。中山王、察度の孫娘(武寧の娘)を妻に迎える。
今帰仁合戦で、勝連の水軍大将として活躍する。



尚巴志伝

2016年08月22日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 30.出陣命令

サハチの長男、サグルーの誕生を一番喜んだのは祖父のサミガー大主でした。
祖父はひ孫の顔を眺めながら引退を決心して、ウミンターに鮫皮作りの親方を譲ります。
マチルギの兄のサムは伊波に帰る事となり、クマヌの娘のマチルーを嫁に迎えます。
隠居した祖父の新しい屋敷が完成した九月に、浦添では中山王の察度が山北王の帕尼芝(はにじ)を攻めるという噂が流れていました。
戦の原因は山北王が硫黄鳥島を奪い取ってしまった事でした。
山北王は中山王の船に乗って、明国に進貢していましたが、いつまで経っても明国から船をもらえないので、もう待ちきれないと硫黄鳥島を奪いました。
硫黄鳥島を奪われたら、硫黄を採る事ができず、明国への進貢ができなくなります。
察度は怒って、山北王を攻める事に決めたのでした。
佐敷按司は中山王との関係はありませんが、サハチが伊波按司の娘を嫁に迎えたため、伊波按司から出陣の依頼が来るかもしれないと心配します。
サハチがマチルギにその事を話すと、マチルギは必ず出陣すると言います。
たとえ前線で戦えなくても、山北王が滅びるのを見なければならないと言います。
サハチには止める事はできませんでした。
年が明けて二月の半ば、佐敷にも出陣命令が来ました。
佐敷按司は出陣の準備を始めますか、佐敷按司が出陣するか、若按司のサハチが出陣するかはもう少し考えさせてくれと言います。
三月の半ば、サハチは父に呼ばれ、留守を頼むと言われます。
サハチはマチルギに留守を守る事に決まったと告げると、マチルギも残ると言います。
サハチは驚きますが、神様に何度も残りなさいと言われ、馬天ヌルからも残りなさいって言われたとマチルギは言いました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・サグルー
サハチとマチルギの長男。

・サミガー大主
サハチの祖父。馬天浜で鮫皮造りをしていたが隠居する。

・ウミンター
尚巴志の叔父。サミガー大主を継ぎ、鮫皮造りの親方になる。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。熊野大親。

・マチルー
クマヌの娘。マチルギの兄のサムに嫁ぐ。

・サム
伊波按司の四男。マチルギの兄。
マチルギが佐敷に嫁いだあと、一年間、佐敷に残る事になる。
一年後、伊波に帰り、クマヌの娘のマチルーを妻に迎える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。
マチルギから剣術を習っている。

・佐敷ヌル(佐敷ノロ)
尚巴志の妹、マシュー。神名はツキシル。
マチルギから剣術を習っている。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・苗代大親
尚巴志の叔父。サハチのマチルギの剣術の師匠。

・与那嶺大親
佐敷按司の重臣。

・兼久大親
佐敷按司の重臣。

・屋比久大親
佐敷按司の重臣。

・ヤシルー
ヤマトゥから来た弓矢の名人。
佐敷按司の重臣。八代大親。


尚巴志伝

2016年08月15日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 29.長男誕生

久高島に馬天ヌルを残し、旅を続けたサハチ(尚巴志)たちは島尻大里の城下を見て、シタルーのいる豊見グスクに向かいます。
気楽な気持ちでシタルーに会いに行こうとしたサハチはマチルギとヒューガに止められました。
サハチも考え直して、シタルーと会うのはやめて浮島に渡り、宿屋をやっているハリマに歓迎されます。
旅の途中、マチルギはフボーヌムイで起こった事を思い出し、サスカサヌルからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かったと言いいます。

旅から帰ったサハチは、久高島にいるウミチルの事を父に話しました。
父は驚きます。フカマヌルが自分の娘を産み、育てていたなんてまったく知りませんでした。
母には内緒だぞとサハチに言って、いつか会いに行きたいと父は言います。

八月に大きな台風が琉球を襲いました。
佐敷グスクは無事でしたが、海辺の家々は破壊され、馬天ヌルの屋敷も壊れます。
家を失った人たちは佐敷グスクに避難して、サハチたちは村の再建に働きます。
マチルギも娘たちを引き連れて、村の復興に励みます。
そんな中、馬天ヌルが久高島から帰ってきます。
フボーヌムイで修行を積んだ馬天ヌルは神々しく、神気が漂っているようでした。

年が明けて、二月の初め、マチルギは元気な男の子を産みます。
サハチの長男は祖父の名をもらって、サグルーと名付けられました。


登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。
サスカサからムムトゥフミアガイ(百度踏揚)という神名を授かる。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・ハリマ
ヤマトゥの山伏。浮島の宿屋の主人。

・佐敷按司
尚巴志の父。

・ミチ
尚巴志の母。美里之子(んざとぅぬしぃ)の娘。

・クマヌ
ヤマトゥの山伏。佐敷按司の家臣。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。神名はティーダシル。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。

・サグルー
サハチとマチルギの長男。



尚巴志伝

2016年08月08日

尚巴志伝 あらすじと解説 第一部 28.サスカサ

旅に出たサハチ(尚巴志)たちは久高島に渡っていました。
馬天ヌルはサスカサヌルを探すという目的を持っていました。
サハチたちは馬天ヌルに付き合うという形で久高島に行ったのでした。
サスカサというのは島添大里ヌルの神名で、古くから有名なヌルでした。
先代の馬天ヌルが亡くなる時、馬天ヌルはサスカサから教えを請うように言われていました。
しかし、若かった事もあり、もう一人前のヌルだと思い込んでいた馬天ヌルはサスカサから教えを請いませんでした。
ところが、島添大里按司が滅ぼされて、兄は佐敷按司になりました。
馬天ヌルは按司を守るための儀式をしなければならなくなります。
出陣の儀式とかは先代の馬天ヌルからは教わっていません。
ようやく、先代が言った意味がわかり、サスカサを探しましたが見つける事はできませんでした。
戦の時に亡くなってしまったのだろうと諦めていた時、久高島のウタキに七年間も籠もっている神人(カミンチュ)がいるという情報を得ます。
馬天ヌルはサスカサに違いないと思い、久高島に来たのでした。
久高島にはフカマヌルがいて、フカマヌルの娘のウミチルの父親が、サハチの父親だと聞いてサハチたちは驚きます。
次の日、馬天ヌルはフカマヌルに連れられてサスカサに会いにフボーヌムイ(フボーウタキ)に行きます。
マチルギとウミチルも一緒に行き、フボーヌムイに一晩、籠もります。
馬天ヌルの願いはかなって、サスカサから教えを受ける事になりました。



登場人物

・サハチ(尚巴志)
佐敷の若按司。
父は佐敷按司(サグルー)、母は美里之子の娘。
祖父はサミガー大主、祖母は大グスク按司の娘。

・マチルギ
尚巴志の妻。
伊波按司の次女。娘たちの剣術の師匠。

・ヒューガ
三好日向。武芸者。サハチの師匠。
尚巴志にとって重要な人物となる。
「陰の流れ 第一部」に智羅天として登場。愛洲移香斎に気合いの術と彫刻を教える。

・馬天ヌル(馬天ノロ)
尚巴志の叔母。

・玉グスクヌル
玉グスク按司の妹。サスカサの伯母。

・フカマヌル(外間ノロ)
シラタル親方の長女。
サグルー(佐敷按司)の娘、ウミチルを産む。

・ウミチル
フカマヌルの娘、父はサグルー。尚巴志の母違いの妹。

・マニウシ
シラタル親方の長男。フカマヌルの弟。

・サスカサ
先代の島添大里ヌル。
島添大里グスクが落城後、久高島に逃げ、ずっとフボーヌムイに籠もっている。



尚巴志伝